|
おむさんは、久し振りに、ネコジャラシで遊んだ。 |
|
カメラのお兄さんは、秋にネコジャラシをたくさん収穫して、乾燥させておいたのだ。 |
|
寒い冬の間は、こんな遊びもできなかった。
だから、とても楽しかった。 |
|
けれど、やがて、遊び疲れた。 |
|
日も暮れてきた。 |
|
おむさんは、眠くなった。 |
|
おかか先生も、うとうとし始めた。 |
|
すやすや |
|
ぐーすかぴー |
|
そして、おむさんは、夢を見たのだ……。 |
|
何か、美しいピンク色のものが、たくさん夢に現れた。 |
|
そして ―― 「明日、会いに行きます」と言ったのだ。 |
|
目覚めたおむさんは、不思議な気持だった。
「……先生、僕、とっても綺麗な夢を見ました」 |
|
「私もだ」 |
|
「……きっと、同じ夢ですね」 |
|
「うむ」 |
|
おかか先生は、桜の木の方へと歩いていった。 |
|
そして、桜の枝を、暫く見詰めていた。 |
|
先生は、何か確信を得たらしい。 |
|
おむさんも、桜の枝の下まで行った。
そして ―― いつまでも動かなかった。 |
|
いよいよ、あの季節が
去年は綺麗でしたねぇ。
私は植物に詳しいわけでもなく、
特に興味があるわけでもないが、
桜花だけは、特別だ。
長く厳しく辛い冬を乗り越えたことの、象徴だからなあ。
お先に花見だ花見だ!!
うんうん。わかるとも。