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一般には知られていないことだが、猫には超能力がある。 |
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サイコキネシス(念力)、テレポート(瞬間移動)、プレコグニション(予知)などである。
ただし、これらの超能力は、宇宙を救うとか、地球を守るとかいう、喫緊の場合にのみ、用いられる。 |
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日常生活で超能力をみだりに用いることは、禁忌となっている。
ましてや、私利私欲のために用いるなど、論外である。 |
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さて、この日 ――
寒かったので、おかか先生は、おむさんと一緒に、毛布を被って過ごしていた。 |
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「……おい、オシッコしたくなってきた」
「してくればいいでしょ」 |
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「でも、寒いから、毛布から出たくない」
「ガマンするのは体に毒ですよ」 |
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「私の代わりにオシッコしてきてくれんか?」
「何をバカなこと言ってんですか」 |
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「しょうがない。テレポートで行くか!」
「……えっ!?」 |
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おかか先生の姿が、忽然と消えた!
オシッコの場所まで、瞬間移動したのだ。 |
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「まったくもう、先生ったら……」 |
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「ただいま! いや~、寒かった!」
「……何で帰りだけ徒歩なんですか」 |
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「おい、早く毛布に入れてくれ」
「……だめですっ!」 |
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「オシッコに行くために超能力を使うなんて!」 |
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「罰として、毛布には入れません!」
「か、硬いこと言うなよ……」 |
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「いえ、だめです。そこで反省してなさい」 |
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「そ、そんなぁ……」 |
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「……おい、寒いよ! 頼むから毛布に入れてくれ」
「だめです。もうしばらく反省しなさい」 |
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「貴重な能力を無駄遣いしてはいけないのです」
「……じゃあ作者も反省しなきゃな」 |