写真:室堂から立山
写真:一の越(山荘)から雄山へのルート
写真:雄山頂上と雄山神社(峰本社)と雄山より剣遠望
立山・剱岳「天の記」(10) 「雄山から別山乗越」
バスは美女平・標高1000m、室堂・標高2500mと、その標高差1500mを、凡そこの道程を1時間かけて室堂バスセンターに到着した。
時に、8時半ころであろうか・・、
この大自然のド真ん中、コンクリート造りの室堂展望ターミナルは柄に似合わないが、ともかく屋上へ上がって軽く朝食を戴く。 それにしても周囲は豪壮な山塊に囲まれていて、否が上にも登行意欲を駆り立てる。
正面は大日岳の連山、後方が薬師岳へ連なる浄土山、龍王山の山並、そして正面には立山のポスターでも良く見かける雄山、大汝山、富士の折立のビックスリーの山塊が現実に目の前に迫っている。
食事と小用の後、直ちに出発した。
一ノ越からは本格的な登山の始まりである・・、
一の越へ向かう途中から、剱岳の天辺部分が別山尾根から見え出した。 3015mの雄山は真正面に鎮座していて、頂上に建物が泰然としている姿はチョット違和感を感じないでもない。 そして右手方向には浄土山や龍王岳の三角錐が見事である。
ところで、この辺りはまだ観光地のエリアなのであろう、一の越の道程は登山者というより観光客が多く、しかもきわめて軽装で、サンダル履きの御仁もいる。 中には幼児の手を引きながら無理やり登っている御仁もいたっしゃる・・!。 これらの人々は、横目で登山姿で重装備の我らを珍しそうに眺めている。 そんな状況の中、我らは何故か遠慮がちに小さくなって、隅のほうを歩く始末である。 一の越を過ぎて、立山頂上に向かう急斜面においてもその風景は変わることはなかった。 ただ、心配なのは下りである。 「行き(登り)は良い良い・・だが、帰り(降り)は怖い筈である」。
少なくとも3000mの高山である天候の急変やアクシデントが無いことを老婆心ながら祈るばかりである。
観光客らしい人々とは一線を科しながら歩を進めているうちに、いつの間にか頂上に到達した。 先ずは一息入れる。
そこに老杉で造り上げた立派な社務所があり、丁度神主、巫女が御払いをしている最中だった。 納付所では御守、御札を納めるのに余念がない、下界の中流どころの社務所顔負けといったところである。 社務所の奥に、その名も頂上の「奥の院」があり、そこで、これから先の道中の祈願をしようと進んだところ、その地点への通行料が100円となっていた。 お賽銭とは別らしく、アルバイトらしい受付嬢に窺ったところ参拝料兼入山料とのことであった。
妙な感じを受けながら、奥の院の立山不動尊(峰本社)に御参りして3000mの峰へ歩を進め、立山三山の縦走に入る。 稜線の雰囲気は、雲の上の散歩である。
先ず、大汝山へ向けて小屋の手前をまっすぐ登っていく、山というより積み重なった岩だらけの尾根である。
山頂は狭くて、高度感がある。 ここ大汝山は立山三山の最高峰3015mの標高であった。
次の富士の折立から真砂岳~別山へ向かう縦走路は、これまでの岩から変わって礫質の砂まじりの道となる。 同じ山系の縦走路でも景色が一変する。
大汝山、富士の折立そして真砂岳を捲いて暫く、雷鳥沢と真砂沢の稜線をゆく。 別山乗越しから別山への十字路に至った頃は、辺りは濃いガスに包まれてしまっている。 そして、小雨交じりの谷から風が吹き上げるようになった。 山の天気は急変するというが、正にその通りであった。
通常、別山乗越とは、室堂乗越や雷鳥沢から登り剣御前の稜線から剣沢へ下る、所謂、剣御前小屋辺りのことを指しているようである。 だが、立山三山を縦走してしてきた場合は、この地、別山と剣御前小屋を結ぶ稜線を乗越す処を言うのが正当であろう。
この辺は本来なら正面に、深く切れ落ちている剣沢から競りあがった剱岳の勇姿が、威圧するように眺められるはずであるが・・、ともあれ、簡単な雨具を装着して剣沢小屋へ急いだ。
ここより剣沢へはいきなりジグザグの急な下りである。 折角、三千メートル峰まで登ってきたのに、ここで下ってしまうのはチト残念であるが、剣沢小屋は剣岳を目指す岳人ののメッカであり、先ずは今夜の泊まり宿でもあるので納得して小屋へ急いだ。
既に、八月の下旬の時期で、雪渓、残雪も少ないだろうと想像していたが、今年は雪が多かったらしく、所々の凹みの部分には多量の雪が残っていた。 雪渓の右縁をゆっくり下り、広い野営地に達すると小屋は目の前にあった。
次回は、剣沢小屋
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