今日は31度まで上がったが、朝夕は25度前後と気温が下がってくれた。釜石は比較的夏でも風があり、日陰に入ると暑さも薄らぐ。昨日の内陸の様子から考えると、釜石はやはり岩手県内でも他とは違って、より夏の気温が低い地域であるように思う。関東以南の高原地帯の夏の気温なのだろう。深山の渓谷地帯を思わせる。30度を超えた日中でも職場の隣りの薬師公園からはウグイスの声が聞こえて来た。鳥たちはこの暑さをどうやって乗り越えているのだろう。哺乳類・鳥類は一般に恒温動物と言われている。鳥の体温は40~42度で、多くの哺乳類より高い。激しく羽根を動かして空を飛ぶために高エネルギーを得るための活発な新陳代謝をこの高い体温が促している。また、この高い体温で抱卵と孵化が可能となっている。しかし、環境自体が高温になって来ると、人間のように発汗で体温を下げることは出来ない。鳥は人とは異なり、肺に繋がるたくさんの気嚢と呼ばれる袋を体内に持っている。吸い込まれた空気は一旦後気嚢と呼ばれる気嚢群に入り、その気嚢が中の空気をポンプのように肺に送り込む。逆に肺から出た二酸化炭素は前気嚢と呼ばれる気嚢群に排出される。体内に熱が溜まって来ると、この前気嚢を使って体外へ放熱する。また、羽根を広げることでも熱を発散出来る。羽毛におおわれていない足の表面温度は体温よりずっと低く、足への血流を増やすことでも足を通して放熱が可能だ。発汗が出来ない鳥にはこうした放熱装置が進化の中で備えられて来たのだ。夏になるとツバメやオオルリ、キビタキなどが南からやって来る。甲子川の川面にツバメが飛ぶ姿が見られる。甲子川には冬にはたくさんの水鳥たちもやって来る。今年5月7日の「Nature」電子版に「Electronics’ noise disorients migratory birds(渡り鳥を惑わす電磁ノイズ)」と言う論文が出た。ドイツのオルデンブルク大学のHenrik Mouritsenらの研究者が渡り鳥のヨーロッパコマドリで磁気コンパスを使う動物がその情報を脳のどの領域で処理しているのかを特定する研究をしている中で、AMラジオ放送に用いられる周波数帯域を含む50kHz~5MHzの電磁ノイズを遮断すると、正しく北に向けて飛び立って行くことを見つけた。鳥たちが方向感覚を磁気コンパスを一つの手段として体内に有していることはすでによく知られている。正確に毎年同じ場所にたどり着く渡りやカラスが夕方になると群れをなして巣に帰って行くことも磁気コンパスが利用されている。今や地球上には様々な電磁波が飛び交っていて、渡り鳥たちが減少傾向にあるのはそこに原因があると考える研究者もいる。いずれにしろ、身近に目にする鳥たちは人とは異なる驚異的な身体の仕組みで環境に適応して来た。しかし、その環境を人間が急速に変化させている。思わないところでその鳥たちに大きな影響を与えているのかも知れない。
昨日紫波町の丘陵地帯で見かけたひまわり