釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

子どもの貧困率が過去最悪となった

2014-07-24 19:13:52 | 社会
今月15日、厚生労働省は「平成25年 国民生活基礎調査の概況」を発表した。2012年の国勢調査に基づく世帯数を元に2012年の「子どもの貧困率」を出している。平均的所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳未満の割合は16.3%で過去最悪となった。子どもの6人に1人が貧困状態となっている。昨年の国立社会保障・人口問題研究所の調査では日本の子供の貧困率は先進・中進31カ国中10番目に高い。母子世帯など、ひとり親世帯の子どもでは、貧困率は54.6%にもなる。日本ではその大半は母子世帯で、非正規で働く人が多い。子供の貧困率が上昇してきた最大の原因は、シングルマザーの増加であり、女性の就労機会は日本では限定され、男性の非正規雇用の割合は20%程度だが、女性は50%を超えている。一般的に非正規雇用の収入だけで十分に生活を成り立たせることは難しく、離婚を期に就労した女性は非正規雇用であることが多いため十分な収入が確保できない状態になっている。厚生労働省の「非正規雇用」の現状と課題を見ると、1985年に全体の16.4%であった非正規雇用労働者の割合が2013年には36.7%まで増え、1906万人となっている。このため低所得世帯が増え続けている。子供の貧困は世帯の自己責任だからと放置するには、現在の日本の貧困はあまりに構造化している。OECDの調査によると、日本における仕事がない一人親世帯(多くがシングルマザー)の貧困率は50.4%で、仕事がある一人親世帯の貧困率もやはり50.9%とほとんど変わらない。これは日本にだけに見られる特徴的な傾向だ。仕事に就いていても貧困水準以下の収入しか得られないと言う異常な構造になっている。市場メカニズムが整備されているはずの先進国である日本でこうした事態が起きているのは、市場メカニズムが機能していないと言うことであり、セーフティネットも硬直化してことを表している。一昨日、少子化担当大臣は閣議後記者会見で、政府が今月中の閣議決定を目指していた「子どもの貧困対策大綱」を8月以降に先送りする意向を示している。15日の過去最悪となった「子どもの貧困率」を受けて、大綱の内容をより充実させるよう求める声が上がったためと思われている。政府の大綱案では教育、生活、保護者の就労、経済支援の4分野で重点施策をまとめ、貧困率や進学率、就職率などの指標の改善に向けて、おおむね5年ごとに施策を見直すことを掲げている。将来的に返済義務のない給付型奨学金の創設、学校を拠点に福祉機関と連携して「放課後子供教室」開設などの学習支援、低所得者世帯から段階的に幼児教育の無償化などを盛り込んでいる。奨学金や学習支援など、文部科学省はかなり努力しているようだが、保育、医療面などでは厚生労働省の熱意が感じられない。大綱が決定されると、都道府県ごとに具体的な計画作りに入るが、財政の厳しい地方にどれだけ重要事項が現実化されるか覚束ない。
庭の今も咲く柏葉紫陽花