釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

蓮の花

2014-07-11 19:11:43 | 自然
昼過ぎまで台風と言うよりも梅雨前線の北上で雨が降っていたが、午後には雨も降り止んで、日射しが出て来て、青空も見えて来た。気温は24~25度くらいで、夕方には晴れた空が気持ちよく広がった。大型台風8号の到来が警告されたが、東北は台風が近づくにつれ、進路が変わったり、弱まったりするので、あまり本格的な台風をこれまで経験していない。北海道にいた時も同じ理由で台風らしい台風には出会うことがなかった。子供の頃過ごした四国とはまるで違う。こうした自然の威力にはあまり遭遇したくはない。 愛知県に住んでいた頃、花の写真の一つとして、蓮の花も撮っていた。家の近くのお寺に池があり、そこに蓮の花が咲いた。岩手に引っ越して、釜石の近くに蓮の花が咲くところはないか、ネットで調べてみた。すると、大船渡市の越喜来(おきらい)地区に2000年以上前の蓮の種から甦った大賀蓮が植えられていることを知った。しかし、そこへ行ってみると、蓮は上手く育っていなかった。さらに調べて行くと、そこから少し離れた小石浜地区の農家の水田に大賀蓮が咲くことを知り、早速訪ねてみた。そこでは蓮がよく育っており、花もたくさん見られた。しかし、震災後はそこでの蓮はすっかり見られなくなってしまった。遠野の北、早池峰神社へ向かう道の途中に、3面の水田に蓮の花が咲くのを知り、そこへは毎年写真を撮りに出かけた。内陸の紫波町の五郎沼の畔にも中尊寺金色堂から発見された800年前の蓮の種から甦った蓮が咲く。蓮の根、地下茎だが、これはレンコン(蓮根)として食用でよく知られる。蓮の花が散ると逆円錐状の花托と呼ばれるものが残る。この中にドングリ状の種がある。この種も中国では食用にされている。現在の千葉県千葉市花見川区にある広大な東京大学検見川総合運動場から1947年に縄文時代の1隻の丸木舟と6本の櫂が発掘された。1949年の調査でさらに2隻の丸木舟とハスの果托も発掘された。ハスの権威である大賀一郎博士は1951年に地元のボランティアの協力で、地下6mの泥炭層からハスの実3粒を発見することが出来た。自宅でそれらの発芽を試みたが、1粒だけ見事に発芽に成功した。これが後に「大賀ハス」と名付けられた。米国ライフ週刊版1952年11月3日号では「世界最古の花・生命の復活」として紹介されている。大賀ハスは現在では日本各地で栽培されており、市販も行なわれるようになった。今、我が家の庭でもこの大賀ハスが育っている。今年花を咲かせてくれるか楽しみだ。蓮はもともとインドが原産で、インドで生まれた仏教では蓮は泥の中で育つにもかかわらず、清らかな美しい花を咲かせることから、仏の智慧や慈悲の象徴とされた。「一蓮托生」と言う言葉があるが、本来は一つの蓮に極楽往生した人がみんな身を託して生まれ変わると言う仏教用語である。蓮は蓮根だけではなく、葉や種も食用が可能であり、おそらく日本の縄文時代にはこれらが食用としても採取されていたと思われる。蓮の花は大きな花だが、色合いがとても綺麗で、花を眺めていると不思議と気持ちが清らかになる。インドやスリランカ、ベトナムでは国花になっており、日本では愛知県愛西市、滋賀県守山市、埼玉県行田市で市の花となっている。
庭に咲く桔梗