釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

悲劇は繰り返されるのか

2011-10-02 19:13:00 | 文化
今朝起きると気温は7度になっていた。一気に最低気温が下がって来た。午前中は風がいつもより強かった。道行く人たちも長袖を着ているだけでなく上着もその上から着ている。夕方には小雨も降って来た。昨日遠野の田園地帯を車で走っていると栗やクルミの木にたくさん実が生っていたが、今日の風で落ちる実も多かったろう。栗の好きな娘は昨日も落ちた栗を拾っていた。職場の駐車場のそばにある裏山のクルミの木には毎年熊がやって来る。今年もそろそろ熊がやって来る頃だろう。熊は柿の実も好物なので匠の方の庭の柿の木にも毎年熊がやって来るそうだ。月の輪熊は北海道のヒグマより大きさはずっと小さいが爪の鋭さと腕力は相当のものなので襲われると命を落とす危険性が高い。助かってもかなりの重傷になる。豊かな自然には常に危険も付きものだ。一昨日文部科学省は6月から1ヶ月かけて福島第1原発から80キロ圏内にある市町村の100カ所から採取した土壌を調べた結果、今回の原発事故で飛散したとみられるプルトニウムが福島県双葉町、浪江町と飯館村の計6カ所から検出されたと発表した。また、45カ所ではストロンチウム89も検出している。米国ですでに自動車のフィルターを使ってプルトニウムが検出されているくらいだから日本全土でプルトニウムが検出されてもおかしくない。何を今更という気がする。農林水産省は東北・関東甲信越など17都県(青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県)に出した腐葉土、剪定枝堆肥、わら等の使用についての自粛要請を未だに解除していない。これらの地域はちょうど文部科学省が管轄する放射線予測システム SPEEDI(スピーディ)で放射性物質が拡散予測された地域に当たる。現在最も心配されるのは食品の安全性だ。厚生労働省が八月から始めた「抜き打ち検査」で埼玉、千葉両県産で既に市販されていた製茶から、暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されている。昨日もスーパーで見ると三陸産の秋刀魚がもう売られていた。しかし、農水産物の検査は基本的に都道府県任せで法律がないため法的義務はない。水産庁は北海道から神奈川県までの太平洋側九都道県に、主な漁港で水揚げされる海産物の検査を週一回以上実施するよう「要請」しているに過ぎない。食品規準にも矛盾が見られる。厚生労働省は輸入食料に対しては1kgあたり370ベクレルという規準を設定しながら国内では500ベクレルという輸入食料より高い値を設定している。児玉龍彦東大先端科学技術研究センター教授は食品の徹底した検査の必要を言われている。こうしたいい加減さは何より避難地域の設定の仕方にすでに現れている。チェルノブイリ原発事故ですら原発から30Km範囲は現在でも立ち入り禁止区域となっているにも関わらず、日本では20Km範囲に留められており、20~30Km範囲を中心とする緊急時避難準備区域は解除されてしまった。除染など十分出来ていないにもかかわらず。福島市渡利地区の除染後の状態を調べた神戸大学大学院海事科学研究科の山内知也教授(放射線物理、放射線計測)は「「除染」が行われたということであったが、6月の調査において最も高い線量を記録した側溝内堆積物には手が付けられておらず、地表面における空間線量は当時の2倍に上昇していた。「除染」のモデル地区としてある通学路がその対象になったが、その報告によると平均して7割程度(約68%)にしか下がっておらず、空間線量も1~2 μSv/hに高止まりしている。」と9月20日に報告している。原子力発電所の安全性についても何ら新たな対応がとられず、事故後の放射線汚染への対応もまったくずさんな状態が放置されたままになっており、何も情報を得られない人々は知らない間に被曝し続けている。チェルノブイリ原発事故後、小児の甲状腺癌が世界で認知されるのに20年の歳月がかかっている。緊急被曝医療を担う2次機関の役割を断った福島県立医科大学は先月330床を有する放射線医学県民健康管理センター(仮称)など5施設を5年以内に新設すると報じられた。事業費は約1千億円だという。事故後、福島県内で「100ミリシーベルトは大丈夫。毎時10マイクロシーベルト以下なら外で遊んでも大丈夫」などと発言して来た山下俊一教授が副学長を務める福島県立医科大学が今回の原発事故後の被爆医療を一手に引き受けることになる可能性に危惧を覚える。
今頃咲いていた杜若(かきつばた)

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