釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

巨額な事故処理費用

2017-03-16 19:12:25 | 社会
曇天が続いたここ2〜3日だが、今日は久しぶりに青空が広がった。家の近所では梅が開いて来ていた。同じ3月でも震災の時よりも暖かく感じる。食べ物と暖房がないと、体感温度も違ってくるのかも知れない。今朝の甲子川では白鳥の姿がなかった。もう北へ向かって飛び立って行ったのだろうか。日射しを浴び、風がないと、本当にもう春だと感じられる。ようやく東北の長い冬も終わって来たのだ。 今月7日、どちらかと言うと、政府寄りのシンクタンクである日本経済研究センターが「2050年への構想」の中で、「エネルギー・環境選択の未来・番外編 福島第一原発事故の国民負担」と題し、「事故処理費用は50兆~70兆円になる恐れ-負担増なら東電の法的整理の検討を、-原発維持の根拠、透明性高い説明を 」と言う論文を載せた。昨年12月9日、経済産業省は東京電力福島第一原発の事故処理にかかる総費用が22兆円になると発表した。事故処理費用は事故の翌年には6兆円としていたが、その2年後には11兆円と訂正し、昨年はさらにその2倍と変更して来た。変更しただけではなく、その一部を電気料金に上乗せして、国民負担とした。日本経済研究センターは経済産業省の甘い試算を指摘した上で、独自に試算すると50兆円ないし70兆円を要すると結論付けている。この20兆円の差は「汚染水100万トン程度に分含まれるトリチウムを取り除く」費用で、「トリチウム水を希釈して海洋放出」した場合は20兆円は必要としない。経済産業省の試算は、1979年のスリーマイル原発事故を参考に試算しているが、福島第一原発事故はスリーマイル島原発事故をはるかに凌ぐ。溶融した核燃料はスリーマイルでは原子炉圧力容器の底で止まったが、福島第一では原子炉容器には止まっていない。この論文ではさらに、「経済面でいえば、本来であれば、東京電力の法的責任を明らかにし、資産の清算を行ったうえで、消費者・国民の負担を問うべきであろう」と、「法的整理をすれば、賠償主体がなくなる」と言う国の曖昧な姿勢を批判している。国民負担については「(閣議決定という)政府の一存で可能な仕組みになっている」として、安易に「国民負担を増額させることになるのではないか」とまで言及している。昨年の消費税収予想は17.2兆円である。それを考えれば、事故処理費用がいかに多額になるか分かるだろう。東京電力は私企業である。私企業がこれだけの負担を負えば倒産しているはずである。私企業である東京電力を倒産整理させないまま、国民負担を増やすことに政府系シンクタンクですら批判的である。論文では高速増殖炉についても、「商業的な見通しも見えない」状況で、「多額の資金をつぎ込む余裕はないはず」とやはり政府の核燃料サイクルにしがみつく姿勢を批判している。今だに甚大な被害をもたらす放射性物質を抱え、途方も無い経済負担を要し、廃炉作業の工程すら見えない。決算を延期しなければならない状態に追い込まれている東芝に作業用ロボットの開発を任せてもいる。世界が原発から距離を置こうとする中で、日本だけが無理やり原発を推し進め、それに関わる企業が大きな負債を抱えても政府が国民負担で保護しようとする。
ウミネコ

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