釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

秋風の猊鼻渓

2016-10-03 21:04:25 | 自然
曇天や雨が続いた中、10月1日の土曜日は珍しく、秋晴れの快晴となった。引越しの手伝いの中休みを兼ねて子供達と平泉に出かけることになった。平泉の毛越寺のそばに曲水亭と言う和風料理の店があり、そこの前沢牛の柳川定食と言うのが我が家の好物だ。大阪から子供達が来ると、一度は食べに行く。肉を普段あまり食べない息子もここの料理だけは好きだ。土曜の昼と言うのに、客は他にはおらず、なおゆっくりと食べることが出来た。食後は子供達がまだ行っていない猊鼻渓(げいびけい)の舟下りに行くことになった。平泉町の南に接して一関市があり、その一関市には北上川を挟んで、東西に名勝の渓谷がある。東に猊鼻渓、西に厳美渓(げんびけい)がある。いずれも2Kmほどの渓谷になっており、それぞれ北上川の支流である砂鉄川に猊鼻渓が、栗駒山を水源とする磐井川に厳美渓がある。猊鼻渓は100m近くの岩肌や山肌が両岸に迫る日本百景の一つで、厳美渓は大きな奇岩が並ぶ国の天然記念物である。猊鼻渓の船着場からは先端が平たくなった30名ほどが乗れる舟が出る。船頭が竿で舟を上流に向けて操る。岩手はかって馬の生産が盛んで、その馬を運ぶために舟の先端が平たくなっていた。川の流れはとても緩やかで、風がなければ、鏡のように両側にそびえる景色を映し出す。最深でも1mほどしかない川にはたくさんのウグイやコイが泳ぎ、舟に伴走してどこまでも付いてくる。この川に住み着いたカルガモも一緒になって舟に近づき、中には乗舟客の手から直接餌をとるカルガモもいた。快晴にもかかわらず、峡谷には影が刺し、秋の風が吹き、とても気持ちのいい舟下りであった。舟下りの中ほどの桃源郷を思わせる古桃渓の上方の地には源頼朝の軍勢に敗れた奥州藤原氏の落武者たちの隠れ里があったと言う。江戸時代までは秘境であり、藩にも知られてはいなかった。明治になり、ようやく一般に知られるようになった。外国人の一団も貸し切った舟で楽しんでいた。30分ほどで上流の三好ケ丘に着き、そこで舟を降りて、上流に向けて、5分ほど歩くと、この渓谷のいわれである獅子ヶ鼻を対岸の岩肌に見ることが出来る。同じく対岸の岩肌には小さな鍾乳洞があり、そこに向けて「運だめし」の石を投げる。外国人客の一人が見事にその穴に石を投げ入れていた。帰路は女船頭の歌う民謡に心をさらに和ませて、清流に吹く風に浸っていた。子供達もとても感激し、いつか米国人の友人を連れて来られれば、と願っていた。


ウグイ

獅子ヶ鼻

運だめしの小穴

民謡を歌う女船頭さん


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