釜石の日々

ほどほどの雨ばかりではない

釜石では昨日から今日の昼頃まで勢いのある雨がずっと降り続けた。近くの甲子川を流れる水の音が響いて来る。庭の野草たちも首をうなだれてしまった。幾種類かの八重桜もせっかく開いても雨に打たれ続けていた。昨夜は釜石になだれ警報が出されたほどだ。昼過ぎからようやく小降りになりやがて雨が上がった。犬たちもこの勢いのある雨の中に出してやるしかなく、ずぶ濡れになった。何度も身体を振って水しぶきを撥ねるが、すぐに雨で濡れてしまっていた。雨は人や動物、植物に合わせて降ってくれるわけではない。それでも生きている物は強い。庭の植物を見ているとそう感じてしまう。厳しい寒さの冬枯れの中で、ほとんど土だけの状態を見ているともう駄目になったのだろうと諦めていた花たちが春になれば新芽を次々に出して来る。雨がどれだけ激しく降ろうが、小雨になって来れば、少しずつ頭をもたげて来る。人でも先日見た中国映画の越国の王、勾践のように呉国夫差に敗れて、奴隷としてどれほど虐げられようと、生きること、生きて復讐することに執着して、ついには復活する。人の場合は生き方に見方は色々あるだろうが、ともかく、生きる力には感心させられる。しかし、自然は生きるものの力を超えた破壊力をもたらすこともあることを昨年の地震と津波が我々に思い起こさせた。そして、それを軽視した科学技術など大自然の破壊力の前では如何に脆いものであるか、脆いだけではなく、安易に科学技術を応用すれば人に被害さえ与え得ることを示した。明日から北海道電力泊原発が定期検査に入り、日本の原発稼働はゼロになる。関西電力大飯原発の再稼働を急ぐ政府もさすがに思わぬ批判に出会って、当初の予定を進めるわけには行かなくなっている。関西電力も今夏の電力不足を訴えて、稼働に進みたがっているが、電力不足を示す資料自体へも批判が出ている。環境経済学が専門の京都大学諸富徹教授は共同通信のインタビューで「電力不足で原発再稼働が必要だとするなら、関西電力はまず節電や需給調整契約を含む需要抑制や、供給力を増やす取り組みが十分か、なぜ他社と同じ水準にできないかを説明する責任がある。」と述べておられる。夏場の電力消費のピーク時に企業や事業所の電力消費を控えてもらうためにあらかじめ企業と取り決めをしておく「需給調整」契約が関西電力では電力9社平均5.1%を下回る3.1%であり、こうした努力を十分していない。同教授は「他の電力会社からの融通や、節電、揚水発電の活用などで夏を乗り切れるとの指摘もある。」とも述べておられる。ごく普通の感覚を持っていれば地震や噴火の活動期に入った日本で、十分納得出来るデータも揃えないで、安易に稼働の必要性を訴えれば、逆に不信感を増幅させるだけだろう。人の生活の基盤を奪ってしまう事態を招きかねない事柄を経済的視点だけで再稼働を急ぐことはもはやできないほどに電力業界や政府は信頼を失ってしまっているのだ。今、日本に重要なことは欧州や中国にまで遅れを取ってしまった自然エネルギーを含めた今後のエネルギーの方向性を打ち出して行くことだろう。原発が廃棄物処理や事故後の処理を考えれば経済的にも割が合わないことはすでに明らかになっているのだ。
我が家の敦盛草の中で最初に開いた純白の敦盛草
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