釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

医療費を削減するためにも

2016-06-09 19:13:46 | 社会
戦前から1950年までは日本人の死因の第1位は結核だった。それからは1980年までが脳卒中が第1位となった。そして、1980年以後は癌が第1位となって、年々増え続けている。癌が増え続ける要因の一つは長寿だろう。癌は若年者にも発生するが、基本的には高齢者の病気だ。結核のような感染症は明らかに免疫と関係しており、近年減少はしているが、それでも20代の感染者が30代や40代よりも多く出ている。脳卒中は緩やかだが、現在も減少している。癌だけは増え続けている。癌による死亡も以前は胃癌が抜きん出ていたが、ピロリ菌の除菌も行われて来たので、減少し、今では男女合わせて肺癌がトップとなっている。男女別で見ると、男性では肺癌、胃癌、大腸癌の順で、女性では大腸癌、肺癌、胃癌の順だが、男女ともに膵臓癌が増えて来ている。癌が増える要因として高齢化を除けば、環境の変化があり、特に体内に直接入る食品の影響が大きいと思われる。微量であっても毎日口から体内に入るものが蓄積されれば、体内の細胞に影響を与えて来る。欧米化された食事が明らかに癌の発生を高めたと考えられるが、伝統的な日本の食事も今では素直に良しとは出来ない。穀類や野菜には農薬が使われ、肉類や乳製品には牧畜の段階で抗生剤や成長ホルモンが使われて久しい。海に囲まれた日本は長く魚介類を食卓に取り入れて来た。しかし、その魚介類も特に沿岸部のものでは汚染を免れない。ごみ焼却施設や農薬などの合成過程、プラスチック製品の製造過程、紙の漂白過程などで発生するダイオキシンは水に溶けず、分解もされにくく、空気中を漂った後、土壌の上に降下して、雨で流され、川を通じて海に流される。そこでは食物連鎖で大魚や甲殻類に蓄積される。15年ほど前に沿岸部の魚介類に高濃度のダイオキシンが含まれていたことが問題となり、農林水産省や厚生労働省も対策をとり、現在まで毎年魚介類の抽出調査を行っている。しかし、昨年10月15日に厚生労働省が発表した「平成26年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について」では、魚介類ではアジ、イカなどわずか6種をそれぞれ5匹ずつ調べただけである。一般に指標とされるスズキは含まれていない。多く蓄積される甲殻類も含まれてはいない。ダイオキシンは催奇形性のあった枯れ葉剤で最初に注目された。その後の研究で免疫力を低下させたり、発癌性があることが分かった。口から体内に入るもので問題なのは微量を繰り返して蓄積して行くものだ。低濃度を長期に摂った結果は無視されている。原発事故でも高濃度で比較的短期に確認できるものだけを重視し、一般には低濃度のものはやはり軽視されている。高齢化とともに医療費は急増して来ているが、予防こそが医療費削減の基本であり、発癌因子となるものの強い規制こそが重要だ。残念ながら、世の中はお金にならないものには誰もが目を向けない。
雪の下

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