5日の日本経済新聞は、「経済対策、事業規模26兆円 政府が閣議決定」と題する記事を載せた。国や地方からの財政支出が13.2兆円で、民間の支出も加えた事業規模は26兆円となる。2016年にも、国や地方からの財政支出13.5兆円、事業規模は28.1兆円と言う同様の経済対策を行っている。1990年代初頭にバブルが崩壊してから、日本銀行は金融緩和を開始したが、1998年に日本長期信用銀行、日本債権信用銀行などが破綻する金融危機が発生し、翌年から、「ゼロ金利」を開始せざるを得なくなった。しかし、これも効果は芳しくなく、経済低迷は続き、2008年のリーマン・ショックでは、米欧まで日本銀行に倣い極端な金融緩和を始めた。これにさらに輪をかけるように日本銀行は2013年からさらに異常な金融緩和をとった。それまでにも金融緩和は実体経済への有効性を失っていることが明らかであったにもかかわらず、一度決めたことは途中で止められないのだ。これだけ異常な金融緩和もやはり実体経済へは効果がなく、結局は政府が債務に債務を積み重ねて、財政支出を拡大した。しかし、これも実体経済へはわずかな効果しかなかった。経済低迷の根本原因を分かっていないからだ。斜陽産業を保護し、先端産業を政府自ら潰して来た。産業構造の転換をせず、生産労働人口の減少にも歯止めをかけず、就労者の実質賃金の低下を放置して来た。財政政策も旧態依然とした土木建設事業が主体である。教育・研究の軽視は先進国としてはあまりにも無残だ。これだけ無策が続いて来ても、過去の遺産で、政府債務は何とか持ち応えて来た。しかし、現在の世界的な景気減速の中で、世界のどこかで金融危機が発生すれば、その衝撃はリーマン・ショックを遥かに超え、異常な金融緩和で脆弱となっている日本の金融機関をなぎ倒し、政府債務ももはや破綻状態を免れなくなる。かっては、日本は米国に迫る経済大国として、米国に脅威と見做されるまでの規模に成長したが、今では、米国をはじめ世界の先進国から、債務負担にどこまで耐えられるか注視される惨めな国になってしまった。人口減少・高齢化、経済の低成長、膨大な政府債務、マイナス金利の異常な金融緩和と中央銀行の株と国債の購入など、全てが先進国の先頭に位置し、他の先進国が注視している。しかも、再び長い金融緩和が、オリンピックもあって、都心部で不動産バブルを生み出している。4日の日本経済新聞がその実態を報じている。「マンション価格、年収の10倍超え続く 18年の都内 」と言う見出しで、「平均年収に対する倍率は新築で13.3倍、中古で10.49倍だった。新築は7年連続、中古は6年連続で上昇しここ10年で最高を更新した。一般世帯にはますます手が届きにくくなっている。」と書いている。実体経済の指標が悪化している中で、超低金利が再びバブル時代の再現を見せている。10月の消費は消費税の増税で落ち込んだことが明らかになり、政府は慌てたのだろう。ここぞとばかりに、利権がらみの「経済対策」を打ち出した。放漫財政も行き着く所まで来ている。
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