釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

国際金融資本

2024-03-07 19:20:51 | 社会
NHKはじめ日本の主要メディアは中国やロシアの悪い経済指標は即座に報じるが、日本の経済の衰退や生活の悪化には触れない。戦後、資本を蓄積した米国は、大戦で荒廃した欧州や日本に復興プランを設け、日本や欧州は産業を復興させた。米国自体も産業が盛んで、米国は産業の世界的リーダーであった。産業が栄え、賃金上昇があれば、国の経済は成長する。1960年代までの米国は産業資本主義を維持していた。しかし、安価で良質の製品を日本やドイツが作り出すようになると、次第に米国産業は衰退した。代わって米国では金融資本主義が登場し、シカゴ大学ミルトン・フリードマン教授の提唱する市場原理主義、いわゆる新自由主義を取り入れた。金融資本主義、新自由主義は資本がさらなる資本を求め、超富裕層を富ませるための資本主義だ。企業へは短期的な利益の最大化と、株式配当の最大化を求める。その結果、賃金は圧迫され、企業の開発・研究費は削減される。研究開発費を企業が投じるよりも、すでにその技術を持つ企業を買収する、いわゆるM&A(企業合併・買収)が横行する。ソ連が崩壊すると米国中心の国際金融資本が新興財閥、オルガルヒとともにロシアの重要産業を買い占め、ロシア国民は凄まじい貧困状態に陥った。中国が米国と国交回復すると、中国にも米国の金融資本が投じられ、中国の経済成長が始まったが、同時に、ロシアと同じく腐敗、汚職も蔓延した。プーチンや習近平は金融資本主義を拒否し、産業資本主義に舵を切った。米国政界を牛耳る金融資本はこれが気に入らず、ロシアと中国を攻撃する。産業資本主義は製造業を重視し、研究開発に資金を投じ、能力ある技術者や研究者を重要視する。効率の良い資本配分を図るためにプーチンも習近平も腐敗汚職をそれぞれのやり方で撲滅することを選んだ。金融資本主義、新自由主義を導入した日本や欧州は次第に産業が衰退し、賃金も資本に奪われ、GDPの6割以上を占める消費の減退が進み、経済成長力を失って行った。日本での非正規雇用の拡大は消費の減退に直結している。日本では中国人による日本の土地や建物の取得を問題にしても、米国金融資本による主要産業の乗っ取りは全く問題にしない。主要メディも米国資本が投じられているためだ。企業名は変わらないが、事実上、日本の主要企業にはほとんどが米国資本が投じられている。名ばかりの日本企業であり、従業員の賃金も抑えられる。金融資本主義は政治や公共へも資本を投じる。無論、そこから利益を得る。日本や米国、欧州の政治家、官僚はこうして、金融資本に従属する存在となった。政治は国民のためではなく、金融資本に奉仕する。国民の税金が金融資本の利益のために投じられる。「民営化」とはその意味だ。公務員の非正規雇用の拡大も同じだ。新自由主義の立役者、竹中平蔵は派遣会社パソナで、非正規雇用を拡大させた。民営化の促進、外資導入を進めたのも彼だ。シカゴ大学教授を務めた東京大学名誉教授の経済学者、故宇沢弘文は、竹中平蔵は経済学者ではない、と言い切った。まさしく政商そのものだ。金融資本は政治を動かし、国からの教育・研究費を削らせ、代わって、金融資本が大学など研究に資金を投じ、研究者を金融資本のために利用する。その結果、新自由主義、金融資本主義を取り入れた国々の大学の研究レベルが惨めなまでに低下した。1990年代、日本の半導体は、富士通、東芝、日立など、世界のトップであった。これを米国の金融資本が米国政治を通して潰した。自動車も同じだ。韓国サムスン、台湾TSMCはこの隙間を狙って勃興した。米国は敗戦国である日本やドイツが米国の前に出ることを許さない。ドイツは日本に遅れて今、米国に従属したことで、自国産業を壊滅させている。ドイツの主要企業であるベンツは、国内消費の減少で国内のベンツ販売店を売り、BMWとともに中国に合併工場を造る。ロシアからの安い天然ガスや石油を、米国により絶たれ、国内産業はエネルギー価格の高騰で立ち行かなくなり、ドイツ国内から米国や中国へ逃げ出した。金融資本主義、新自由主義は国民の所得を減らす。しかし、その国の経済は国民の消費に大きく左右される。新自由主義を取り入れた国々で経済成長率が低下するのは当然だ。日本は資源のない島国であり、多くを輸入に頼り、日本経済も輸出で支えられている。その輸出・輸入の相手国はほとんどが中国がトップだ。この状況は日本だけでなく、米国や欧州でも同様だ。中国が世界の工場となった現在、当然でもある。経済が衰退し、輸入に頼らざるを得ない日本は近隣諸国とは緊密な外交関係が必須だ。しかし、日本はその近隣国家である韓国や中国を卑下する。経済を維持するための生産労働人口を考えても、日本は暗澹たる状態だ。一昨日の東京新聞は、「昨年の出生数は過去最低 少子化対策、国民負担増なら悪循環に」を報じた。「厚生労働省が2月27日に公表した人口動態統計の速報値によると、2023年の出生数は統計開始以来最少の75万人台となりました。初めて80万人を割った22年から5%以上減り、少子化が一段と加速しました。」。昨年4月1日から「こども家庭庁」が発足したが、年間予算は5兆円だ。こんな官僚組織に5兆円を注ぎ込むよりも、その5兆円を直接、出産の補助や幼児の保育に回した方が、よほど少子化対策になるだろう。しかし、現在の政治も行政も利権につながらないことはやらない。大きな政府債務を抱えた日本であるにもかかわらず、国費をあまりにも無駄に使う。すでに3ヶ月を超えたが、いまだに能登半島の被災者は「雑魚寝状態」だ。3日の毎日新聞は「「体育館に雑魚寝」から変わらない日本 イタリアはホテルに避難も」を報じている。とても「先進国」の対応とは言えない。電通が関わる大阪万博では、トイレだけに2億円を費やす。政治家や官僚に何らかの利益が期待出来ない能登半島の被災者には、政治家も官僚も容易には動かない。これが金融資本主義に毒された日本の現状だ。もっとも、事情は米国や欧州も変わらないが。欧州各国で農民の抗議運動が繰り返されており、米国では800万人にも及ぶ不法入国者を政府が支援し、国内では麻薬が蔓延し、店舗での略奪が平然と行われ、銃撃を含む暴虐が絶えない。金融資本主義の最も明らかな例は、新型コロナとそのワクチンだろう。各国政府はファイザーやモデルナが短期間の治験しか行っていないにもかかわらず、安全性を無視して採用した。東京大学はモデルナと提携し、京都大学はファイザーと提携し、mRNA技術などを発展させて行くと言う。mRNAワクチン開発に巨額を投じていたビル・ゲイツがコロナ禍で投資資産を20倍にし、日本の首相に簡単に会う。国際金融資本(超富裕層)は、世界経済フォーラムWEFを通して、各国に混乱をもたらし、その混乱に乗じて「グレート・リセット」を目指す。デジタルID、中央銀行デジタル通貨CBDCによる国民管理の実施だ。超富裕層たちは、自分たちの思うような世界を造るために狂気じみたことを平然と金の力で行なっている。ウクライナやパレスチナも混沌を作り出すための一つとしてしか見ていない。
国際通貨基金IMFの2024年経済成長率予測
2%を超えるのはロシアと中国のみ


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2 コメント

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Unknown (グローバルサムライ)
2024-03-09 03:41:44
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタインの理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズムにんげんの考えることを模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。どこか日本らしさのある多神教的でなつかしさのあるなにかによって。
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Unknown (管理人)
2024-03-09 21:06:41
グローバルサムライさんへ、
コメントありがとうございます。
AIは原子力と同じで、人の世界を大きく変えるものだと思いますが、科学者とその成果を用いる人とはまた思惑が異なります。原子力と同じで、AIも最終的には人のコントロールしきれないものになるだろうと思っています。
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