釜石の日々

米国は米国の利益のために日本を利用する

先月12日、沖縄県うるま市沖で米軍ヘリが米艦船上への墜落事故を起こした。しかし、この事故に対しては一切の情報が明らかにされていない。日本の領海内での事故であるにもかかわらずである。24日には相模原市中央区の米陸軍相模総合補給廠で爆発事故が起きたが、日本側には調査権、捜査権がなく、やはりなぜ爆発が起きたのか不明のままだ。以前、ここには米軍基地からの廃棄物が集められ、環境問題となった。周囲には住宅がある地域だ。2004年8月の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故では、すぐに構内封鎖が行われ、やはり沖縄県警の現場検証が拒否されている。在日米軍専用施設の74%が集中する沖縄では米軍の兵士による犯罪も多発しており、2013年1月16日付琉球新報によると、「1996年以降に発生した殺人、強盗、放火、強姦(ごうかん)の凶悪犯罪の米兵被疑者118人のうち、逮捕せず身柄不拘束で事件処理されたのが約半数の58人で、強姦では米兵35人のうち30人と85・7%までもが不拘束だった。」とされる。「日本を守る」とされる日米同盟により、日本には現在31都道府県に『在日米軍施設・区域(専用施設)』が存在し、米軍が関連した事件や事故には日本側の捜査権も調査権もない。1952年4月サンフランシスコ講和条約の発効とともに米軍の表向きの占領政策は終わった形になったが、米ソ冷戦が明らかになって来たため、同じ年の2月には1951年9月成立の旧日米安保条約にもとづく日米行政協定が結ばれ、それを継承する形で1960年の新安保条約締結時に「日米地位協定」が結ばれた。従って、この「協定」の基本はサンフランシスコ講和条約の発効以前にすでに作成されており、まさしく「占領下」に適応される内容をそのまま現在まで引きずっている。このことが世界でも異常なことは他の米軍施設のある国々と比較すれば一目瞭然だ。日本では米軍機が日本の航空法を適用されないで、自由に飛べるが、同じ敗戦国のドイツでは米軍機の飛行は国内航空法が適用されている。またやはり敗戦国のイタリアでは米軍はイタリア軍の許可のもとでなければ行動出来ない。お隣の韓国でも何かあれば共同調査権を持っている。ニュージランドは米艦船が寄港する際、核兵器を搭載するかどうか不明の時に入港を拒否している。イラク戦争後のイラクでさえ、米軍機の中東諸国への出撃は拒否している。世界に展開する米軍が駐留する国々の中でも日本だけが米軍に対しては国内法が適応されない。このあまりにも不平等な「協定」を歴代政府は変えようとはせず、唯一この不平等を改めようとした鳩山由紀夫内閣は潰されてしまった。日本人は日米安保条約によって、米国が日本を守ってくれため、こうした不平等もやむを得ないと考えてしまう。しかし、これほど不平等な「協定」を卑屈に受け入れている政府は他の国には見られない。独立国家では考えられないことだ。戦後日本は対米従属一辺倒でやって来て、米国の一部と言っていいほどの従属の仕方であるが、その米国の一部すらでもない。問題のあるオスプレイは米国国内では訓練飛行すら出来ないにもかかわらず日本では自由に飛行出来る。安倍首相が何故日本国内より先に米国で安保関連法案の成立時期を発表したか、それは未だに日本は実質的に米国の占領下にあるからだ。世界でも稀に見る屈辱的な「地位協定」を甘受する日本は安倍首相がいくら軍備を拡張して「強い日本」を作ろうとしても、他国からすれば、主権国家とは見えていない。日本だけでは戦争を含めて重要な外交方針は決められないのだ。経済やその他の日本の制度についても1994年からは直接的に「年次改革要望書」が米国から示され、それに従って民営化などが促進された。しかし、これもやはり鳩山由紀夫内閣は拒否した。そのため米国は以後「日米経済調和対話」として要望を出すようになっている。従わなければ、その内閣は潰されてしまう。対米従属を拒否し、日本の真の独立を目指そうとするものが米国の意を汲んだ人たちから潰された様は元外務省官僚の孫崎享氏の『戦後史の正体』に詳しい。
薊(あざみの)花
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