釜石の日々

緑茶と紅茶

釜石では今日は午前11時に最高気温3度になり、以後は気温が低下し、昼前から3時間近く雪が降った。しかし、その後は空が晴れて、日射しが出て来た。昨日発表された岩手県の新たな新型コロナウイルス感染者は、6人だが、5人が宮古市、1人が大船渡市とまるで釜石市を南北から挟み込むような発生であった。昨年末で、人口が3万2176人でしかない「陸の孤島」の釜石市では1月12日の8人目を最後に、以来、新規感染者は出ていない。職場の関連施設では、毎週東京から2人の人が来ていたが、緊急事態宣言以来、中止されている。かって東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長も歴任された東京大学・シカゴ大学中村祐輔名誉教授は、先月のブログで、「日本の国家的な対策も科学からは程遠い。外出を控えることを念仏のように唱えても、戦争中の精神論のようなものだ。中小民間病院にコロナ患者の受け入れを迫るのは愚の骨頂だ。医療施策としては、最悪手で、医療壊滅を招く。」とし、一昨日には「そもそも、今のシステムでは無症状感染者を放置するように制度設計されているのだから、あと何度か、「緩和と制限」を繰り返すしかない。ワクチンの有効性には期待が持てるが、どのように供給されるかも定かではなく、副反応のリスクはやってみないとわからないというのが、科学的な見解だ。」「徹底したPCR検査とゼロコロナ目標を!」と書かれている。無症状の人が本人も気付かずに、移動することで感染を広げる。オリンピックありきで歪んでしまった東京都と日本政府のコロナ対策では、延々と感染は続いて行く。少しでも自己防衛になるものを取り入れるしかない。2009年に新型インフルエンザウイルス感染が発生したが、当時、静岡県立大学は、急須で入れた一般的な緑茶に含まれるエピガロカテキンガレート(EGCG)の濃度で、実験で新型インフルエンザウイルスを含めた3種のウイルス感染を半分に抑制することを示している。インフルエンザウイルスも新型コロナウイルスも一本鎖のRNAウイルスである。しかし、その後、国立感染症研究所が調べたところ、緑茶よりも紅茶の方がずっと強くインフルエンザウイルスの活性を抑えた。緑茶を半発酵(酸化)させたものがウーロン茶であり、完全発酵させると紅茶になる。緑茶の主なポリフェノールであるカテキンには4種あり、緑茶のエピガロカテキン(EGC)とエピカテキン(EC)が発酵(酸化)により重合したものが紅茶のテアフラビンで、このテアフラビンがインフルエンザウイルスの突起に付着した場合が最も人の細胞への侵入を抑えるた。昨年11月28日読売新聞は「市販のお茶に「コロナ無害化の効果」…カテキンが関係する可能性、教授が指摘」を載せた。4種類の市販されているペットボトル入りの茶を使って、新型コロナウイルスの不活化実験を奈良県立医科大学矢野寿一教授(微生物感染症学)が行った。その結果、「30分後に紅茶は99.99%、大和茶は99.9%までウイルスが減少。ペットボトルでは緑茶1種類も99%まで減り、別の緑茶はあまり変化がなかった。」。記事では「不活化する仕組みは不明だが、お茶に含まれるカテキンが関係する可能性を指摘した。」とあるが、恐らく不活化の仕組みは国立感染症研究所のインフルエンザウイルスで見られたものと同じだろう。どちらのウイルスも突起により細胞側の受容体、レセプターに付着し、細胞内へ侵入可能となる。突起に紅茶のテアフラビンが付着し、細胞側の受容体にウイルスが付着出来なくなる。細胞内へは入れなくなるので、ウイルスは自分の複製を作れなくなる。ただ、国立感染症研究所でインフルエンザウイルスの実験を行ったバイオメディカル研究所の中山幹男博士によれば、インフルエンザ感染者が紅茶を使うことで、他人への感染を防止出来る可能性があるが、感染していない人が紅茶を使っても感染の予防効果は期待出来ない。インフルエンザは鼻からの呼吸で感染するためだと言う。いわゆる空気感染である。新型コロナウイルス感染もやはり先日書いたように空気感染である。動植物が地上で発生してから、太陽光は恵と害の両方をもたらした。紫外線は強力な酸化作用をもたらす。植物もその酸化作用に抗う手段を身に付けた。それが様々のポリフェノールである。茶類のカテキンもその一つだ。人では紫外線だけでなく、呼吸そのもので取り込まれる酸素が体内で活性酸素を発生させ、病気や老化を促進させている。紅茶や緑茶のカテキン類は人の体内でその酸化を抑えてくれるが、ウイルスでは、ウイルスの突起に付着して、その突起を構成するタンパク質を抗酸化作用により変質させるのかも知れない。ただ、抗酸化作用は紅茶よりも緑茶の方がずっと強いので、紅茶の抗ウイルス作用は、含まれるテアフラビンの抗酸化作用とは別の作用による可能性がある。ウイルスには紅茶がいいようだが、どうも感染防止にはあまり期待出来ないようだ。
先日職場の玄関先で枯葉に混じって小さな花が咲いていた
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