釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

キノコ

2016-04-01 19:14:17 | 自然
今朝は放射冷却で1度ほどに下がったが、日中はよく晴れて、青空が広がった。日射しがよく当たるせいか、職場の裏山の赤と桃色の椿がたくさんの花を付け、近くの桜も蕾が膨らんで来ていた。来週あたりにこの桜も咲くのかも知れない。例年釜石では一番最初に咲く桜の一つだ。しかし、昨年はむしろこの桜は他の桜に比べて遅くなった。早くも4月に入ったので、これからはたくさんの花が咲いてくることだろう。 先日、秋田県生まれの方からキノコ料理をいただいた。ムキタケと言う初めてのキノコだった。調べてみると、ムキタケはミズナラやブナ、シナなどの広葉樹林の中で育ち、そうした樹林に富む秋田県では豊富に採れるキノコのようだ。初めてのキノコであったが、料理も手伝ってだろうが、とてもまろやかで口に溶け込むような美味しさであった。ムキタケは形が光る毒キノコであるツキヨタケに似ている。大きさはツキヨタケの方が少し大きく、色もツキヨタケの方が濃い褐色調になる。北海道に住んでいた時に、普通によく目にする毒キノコを味噌汁に入れて食べた家族がいて、その何人かが亡くなったことがある。キノコや山菜はやはりよくその土地を知った人に教わらないと、時には危険な目に会う。キノコは山や森林の植物相の中に入り込んだ「菌類」であるが、キノコが分泌する酵素によって、植物を構成するたんぱく質を分解し、分解されたものを植物が再利用する。自然界ではキノコは重要な役割を担っている。実は北海道から東北にかけての縄文時代中期末葉から後期前葉の時代の遺跡からは「きのこ形土製品」が多数出土している。もうまるでマツタケのような形そっくりに土で作られたものだ。青森県の縄文遺跡である三内丸山遺跡では多くの魚や植物の実などが出ており、おそらくキノコも食用に採られていたと思われる。残念ながら食用のキノコは柔らかく、腐りやすいために遺跡からは発掘されることがないが、キノコそっくりの土製品を見ると、縄文人達の貴重な食料であったことが理解できる。岩手県だけでも20遺跡を超えて、50点以上のそうしたキノコ形の土製品が出土している。雪の多い地域にはブナ林が生育しやすいのだろう。そんなブナ林がまた多くのキノコを寄生させる。そして互いに利用し合って、自然界で循環しているのだろう。人間もその循環の中で折り合いながら、食用としてキノコを採らせてもらって来たのだ。
日向水木(ひゅうがみずき) 姫水木とも言われる

最新の画像もっと見る

コメントを投稿