釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

元外交官の講演を聞いて

2012-01-08 19:19:17 | 文化
昨日よりさらに青空が広がったが、風が冷たく、朝は-4度まで下がった。日中もあまり外へ出る気がしない。外の犬たちにも長椅子用に売っている布団を与えると、二匹ともそれを上手く使っている。一匹などは上手に下り畳んでその上に丸くなって休んでいる。とても居心地がいいようだ。夕方には東の空に満月に近い月が昇って来た。何となくネットをさまよっていると、孫崎享高知講演 「日米同盟を語る」という動画に行き当たった。少し見ていると面白そうなので、そのまま最後まで見てしまった。孫崎享氏は東京大学法学部を卒業後外務省に入り、国際情報局長や駐イラン大使をされている。外務省をその後止めて、防衛大学校教授を7年間勤めている。著書もいくつか出されており、基本的には対米従属の危険を訴え、防衛面での自主防衛を主張される。先輩にあたる岡崎久彦氏とはかなり考えが異なっているようだ。この講演では原発事故に見られるように一般にこれまで信じられて来ていたことと、事実は異なっているのだと言うことを強調され、政府やマスコミ、さらには学者すら、事実を丁寧に拾い上げれば、事実は言われていることとかなり違っていることを、条約や米国高官の発言を引用して説明されている。考えれば当たり前のことなのだが、米国は米国の都合で動くのであって、同盟国だからと言って、自国を犠牲にしてまで米国は日本のために何事かをやってくれることは無い、とされる。9.11についても、ちょうど時期的に国防予算を増やせない状況で、ブッシュ元大統領が「21世紀のパールハーバー」だと日記に書いていることなどを上げて、CIAから前もってテロの具体的な情報を得ていたにもかかわらず、未然に対策をとらなかった事実を指摘されている。また、鳩山由紀夫元首相が掲げた「東アジア共同体」構想がその後いつのまにか消えて、再び、対米従属型の外交姿勢に変化した裏に、米国からの強い圧力があった事実を披露されている。Japan as number oneと言われた1990年代初めに、米国は日本に対して非常に脅威を感じて、CIAの予算の4割を経済問題に設定するようになり、日本への攻勢を強めて行ったのだと言う。外務省で国際情報局長をやっていた経験からスパイになる人はだいたい脛に傷を持つ人が選ばれるのだと言う。原発導入も1954年 3月の第五福竜丸事件後、翌年核実験禁止運動が日本で起きたことから、急遽その年の末に導入が計画されたという。正力松太郎氏はまさにCIAとともに動いた。孫崎氏によれば伊藤忠商事の会長になった瀬島龍三氏もその一人だろうと言われる。米国では1960年代の公民権運動とともに黒人だけではなく、ユダヤ人も力を得て、その後はユダヤロービーを形成し、今や米国の国会議員でユダヤロビーを無視することができる人はいないだろう、と言われる。それほどに、米国の政治はユダヤ人からの影響が強くなっている状況だとされる。話のおおよそはだいたいそんなものなのだろうと以前から考えていたことであったが、こうして、外交の中心にいて、国防の中心にもなる防衛大学校元教授を勤めた方から直接具体的な話を聞くと、一層、現在の日本の置かれている状況が明確に見えてくる。TPPについても、単に農業だけの問題ではなく、24分野に渡って影響があり、医師会副会長が述べた内容を例に、確実に保険診療が狭められて行く可能性を指摘されている。ただ、こうして具体的な事実を知れば知るほど、一方で、このまま日本は流れに任せて流れて行くだけなのだろうという諦念が沸き上がって来る。やはり、米国の圧力は並ではないのだ。政治の中枢もほとんど抵抗はできないだろう。崩壊し始めている米国は必死で国力の回復に取り組んでいるはずだ。簡単に首相の首がすげ替えられる日本の政治状況では何も期待はできない。2015年前後に日本はデフォルトに至ると予想する投資家も多いと言う。政治も経済も自然界もそれぞれ一時にあまりにも大きな問題がそろって出て来ている。
ロバの鬣(たてがみ)

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