釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

新型コロナウイルス感染が歪みを膨らませる

2021-02-01 19:13:03 | 社会
日本の1日の新規感染者数は1月8日の7882人をピークに以後減少し、昨日は2673人にまで低下している。東京都もほぼ同じ動きで、1月7日の2447人をピークに減少し、昨日は633人となった。しかし、メディアは一切報じないが、この減少には政府方針の変更が大きく関係している。1月8日に厚生労働省は、保健所業務の逼迫状況改善名目で、通達を出した。同じ日に国立感染症研究所感染症疫学センターが出した「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調 査実施要領」に沿って、疫学調査の優先度を導入し、保健所業務の軽減を図るとし、結果的にPCR検査の削減を導いた。保健所に派遣されたある東京都職員は、Twitterで「厚労省が1月8日、新型コロナウィルス対策について全国の自治体に積極的疫学調査を絞り込むよう方針を示していたことを考えると、東京都の濃厚接触者の調査規模縮小による無症状感染者の市中感染の拡大は、もはや東京だけではなく日本全国で起こっていることなのかもしれません」、また「リテラが濃厚接触者の調査の縮小によりPCR検査数が2割減り、結果新規感染者数が減っていると記事にしてくれてます、記事だと検査数2割減になってますが、それは自主的に都民が検査をしているからであって保健所主導の検査はさらに減っていると思います」とも書いている。1ヶ月延長される「宣言」の解除に向けて、新規感染者数の減少が「演出」されて行くのだ。無症状・軽症感染者がますます放置される。水面下での感染拡大をもたらすだけである。もはや第4波の到来も避けられないだろう。新型コロナウイルス感染は今年一杯終息することはなく、政府はさらなる対策予算に迫られることになる。昨年3月に、2020年度の政府予算が成立した。102兆6580億円で、予算規模は8年連続過去最高を更新して来た。このうち税収は63.5兆円(あくまでも見込み)である。先月28日に成立した、コロナ対策費を含む第三次補正予算までも含めれば、2020年度は175兆円超と言う驚異的な予算となった。税収63.5兆円は、感染拡大前に立てられた案であり、実際には経済悪化のために、見込みよりもずっと少なくなるだろう。つまり、2020年度は、100兆円以上もの新規債務の増加となる。昨年10月14日、IMF国際通貨基金は、2020年の世界全体の政府債務が、世界の国内総生産(GDP、約90兆ドル)にほぼ匹敵する規模、GDP比で過去最大の98.7%となることを報告した。また2021年には、先進国の政府債務はGDP比125%となり、過去140年で、1933年の大恐慌時の80%、2009年のリーマン・ショック直後の89%は無論、第2次世界大戦直後の1946年の124%をも凌ぐものとなる。日本や欧米先進国のコロナ対策を見る限り、世界的にも2021年中の感染終息は困難であり、IMF予想を超える政府債務の増大になるだろう。日本では第一次世界大戦後の不況で、1920年には企業や銀行は不良債権を抱え、1923年の関東大震災が、それをさらに悪化させ、ついに1927年の昭和金融恐慌へと発展した。1917年に事実上金本位制を離脱し、世界の主要国が1920年代に金本位制に復帰しても、日本は李脱したままであったので、大蔵大臣高橋是清は、「金」の足枷なく国債を発行し、政府の借金を積み増すことで、経済の立て直しを図った。その後、いつまでも政府債務を積み増すことが出来ないため、高橋は財政縮小に転じ、軍費を抑えたため、軍部の反感を買い、二・二六事件で暗殺された。その高橋は「公債が一般金融機関等に消化されず日本銀行背負い込みとなるようなことがあれば、明らかに公債政策の行き詰まりであって悪性インフレーションの弊害が表れ、国民の生産力も消費力も共に減退し生活不安の状態を現出するであろう」と述べている。現在の日本銀行は高橋是清の警告を無視して、533兆円もの国債を「背負い込み」している。政府だけでなく民間も海外へ莫大な借金をしている米国でも、昨年からコロナ対策のために、中央銀行FRBがドルを再び大量に印刷しており、ドルが金に対して価値を失って来ている。米国が金本位から離脱した1970年の2月には1オンスの金が35ドルであった。2008年のリーマン・ショックでFRBがドルを大量印刷し、ドルの価値を下げたため、2011年8月には1オンスの金は1826ドルにもなった。その後、金は下がったが、昨年にはFRBのドル大量印刷がまた開始されたため、今では、1860ドルに戻っている。リーマン・ショック後と同じく2~3年の時を経て、金はさらに急騰するだろう。まさにドルの崩壊となる。金などの裏付けなく、大量に発行された通貨が迎える結末は歴史上の過去と同じにならざるを得ない。

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