釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

今も続いている首都壊滅の危機

2012-06-01 19:18:03 | 文化
朝の通勤時に甲子川のそばを通るとオオヨシキリのあまりきれいとは言えない甲高い声が聞こえて来る。川の河川敷もすっかり緑に覆われた。そこには震災直後は海岸付近から津波によって上流に向かって流されて来た車が無惨な姿でたくさん横たわっていた。職場の裏山からは今日もウグイスの鳴く声が聞こえて来る。山の低いところではニセアカシアの白い花が開き始めた。霞がかったような陽気だが今日も気持ちのいい風が吹く。震災から1年以上経ち、被災地では復興事業が続けられており、過去の地震の究明が進み、原発再稼働の動きも前進して来ている。福島第一原発事故はまるで政府が宣言したようにすでに収束してしまったかのように、マスメディアは静かになった。ほんとうに収束してしまったのだろうか。事故後東京電力が福島第一原発の1号機から4号機までに施した処置は冷却と4号機の建屋補強でしかない。5月24日東京電力は昨年3月12日から同31日までの放射性物質の放出総量(ヨウ素換算)を90万テラ(テラ=1兆)ベクレルとする推計結果を公表した。1986年のチェルノブイリ原発事故では520万テラベクレルが放出されたと言われる。単純に比較すれば5分の1以下になる。それでもチェルノブイリ原発事故による死者100万人というベラルーシの研究者たちの報告を参考にすれば、単純に17万人の犠牲者が先々出てもおかしくないだろう。常に過小評価した数値しか示して来なかった、事実の隠蔽に慣れ切っていた東京電力のことを考えれば、実際には90万テラベクレルを上回る放射性物質が放出されているだろう。3号機が爆発し、米国西海岸ですらプルトニウムが検出されているのに、そのプルトニウムの検出は日本国内では公式に発表されていない。事故直後の政府内での議事録もとられていなかったなどというとても信じられないことが平然と公表される。原子力委員会が事故後に作成した最悪のシナリオも事故後10ヶ月たってようやくその存在が明にされた。「1~3号炉のいずれかでさらに水素爆発が起きる。」、「強い余震によって冷却作業が長期間停止する。」、「冷却停止や倒壊により4号炉核燃料プールの核燃料が全て溶融する。」の3つの条件がそろえば原発から半径170km圏内で、土壌中の放射性セシウムが1平方メートルあたり148万ベクレル以上というチェルノブイリ事故の強制移住基準に達し、東京都のほぼ全域や横浜市まで含めた同250kmの範囲も避難が必要な程度に汚染される、というものだ。チェルノブイリ原発事故は出力100万KWの原発1機の事故であり、福島第一原発は1~3号機だけで200万KW以上あり、4号機では燃料プールに原子炉2機分にあたる燃料棒がそのまま未だに残されたままだ。4号機の燃料プールに含まれるセシウム137はチェルノブイリ原発事故で放出された量の10倍だと言われている。そしてこの4号機の燃料プールがまさに今現在も最も危惧される状態が続いているのだ。3号機近くでは500mSv/hrの、4号機では1500mSv/hrもの放射線量が検出されるため、4号機には長い時間近づけず、補強工事もけっして十分なものではなく、さらに4号機は地盤沈下さえも疑われている。今後予想されている東北沖でのアウターライズ型のM9以上の地震とそれによる揺れ以上に大きくなると言われる津波によって4号機が倒壊したり、もっと小さな地震であってもプールに亀裂が入れば、核燃料火災という人類が未だ経験したこのない事態が発生する。福島第一原発から半径250Km圏内は間違いなく避難しなければならない。4号機の倒壊やプールの亀裂だけでも首都圏は壊滅状態になるだろう、と小出裕章京都大学原子炉実験所助教は言われている。
一番外側の薄い線の円が250Km圏となる 釜石も・・・

裏山の低いところで咲き始めたニセアカシアの花 花は白い藤の花に似ている


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