釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

格差が米国を分断させつつある

2019-11-11 19:19:13 | 社会
新自由主義とともに世界に広がった、いわゆるグローバリズムは、長引く金融緩和の後押しを得て、主要国に格差を拡大させて来た。格差が先鋭的に認められるのが米国である。ブルームバーグによれば、米国ではトップ1%の資産が35.5兆ドルで、次の9%が42.6兆ドル、続く40%で36.9兆ドルの資産を保有しており、底辺50%はわずか7.5兆ドルである。個人資産総計122.5兆ドルのうちトップ1%が30%を保有している。底辺の50%はわずか6%しか保有していない。米国は日本より多くの国民が株式を購入しているが、その株式でも最も裕福な10%が株式総額の84%を保有しており、直接保有する株式に投資信託を加えると、93%の株式を保有していることになる。一方、債務を見ると、トップ1%は総債務のわずか6.7%しか占めておらず、次の9%が20.9%で、残る90%が72.4%を占める。こうした格差は米国でもやはり年齢層で拡大しており、第二次世界大戦の終わりから1964年の間に生まれた米国のベビーブーマーは、現在、ミレニアル世代(2000年代に成人あるいは社会人になる世代)の11倍の富を保有している。ミレニアル世代は、日本でも実質賃金が低下する中で仕事をしている。こうした世代間の格差の拡大の中で、ミレニアル世代は声高に格差是正を求めることはないが、今年初めのギャラップGallupの調査では、米国人の43%は現在、何らかの形の社会主義が良い、としている。また、ハリスHarrisの世論調査では、米国人の10人に4人が資本主義よりも社会主義を好んでおり、この傾向は若者に特に顕著になっている。ギャラップの別の調査では、2010年には、18歳から29歳の人々の68%が資本主義を好ましいとしたのに対し、社会主義を好ましいと答えたのは51%であったが、2018年には、同じ年齢層が、社会主義に対しては変わらず51%であったのに対して、資本主義に対しては45%に急低下している。さらに、今年の初めに行われたYouGovの世論調査では、ミレニアル世代の70%とZ世代(1990年代後半から2000年生まれの世代)の64%が社会主義者に投票すると答えている。若い世代が社会主義を支持する要因の一つは、歴史への無知があると言う。彼らにとっての社会主義はスターリンではなく、スカンジナビア、北欧の社会だと言う。彼らの歴史への無知は深刻なようで、基本的な市民権テストに合格できるのは米国人の3人に1人しかいない。45歳未満の受験者では19%しか合格しない。南北戦争中に軍隊を率いたのはドワイト・アイゼンハワーだと答え、アウシュヴィッツやホロコーストを知らず、 U.S. News and World Reportによるアメリカのトップ50の大学の調査では、米国憲法を誰が書いたかを知っているのはわずか23%であった。米国では、大学時代の学生の間で、社会主義への支持がかなり高いが、実際に、政府が管理する経済を支持するかどうか、尋ねると、72%が自由市場のためだと答えている。本来の社会主義経済である政府管理の経済を支持したのは49%であった。米国の大学は多くが私学であり、授業料を上げ続けている。このため、学生の70%がローンを借りざるを得ない。平均で3万ドルである。2015年の米国の世論調査によると、社会主義に対する支持は、高校卒業者の48%、大卒の62%、大学院の学位取得者の78%まで学歴とともに増加している。また、米国では、1984年の時点で、大学教員の39%が左派/リベラル、34%が右派/保守派であったが、 1999年までに大きく変わり、現在は、72%が左派/リベラル、15%が右派/保守派となっている。米国は共和党と民主党の二大政党制になっているが、いずれにも社会主義が浸透し、社会主義ポピュリズムと言うことでは共通している。あのヒットラーでさえ、社会主義を掲げていた。ナチスとは、国家「社会主義」ドイツ労働者党のことである。
秋の日射し

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