釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

米国金利の上昇

2018-10-09 19:15:09 | 経済
米国大統領は製造業の復活を訴え、労働者の支持を得て、選挙に勝った。そのため、自国製造業を復活させる目的で、貿易戦争を仕掛けた。外国からの輸入品に関税をかけることで、安い輸入品も高価になり、自国生産品に競争力を持たせ、製造業を復活させる。製造業が復活すれば、労働者も職を得られ、安定した収入が入るようになる、と言うわけだ。しかし、関税は都合のいいことばかりでなく、輸入物価を押し上げる。つまりインフレになる。インフレは実質賃金を下げる。また、貿易戦争を仕掛けられた相手国も対抗処置を取るため、米国の輸出量も減る。実際に米国の農産物にその影響が出て来ている。こうした貿易戦争の中で、米国の中央銀行は金利を上げている。米国の中央銀行の使命は物価の安定と雇用の安定とされる。中央銀行は、物価が上昇して来ており、失業率も最低水準にあることから、賃金が上昇し、物価上昇が進むと判断して、金利を上げると説明している。これはあくまで表向きの説明であり、実際は、いずれ訪れる傾向後退で、金利を下げなければならず、そのための金利引き下げ余地を今のうちに作っておきたいと言うのが本音である。しかし、金利上昇により、米国から新興国に投じられられた資金が、その上がった金利を求めて、米国に引き揚げられ、新興国は資金が不足し、株式も通貨も下がってしまった。欧州の銀行は、新興国にドル建てで融資をしており、これもドル高で新興国に負担となっている。景気後退の波は、世界では先ず体力の弱い新興国に発生し、次いで、米国の中小企業の株式に現れる。それが現在、米国で発生している。大企業の株式はまだ高値圏にあるが、中小企業の株式はすでに下落して来ている。一般に短期金利より長期金利の方が高い。しかし、景気後退の前には、それがしばしば逆転した。つまり短期金利が長期金利よりも高くなった。過去のデータではこの逆転が起きて、平均9.7カ月で主要な株式がピークに達し、その5ヶ月後に景気後退が始まっていると言う。2018年12月に金利の逆転が発生し、2019年9月に主要株式の頂点となり、2020年2月に景気後退が始まると予想するビジネス界のエコノミストの予想が出ている。景気後退の規模は債務に比例する。その債務は現在、史上最高である。従って、次の景気後退はこれまで見られなかった規模の景気後退となる。特に米国の債務は絶対額であまりにも巨額である。政府債務は21兆ドルに達し、企業債務は6.3兆ドル、家計債務は13.3兆ドルであり、他にも米国の対外債務が38兆ドルもある。米国の国家の債務である国債の金利が上昇している。これまで米国との貿易で得たドルを諸外国は米国債の購入に投じた。しかし、貿易戦争はその得られるドルを減少させるため、諸外国は米国の国債購入を減らさざるを得ない。国債購入が減れば、当然国債の金利は上昇する。米国は自ら仕掛けた貿易戦争で、国債の金利を上昇させている。その金利上昇がいずれ株式の大暴落の引き金となることを過去の金融危機が教えている。世界経済を牽引する米国経済が後退すれば、世界経済も後退し、その規模は歴史上かってない規模となる。
秋の空

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