釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

現代人の低体温

2016-04-12 19:17:43 | 科学
現代人の平均体温は50年前に比べて0.7~1.0度低くなっていると言う。50年前には平均体温が36.89度あったそうだ。食生活や運動を含めた生活習慣の変化やストレスの増加が原因のようだ。食事はカロリーが大幅に増え、その割に運動量はかなり減少している。若い20代くらいは動きも活発なので、さほど影響は出ないが、それ以後はオーバーになったカロリーは体内に脂肪として蓄積され、相対的に筋肉量が減少する。人の身体の筋肉の70%は腰から下にあり、筋肉が体温の40%を作り出しているとされる。従って、運動不足による絶対的な筋肉量の低下、肥満による相対的な筋肉量の低下はいずれも体温の低下につながる。またストレスも体内で、それに対抗しようとしてアドレナリンが分泌されることで、血管が収縮し、体温をやはり下げてしまう。体温低下は様々な疾病をもたらすが、現代人にとって最も影響が強いのが癌だろう。癌細胞は体温が35度台で最も活発になるとされる。東京都健康長寿医療センター研究所の青幸利氏は群馬県中之条町で10年以上にわたって、高齢者の身体活動と心身の健康に関する研究を行って来た。その結果、運動面では、その人に合った適度な運動を続けることが、疾病を防ぎ、長寿を得る方法であることが明らかとなった。活動の強度を表す単位にMETs(メッツ)と言うのがあり、厚生労働省の解説では「運動強度の単位で、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したもの」と書かれている。安静時にも人の体内ではエネルギーは消費されている。人の「適度」な運動とは中強度の運動を指す。そして、その中強度の運動は、速歩きや犬の散歩、山歩きなどが相当し、3~6METsに当たる。ただ、中強度の運動は年齢によっても異なり、20~30代では5.0~6.9METs、40~50代だと4.0~5.9METs、60代では3.0~4.9METsがそれぞれの年代にとっての中強度となる。中強度の運動をどのくらいの時間続けるかで、病気の予防効果が異なって来る。速歩きの目安としては日本人では120歩で1分にあたるようだ。「中強度の歩行時間(速歩き時間)」を測定出来る身体活動計もわずかだが出ている。同氏の下記のデータを見ると、活動量が多くなると病気の予防につながるようだが、しかし、あくまでも過度な運動は逆効果になると警告されている。また、こうした運動は夕方4~6時頃の時間帯が好ましいとされる。一日でも体温が最も上がる時間帯であり、その時に腰から下の筋肉を使うことで、さらに体温を上げ、就寝時の体温を少しでも上げることになり、良眠につながり、一日の平均体温の上昇にも最も効果的であるとされる。2010年のカナダのマクマスター大学の「Aberrant Mitochondrial Homeostasis in the Skeletal Muscle of Sedentary Older Adults」と言う論文によれば、若者と活発な高齢者では筋力も運動能力も活動的ではない高齢者よりも勝っており、筋肉細胞のミトコンドリア機能も同じく、大きな差があった。筋力と筋肉細胞のミトコンドリア機能は相関している。ミトコンドリアはSODという抗酸化酵素を備えており、これが活性酸素を消去する役割を果たしているが、筋肉細胞のミトコンドリアにあるSODの量も機能もやはり、活動的ではない高齢者が最も低かった。適度な運動は体温を上昇させ、健康を維持することが裏付けられていると言うことだろう。

鈴子町仮設商店街の公園に咲き始めた枝垂れ桜とコブシ

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