釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

「ペトロダラーの終焉はアメリカ帝国を終わらせるか?」

2023-04-27 19:19:51 | 社会
ビル・トッテンBill Totten氏訳、米国元下院議員ロン・ポールRon Paulの「Will the End of the Petrodollar End the US Empire?(ペトロダラーの終焉はアメリカ帝国を終わらせるか?)」

未来の歴史家は、2023年の最も重要な出来事はドナルド・トランプや他の2024年の大統領候補ではなく、またはウクライナ戦争でもなかったと言うかもしれない。そうではなくて最も長期的な意味を持つ出来事は、主要メディアではほとんど注目されなかった、サウジアラビアが石油の支払いにドル以外の通貨を受け入れるという動きかもしれない。

ニクソン大統領がドルと金の最後のリンクを断ち切った後、ニクソン政権はサウジアラビア政府と交渉をした。アメリカは武器を提供するなどしてサウジ政権を支援する。その代わり、サウジアラビアは石油取引をすべてドルで行う。またサウジアラビアは、余ったドルを使って米国債を購入することにも同意した。こうして出来上がった「ペトロダラー」が、ドルが世界の基軸通貨としての地位を維持してきた大きな理由なのである。

また今年、中国とブラジルは今後の貿易をドルではなく自国の通貨で行うことで合意した。ブラジルのルーラ・ダ・シルバ大統領はより多くの国々に脱ドルを呼びかけている。

この脱ドル化の動きは、アメリカの外交政策、特に経済制裁の強化に対する憤りが背景にある。ドルを世界の基軸通貨から切り離すことで、各国はこうした制裁を無視しやすくなる。

脱ドル化は、米国政府が抱える30兆ドルを超える債務の管理能力に悪影響を及ぼすだろう。一部の例外を除いて、支出削減に対する議会での真の支持はまだない。共和党の指導層は、支出削減と結びつかない限り債務上限引き上げを支持しないと言うかもしれない。しかしバイデン政権が社会保障とメディケアの削減を望んでいると共和党を非難した後、ケビン・マッカーシー下院議長は連邦赤字の大きな要因である社会保障とメディケアへの支出削減を「テーブルから外した」と宣言した。同様に共和党の間で対外介入主義に懐疑的な意見が高まっているにもかかわらず、軍産複合体は議会指導部とホワイトハウスを可視的に掌握している。したがって、軍事費の削減は期待できない。むしろ、国防総省の予算は増加する可能性が高い。

連邦準備制度理事会(FRB)は増え続ける連邦債務をマネタイズし、金利(ひいては連邦政府の借入コスト)を低く維持する圧力にさらされ続けるだろう。その結果インフレが生じ、ドルの世界基軸通貨としての地位を終わらせることをより後押しするだろう。ドルを放棄する国が増えれば、FRBはハイパーインフレを起こさずに連邦政府の負債をマネタイズすることができなくなる。その結果、ドル危機が起こり、世界恐慌よりもひどい経済破綻が起こるだろう。

この危機は、「福祉と戦争と裏付けのない通貨制度」の終焉につながるだろう。歴史的に見ると、これはより権威主義的な政治運動の台頭につながるとみられるが、リバタリアン思想の人気が高まっていることからこの崩壊は自由主義運動のさらなる成長を促進することになるとも考えられる。つまり、この危機が限定的な政府の復活と自由の推進につながる可能性があるのだ。危機がもたらす機会を最大限に活用するための鍵は、私たちの考えを広め続けることである。幸いなことに、私たちは多数派である必要はない。自由を取り戻すためには、情熱的で不屈の少数派が必要なだけなのである。


石楠花