釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

長期政権が日本を壊している

2023-04-24 19:14:18 | 社会
20日の日本経済新聞は、「22年度貿易赤字21.7兆円、過去最大 資源高・円安響く」を報じている。2012年末からの第二次安倍政権では、国民のことよりも輸出企業の利益のために、あえて円安誘導していた。そのことには触れずに日本経済新聞は貿易赤字の要因として円安を上げている。要するに輸出力を失い、輸入に頼らざるを得ない日本の実態が明らかになっただけである。昨年の日本のGDPランキングはかろうじて第3位であるが、今年はドイツに抜かれると予想されている。ドイツの人口は8300万人であり、1億2000万人の日本の3分の2である。日本の凋落ぶりはこんなところにも見られる。明治政府が西洋に早く追いつくために力を入れたのは教育と産業の育成だ。日本の長期政権はそのいずれをも軽視し、人口減少まで根本的な解決策を打ち出さず、ひたすら明らかな憲法違反である集団的自衛権を打ち出し、今では敵基地攻撃まで手にしている。守るべき国力を衰退させ、軍事力を手にすることだけを推進している。米国の思う壺だ。米国はドイツや日本の独立を許さない。特に日本は世界でも際立って米軍基地が80以上も国内に展開される国であり、自国の空の航空権すら有していない。20日の東洋経済オンラインは、「安すぎる「日本の初任給」最低賃金のたった1.31倍」を載せた。賃金が上がらない上に、インフレが到来しており、国民負担率は50%に迫っている。23日に行われた衆参5つの補欠選挙は投票率が前回よりさらに10%も下がっている。投票しても「どうせ」と言う気持ちが足を投票に向かわせないのだろう。生活条件の悪化を考えれば、すでに全国で大規模な抗議運動があってもおかしくない状況だ。しかし、主要メディアは、現在の日本の悲惨な状況を伝えることはなく、そのメディアを信頼する国民が8割にもなる日本では、何事もないかのようだ。第二次大戦末期にドイツでヒットラーの後継者に示されたヘルマン・ヴィルヘルム・ゲーリングHermann Wilhelm Göringは、「もちろん国民は戦争を望んではいない。なぜ畑にいる貧しいまぬけが、自分の命を戦争にさらそうなどと望むだろう?だが、結局、政策を決定するのは国家指導者だ。国民はいつでも指導者達の命令に従わせることができる。連中に、我々は攻撃されているのだと言って、平和主義者は愛国心に欠けると非難するだけで良いのだ。これはどこの国でも同様に機能する。」と述べている。第二次安倍政権は憲法に基づく法の制定に厳格な内閣法制局の長官を意に沿うように更迭し、憲法に違反する集団的自衛権を解釈変更させ、さらに、内閣人事局まで設置して、官僚人事を掌握した。国力とは何なのかを知らず、ただ、軍事力強化だけを推進する。しかも、その軍事力たるや無内容なものでしかない。米国の使い物にならない、余り物の武器・装備を購入し、肝心の人材である新たな自衛隊員の採用はままならない状態が続いている。台湾有事を唱えるが、現実にそうなれば、日本の自衛隊は早々に多くの犠牲者を出すだけだ。とても中国の軍事力には太刀打ち出来ない。米国は、その時、現在のウクライナに見るように、自らは出来るだけ手を汚さないだろう。政治にコントロールされるようになったのは、官僚だけではない。メディアも同じだ。電通を通じて通信社である時事通信、共同通信が掌握され、一般メディアも時には政治が直接圧力をかけ、政治批判と言うメディアの主要な役割は失われてしまった。新聞系はネットの普及とともに購読者が急減し、企業として存続するために、新自由主義を取り入れ、取材や調査などの経費を極端に削減し、TVメディアでも同様で、内容のない浅薄な記事や番組ばかりが報じられている。鳩山友紀夫(由紀夫)氏によれば、「徳川幕府時代の世界のGDPの日本のシェアは3%と言われている。鎖国の時代である。日本のシェアのピークは1994年村山政権の時で17.9%もあった。そこから下降を続け、遂に昨年は4.2%まで落ち込んだ。ほぼ鎖国時代と変わらぬところまでだ。」そうだ。しかし、日本人の多くは、いまだに世界第2位の経済大国で、G7の一員として「先進国」だと言う意識が強い。米国も同じく、国民の多くはまだ自国を超大国と考えている。しかし、その米国は全国のインフラが整備されておらず、新幹線すら整備出来ない。サンフランシスコやニューヨークには多くのホームレスがいて、どこの後進国かと思うばかりだ。日本や米国のように凋落しつつある国の特徴は、実質収入の低下とインフラの不整備だ。日本には100を超える補修されない必要な橋がある。米国で毎週のように貨物列車の脱線事故が続くのも、線路が歪んだまま補修されないためだ。道路の歪みは当たり前の状態だ。世界有数のテクノロジー市場調査会社Canalys(カナリス)社によると、2023年第1四半期の世界のスマホ出荷台数シェアは、 1位:サムスン電子22% 、2位:アップル21% 、3位:小米科技11% 、4位:OPPO広東移動通信10% 、5位:維沃移動通信(vivo)8% である。3〜5位は中国で、合わせて29%になる。自動車評論家の国沢光宏氏は、一昨日、自身のサイトに「自動車業界に上海ショックが吹き荒れている」を載せている。「現在も開催中の上海モーターショーを見た業界関係者を中心に動揺が広がっている! こらもう自動車メディアから自動車企業の経営陣、技術者、部品メーカー全て。ショーを見て衝撃を受けなかった人がいたら、中国に精通しているか鈍感力あるかだと思う。」、「業界の皆さん感じたインパクトの内容は「もう追いつかないかもしれない」という一点である。上海ショー、調べれば調べるほど電気自動車関連の出展内容は多岐に渡ってます。新型車は100万円台の誰でも買えそうなでいながら高性能&高品質のモデルから、2000万円を超える高価格帯までびっしり! 車型だって売れ筋のSUVからコンパクトカー、スーパーカーまで!  はたまた電池も中国特産のリン酸リチウムに始まり,新型のナトリウム電池、全固体電池&試験運用始まっている半固体電池、性能2倍の3元系リチウム電池まで盛りだくさん。未だ全固体電池の夢ばかりしか見ておらず、しかも現時点で3元系リチウムにこだわる日本と全く違う。クルマの仕上がりレベルだって日本の優れた技術者が大量に流出しているため、日本に勝るとも劣らず。」、「すでに補助金を止めたため淘汰が始まっており、今やハイブリッド車と同等の価格で電気自動車が出てきた。電気自動車=高いという多くの日本人が持っているステレオタイプと全く違うフェイズに入っている。」。日本のメディアは中国叩きに専念するあまり、中国の産業の現実を直視出来ていない。米国が筆頭出資国であるIMF国際通貨基金や世界銀行ですら、今年の中国の経済成長率を6%前後と予想しており、他国に抜きん出ている。凋落する日本は、アジアで米国よりの国であるシンガポールや韓国以上に中国と敵対姿勢をとっており、アジアで孤立しつつあることに気付いていない。

ミサゴ