釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

無残な日本

2020-11-07 19:13:23 | 社会
世界では日々一貫して新型コロナウイルス感染者が新規に増え続け、日本はいよいよ第3波に入った。米国メディアCNNは、「国際看護師協会(ICN)は5日までに、新型コロナウイルスに感染し死去した看護師は世界規模でこれまで少なくとも1500人に達するとの調査結果を発表した。」と伝えている。ただし、これは「データが世界195カ国のうち44カ国のみに限られた」もので、実際にはこれよりも多い可能性が強くなる。「ICNは独自の分析結果として、世界規模での新型コロナの感染事例の約1割は公衆衛生従事者に発生していることも示唆した。」とある。日本でも東京や神奈川県、静岡県、北海道などで今も医療機関・介護施設でのクラスターが発生している。ここ1週間ほどで気温が下がって来た。これからは風邪やインフルエンザも広がって行く季節である。そうなると一気に発熱者が増え、それらの有症者の全てが保健所などへ殺到しかねない。そうした事態を避けるには、一定程度PCR検査を一般医療機関に委ねる必要だある。そこで、厚生労働省は一般医療機関へも「委託」の形で、一般医療機関でのPCR検査を拡大しようとしている。あくまでも「委託」であるため、陰性・陽性に関係なく報告する義務がある。行政からの委託であり、検査を受けた人は費用は無料となるが。冬場の保健所への殺到を避けたいが、データだけは独占したい思惑が見え見えである。しかし、この一般医療機関を巻き込むPCR検査も既本的にあくまで有症者に限られ、無症状の人の検査は対象外である。こうした無症状の人を含まない検査には限界がある。感染者の全ての感染経路が把握出来ないからだ。中国や韓国のように感染者が見つかれば、その地域ごと徹底して検査をやらない限り、いつまでも無症状感染者を見逃すことになり、感染は決して終息することはない。日本も欧米も不徹底な検査・隔離体制と経済優先により、ウイルス感染を遷延、拡大させ、逆に経済を悪化させている。昨日の日本の株式市場ではとても奇妙なことが起きている。代表的な株式指標である日経平均株価の終値が2万4325円と1991年11月以来の高値を付けたのだ。資本主義経済における株価は、本来企業業績で評価される。しかし、日本ではすでにそうした本来の株式のあり方から逸脱して久しい。年金基金のような公的機関の資金が株式に注ぎ込まれているだけでなく、世界でも類を見ない中央銀行による株式購入まで行われて、株価が支えられている。まして、現在はコロナ禍で経済活動が抑制されている環境である。今年度のGDPもマイナスになるとされているにもかかわらずだ。世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年度7-9月期(第2四半期)の運用収益額も4兆9237億円となり、2四半期連続で黒字である。昨日のブルームバーグ はその理由を「新型コロナウイルスによる景気悪化に対応した世界的な金融緩和で株価が上昇」と説いている。中央銀行マネーが資産市場である株式市場に流れ込んでいると言うのだ。日本はそれがさらに直接的であり、日本銀行自らが株式を購入すると言う異常さである。昨日の日本銀行の資産増加とは、日本銀行がその資産と引き換えに同額の通貨を発行したと言うことである。資産は日本銀行により買われた。日本銀行は唯一新たな「円」を印刷出来る。つまり、世界に類を見ない政府債務を、中央銀行が買い取って支え得ざるを得ないところまで政府債務は追い込まれており、株式市場も同じく、日本銀行や公的資金で支えざるを得ない状況に追い込まれていることを意味している。しかし、世の中はまるで何も問題ないかのように口を閉ざしている。日本銀行が国債や株式を買わなければ、とっくに国債は暴落し、金利が急騰しており、政府はそんな金利は支払えなくなる。すでに競争力をなくして弱体化している日本企業も、日本銀行の直接的な株式購入がなければ、経営が成り立たないのだ。日本銀行の異常さが失われれば、もはや日本は政府も民間も立ち行かなくなる。しかも、これからはさらなる少子高齢化まで待ち構えている。
市街地にも秋が