釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

対中強硬策

2020-08-12 19:13:03 | 社会
昨日のブログで100日間新規感染者が出ていないニュージーランドについて書いたが、そのニュージーランドでまさに昨日新たな4人の感染者が出た。ニュージーランドは人口がわずか479万人の小さな国で、首都は人口41万人のウェリントンだが、今回新規感染者が発生したのは、人口153万人の最大都市オークランドの1家族の4人である。政府は今日の正午から3日間のロックダウンを宣言し、感染経路の追跡にあたる。ロイター通信によれば、7月にも、エクアドルから輸入された冷凍エビから新型コロナウイルスが検出されて、感染者を出した中国の国際貿易港である大連市で、再び、昨日大連港に荷揚げされた輸入の冷凍魚介類から新型コロナウイルスが検出された。ウイルスは包装の外側に付着していたが、どこから輸入されたものかは明らかにされていないと言う。感染者は現在は出ていないようだが。一般的には梱包材に付着したウイルスは輸送中に消失するが、冷凍されている場合には、輸入国で解凍後に活動的になるのかも知れない。ロシアが早々と新型コロナウイルスに対するワクチンを承認したが、治験を端折っており、信頼性に疑問が持たれている。プーチン大統領は、二人の娘のうち一人がこのワクチンをすでに打ったと語っている。ただロシアはアビガンと同じものを治療薬としてやはり早い段階で承認してもいる。米国は感染者が530万人にもなり、死者は17万7000人である。総検査数が6694万を超えており、わずか102万でしかない日本のように見かけ上少なくなっているだけでなく、実態がわからないよりはいいと思うが。しかし、これだけ感染が拡大したこと自体は、明かに大統領の失策と見られており、11月の大統領選を控え、大統領は対立候補と差があり、何とか逆転をする必要に迫られている。昨日の英国BBCは、対立候補のバラク・オバマ前大統領の副大統領であった民主党のジョー・バイデンとの支持率の差を「バイデン氏が全国調査で安定リード」として、1月以来の両者の支持率のグラフを載せている。最終ではバイデン氏が49%で、トランプ大統領が40%となっている。感染が拡大して行った3月以降はほぼ一貫して差も開いたままである。これを挽回するために対中強硬策を取らざるを得ない。ロイター通信によると大統領が現在米国で使用禁止しようとしている中国北京字節跳動科技(バイトダンス)の開発した動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は、すでに10代を中心に、米国内のアクティブユーザーは約1億人いる。中国の騰訊控股(テンセント)の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」も大統領は禁じようとしている。大統領が強硬な発言や行動をすると、確かに一時的には支持率は上昇するようだ。どうしても米国の対中国強硬策に目を奪われがちだが、その裏では、日本と韓国へも圧力がかけられている。米中対立は韓国や日本にとっての軍事面での脅威が高まるが、そんな中で、米国は駐留米軍の経費負担を増やすよう迫っている。経費を引き上げなければ、駐留米軍は引き上げると迫る。ドイツは経費負担増を認めなかったため、米国はドイツの駐留米軍を3万4500人から2万5000人まですでに減らした。先月、米国国防総省は韓国に駐留する駐留米軍2万8500人の兵力を縮小する案を大統領に提出している。米国は韓国に対してこれまでの5倍の経費負担を要求している。昨年9月、国家安全保障問題担当大統領補佐官を解任されたジョン・ボルトン氏によれば、日本も駐留経費の上乗せに85億ドル(8500億円)もが要求されることになるとされる。これは現在の4倍になる。米国大統領は商人である。米中対立の「緊張」を利用して、駐留米軍経費の負担増を図っている。少なくとも現在の対中国強硬策は選挙のためであり、やり過ぎて、中国が米国からの輸入を約束した777億ドルの工業品、524億ドルのエネルギー、320億ドルの農畜産品を反故にされないようにしなければならない。これらの米国からの輸出がダメになれば、それらの生産者の支持を失う。米国大統領は、何度も自分の企業を倒産させては、そのたびにさらに大きな企業に成長させて来た商人である。また、中国の習近平主席は党員数9200万人と言われる共産党の中で、激烈な派閥争いを勝ち抜いて来た人物である。日本のような2代目、3代目のただ地盤を引き継いだだけの政治家とは政治土壌が全く異なっている。それは官僚についても同じである。米国も中国も日本とは異なり、いつでも更迭があり得る土壌が続いて来た。日本も形だけは内閣人事局が作られてから、同じようにはなっているが、あくまでもトップのレベルに適応するだけである。米国は初動の遅れで、もはや感染拡大を容易に抑えられないところまで来てしまった。今、アジアでは日本の現在がちょうどその米国に続こうとしているように見える。何もしない引き籠り首相は、結局、コロナ災禍と膨大な債務だけを残すことになるのか。