釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

ナポレオンの警告を無視した米国

2020-08-08 19:11:02 | 社会
昨夜からの雨が続き、気温は23度までしか上がらず、暑さを避けることが出来た。釜石ではここのところ連日のように熊の目撃情報が報じられている。先頃などは、民家の窓ガラスを割って中にまで入って来たそうだ。山にはこの時期はまだ木の実がなく、人里で食べ物が得られることを覚えたためだろうと猟銃会関係者から聞いた。市街地には熊以上に鹿が堂々とやって来る。雑草が茂る河川敷に居座る鹿までいる。夕方のウォーキング時には何度かカルガモ親子の行列が川を渡るのも見かけた。今日はさすがにセミの声が聴こえないが、昨日はエゾゼミやヒグラシの声を聴き、夜には虫の声も聴いた。 3蜜を避け、自粛をしても日本の新型コロナウイルス感染は絶えることはない。政治家の経済優先と専門家の野心が感染症と言う病の大原則を無視しているからだ。有症者を通じて感染者が見つかれば、関係した人は症状の有無にかかわらず、全て徹底して検査をしなければ、感染拡大は抑えられない。国立感染症研究所は、7月16日までに、国内で感染が確認された人計約3700人分の検体を収集し、ウイルスの変異を調べた。その結果を今月5日に公表している。その結果、3月頃の「欧州系統」のウイルスと、遺伝子的に変異した6月中旬頃からのウイルスが東京から地方へ拡散したことが明かになり、その地方への拡散がまさに無症状の感染者により密かに拡散された可能性があると指摘している。いずれにしろ無症状の感染者を放置する限りは、全ての検査自体が中途半端となり、無駄になる。世界中でワクチン開発が行われ、英米は巨大製薬会社とすでに契約まで取り交わし、WHOから問題視されている。富裕国がワクチンを独り占めしているとの非難だ。今日の東京新聞は、「ワクチン開発、急ぐべきでない 免疫学の第一人者が警鐘」と題して、大阪大免疫学フロンティア研究センターの宮坂昌之招聘教授の「国内で慎重に臨床試験をしないと効果は確かめられず、期間を短縮すると重大な副作用を見逃す恐れもある」との警鐘を伝えている。特に、抗体依存性免疫増強(ADE)と呼ばれる、ワクチンにより作られた抗体がかえって、「ウイルスと結びつくと、全身の免疫細胞の1種が感染して」病気を悪化させる。いずれにしろコロナ禍の長期戦は避けられず、今後数年は共存することになるだろう。経済を少しでも動かすためにも、徹底した検査が必要で、インフルエンザのように、どこの医療機関でも検査や治療が可能な体制を早急に作り上げるべきである。コロナ禍が経済を圧迫している上に、米国はリーマン・ショック後に米国を含めた世界の経済を牽引して来た中国に、まさに「冷戦」を仕掛けている。関税を通した貿易戦争から、5Gのファーウェイ(華為技術)問題やTikTokとWeChat排除などの技術戦争、香港自治法による金融(資本)戦争までに至っている。米国は、中国政府に米国の情報を盗まれない「クリーンネットワーク」を掲げている。表向きの技術戦争の理由である。しかし、秘密の「バックドア」があるコンピュータ・ハードウェアとして、ファーウェイを疑っても、「中国製」のiPhoneにはスルーするだけである。しかも、あくまでも疑いだけであり、証拠は一切提示しない。カナダで逮捕されたファーウェイの孟晩舟(モン・ワンジョウ)最高財務責任者(CFO)の米国への身柄引き渡しも、米国の対イラン経済制裁に違反して金融機関を不正操作した容疑によるが、米国が身柄引渡しを迫るのは、ファーウェイの「バックドア」を含めた技術情報を得たいがためである。米国は11月の大統領選挙戦のためにも、ますます対中国強硬姿勢に出るだろう。感染拡大を防ぎ得ない以上は、支持率を挽回するにはそれしかない。しかし、これは世界貿易をさらに悪化させ、最高値に迫る株式市場の暴落につながりかねない。Bank of Americaによれば、昨年8月時点で、ウォールストリート(米国の民間部門の金融資産)はメインストリート(GDP)のサイズの5.5倍であった。1950年から2000年までの標準は2.5〜3.5倍である。それが現在では6.2倍にもなってしまった。まさに"Wall Street is now "too big to fail"."である。大き過ぎて潰せなくなっている。これまで発表された8兆ドルの金融刺激策、12兆ドルの財政刺激策、合わせて20兆ドルは、まさに世界のGDPの20%強にあたる。今月4日中東レバノンの首都ベイルート起きた巨大爆発は広島原爆の12分の1の破壊力に相当すると言う平時では前代未聞の爆発である。米国のウォールストリートでもいずれ遠からず標準回帰の巨大爆発が起きるだろう。戦後、自由貿易の旗手として、常に他国にそれを迫って来た米国が、自ら保護貿易に転じている。対中国強硬策は必ず自分の身にも跳ね返りが及んで来る。しかも米国はすでにナポレオンが言った「眠れる獅子」を起こしてしまっている。
民間の側にもやって来る鹿