釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

拡大が続く感染が世界経済を破壊する

2020-06-22 19:18:08 | 社会
日本は一貫して検査制限をしているため、ほとんど無症状・軽症の人たちを見逃してしまっており、そのため感染がどこまで広がっているのか誰も把握出来ていない。検査を少し多くすれば、新たな陽性者は増え、検査を少なくすれば減る、毎日がこれの繰り返しでしかない。一見治って来ているような最近の感染者数ではあっても、その数は何も意味していない。検査数が少ないため意味付けが出来ない。国内のこんな曖昧な状況とは関係なく、世界では毎日10万人を超える数で新たな感染者が増え続けている。未だにそのピークすら見えていない。感染者は900万人を超え、死者は47万人を超えた。米国が235万人を超え、次いでブラジルが108万人を超えて増え続け、両国共に増加の一途を辿っている。世界でも増え続けている以上、日本の国際空港でもやはり来日者、帰国者で感染者が毎日のように見つかっている。世界が、そして特に米国が感染拡大を抑え込まない限り、日本での感染爆発の可能性はなくならない。13日に明かになった中国北京での新たな感染では、約1週間で20万人を超える検査が行われ、230人を超える感染者が見つかったが、中国疾病対策予防センターによると、今回の北京で見られたウイルス は、これまで中国国内で見つかったウイルスとは異なる株であることが分かったそうだ。いくつかの研究で明かになっているように、この新型コロナウイルスは変異スピードが早く、およそ11~14日で変異している。そして、米国の研究では、現在、世界で見られるウイルスの70%は、当初武漢で見られたウイルスよりも感染力が10倍も強まっていると言う。あくまでも感染力であり、重症化率ではないが。この世界的なウイルス感染の拡大、特に米国での感染拡大は、世界経済に深刻な影響を与える。IMFによる2018年のGDPで見ると、世界一の米国は日本の4倍の規模であり、第二位の中国は2.7倍の規模であり、日本経済はいずれの国の経済状況にも左右される。新型コロナウイルス感染の前から、米国は中国に貿易戦争を仕掛けており、そこへ新型コロナ感染が加わり、世界の生産とサービスが止まってしまった。現在の工業製品の多くは、いくつもの部品生産が個別の企業で行われ、互いに連携して初めて製品が出来上がる構造になっている。いわゆるサプライチェーンと呼ばれるものだ。貿易戦争もウイルスも、どちらもがこの構造を破壊している。生産とサービスで構成される実体経済は、極めて深刻であり、本来その指標となるべき株価が、今では指標の役割をしなくなっているため、日本のウイルス感染の実態を表すものがないのと同じで、とても危うい状態になっている。株式が実体経済の指標としての役割を果たさなくなったのは、特にリーマン・ショック後に顕著になった。リーマン・ショック前の2007年8月の米国中央銀行FRBの資産は8700億ドルでしかなかった。それがリーマン・ショック後の2015年の初めには4.5兆ドルにまで拡大した。FRBは以後、「正常化」のために少しずつ資産を減らし、2019年8月には資産は3.8兆ドルとなっていた。しかし、翌月の株価下落で、逆戻りし、資産を増加させて来た。今年6月には、ついに7兆ドルを超えるまでになってしまった。ゼロ金利と債券買い入れによる通貨発行により株価が支えられている。実体経済の悪化とは確実に乖離してしまっている。これまでの日本や現在の米国のような中央銀行の大量の通貨発行があれば、インフレがすぐにも起きそうであるが、大量に発行された通貨は、両国ともに実体経済へは流れず、金融経済の中に止まっているために、現在までのところはインフレにはなっていない。今月16日のCNNは米国著名投資会社グッゲンハイム・パートナーズGuggenheim Partnersのスコット・マイナードScott Minerd氏へのインタビューを載せた「Star investor: Markets may crash so badly the Fed has to start buying stocks(スター投資家:市場が暴落する可能性が非常に高いため、FRBは株式の購入を開始する必要がある)」なる記事を公表している。マイナード氏は、現在の米国の株価水準は、利益の30倍もの高さであり、バブルであることを指摘した上で、1990年代終わりのインターネット・バブルと同じであり、来月あたりにかけて底に向かうと予想されるが、中央銀行FRBがそれを阻止するために株式の買入れを行う可能性があるとする。中央銀行による株式の購入は、すでに日本銀行が行っており、ゼロ金利で日本に追従した米国中央銀行は、株式購入でも日本を後追いするのかも知れない。資本主義を代表する米国までも、資本主義を象徴する株式に中央銀行の手が伸びて行くことになるのか。
世界の感染拡大推移

米国での感染拡大推移

ブラジルでの感染拡大推移