釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

後退する報道の自由

2016-04-21 19:19:33 | 社会
釜石ではもう桜は終わりで、周辺の山々に淡い緑が見えて来た。今は内陸がちょうど桜が満開になっている。遠野では梅が咲き、桜も少し咲き始めたところがある。家の庭でも今年も次々に花が咲いて来ており、延齢草や白根葵までもが開いて来た。やはり、例年より早いようだ。 国連人権理事会が任命した特別報告者で「表現の自由」を担当する米国カリフォルニア大学アーバイン校のデビッド・ケイDavid Kaye教授が今月11日から来日して、政府職員や国会議員、報道機関関係者やNGO関係者らから、報道の自由や特定秘密保護法などについて聞き取り調査を行っていた。この調査は本来であれば、昨年12月1~8日の日程で行われる予定であったが、2週間前になり、突然、日本側からキャンセルされた。国連の調査をこうした形でキャンセルすることは異例のことである。当時岸田文雄外務大臣は「予算編成作業などの関係で、政府として十分に受け入れ態勢を整えることが困難だった」と語っていたが。19日、ケイ教授は日本外国特派員協会主催で記者会見を行い、「ジャーナリストの権利保護」「日本国民の情報へのアクセス」「インターネットの自由」などについて、調査結果を述べた。「特定秘密保護法や、『中立性』『公平性』を求める政府の圧力がメディアの自己検閲を生み出している」とし、「政府に放送局を直接規制する権限を与えた放送法のうち(政治的公平性などを定めた)第4条を廃止し、政府はメディア規制から手を引くべきだ」と訴えた。「日本の報道の独立性は重大な脅威に直面して」おり、メディアの独立性保護や国民の知る権利促進のための対策を政府が講じるべきだとした。20日には国境なき記者団が2016年版の世界の報道の自由度ランキングを発表している。それによると、日本は180カ国中、ついに72位にまで後退した。2010年には11位出会ったが、年々順位を下げ、安倍政権下では2014年に59位、2015年には61位となり、報道の自由が失われて来ている。自由度ランキングでは「良い状況」(クリーム色)、「どちらかと言えば良い」(黄色)、「問題がある」(茶色)、「厳しい」(赤)、「とても深刻」(黒)の5段階でも表しており、日本は「問題がある」に分類されている。軍事力を強化して、戦前の「日本を取り戻す」考えの首相は社会の体制をも戦前と同様にしたいようだ。憲法を「解釈」で簡単に変える人であれば、報道の自由の抑制などは朝飯前だろう。現在の日本で憂うべきは、こうした為政者たちの姿勢ではなく、その為政者に媚びるメディアの存在だろう。メディアが自らメディアの役割を放棄しているのだから。
報道の自由度

北上川に沿った桜の名所、展勝地 (珊瑚橋の向こうに雪の残る早池峰山と薬師岳が見える)