釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

地方が消える日本

2014-05-11 19:17:29 | 社会
今日の釜石は見事な五月晴れで、最高気温も20度で、25度の夏日に達した内陸ほどは暑くならず、とても清々しい一日であった。見渡す限り、雲一つない青空が広がり、近くに迫る山々は新緑に溢れ、やって来たカワラヒワまでが楽しんでいるように見えた。午前中聞こえていたウグイスの声は午後には聞こえなくなった。改装された橋野のどんぐり広場の産直に行こうと思っていたが、庭の山野草を見ているうちに、その気が失せてしまった。何日か前から熊の出没する時期に入ったので、注意するようにとの放送があったが、昨夜、すぐ近くの山裾の住宅街に熊が出たようだ。結局、一日五月晴れの中で、家でのんびりしてしまった。 今月8日、民間の有識者らでつくる政策発信組織「日本創成会議」の人口減少問題検討分科会は「全国1800市区町村別・2040年人口推計結果」を発表した。それによると、2010年から2040年までに全国の1800市区町村のうち896自治体で、子どもを産む人の大多数を占める「20~39歳の女性人口」が5割以上減る。そのため高齢者の減少と相まって、人口減少が加速され、消滅の可能性があると言う。同分科会の座長は元岩手県知事も務めた増田寛也東京大学大学院客員教授だ。この推計結果を見ると、釜石の場合は2010年の総人口が39,574人であったものが、2040年には19,002人となり、20-39歳女性は2010年の1647人から2040年の1210人となっている。若年女性の変化率はマイナス62%になっている。県庁のある盛岡市ですら総人口は2010年の29万8,000人から6万人の減少が予測されている。釜石市は震災もあったため、現在は2010年と比較しても3000人の人口減少が見られている。同分科会が重視するのは、地方からの東京への若年女性の流出である。地方から若年女性の職が消えて行っている。2005年から2010年までの5年間の全産業の就業者数は東京都と沖縄県以外ではすべて減少しているが、すべての都道府県で医療介護だけが増加していた。しかし、今やその医療介護の分野で異変が起きている。増えているはずの高齢者自体が減少している自治体が出て来ている。全国自治体の5分の1で高齢者は減少しているのだ。地方では医療介護の分野は若年女性の有力な職であったが、高齢者の減少で、その職が失われて行っている。そのため職を求めて若年女性が東京へ流出している。東京都では高齢者が今後も増えて行く。これまで就業については若年男性が問題にされることが多かったが、人口問題の視点からは若年女性の就業がとても重要になる。東京へ流出した若年女性は未婚率が高くなる。家賃をはじめ生活費が高い東京は子供の出産・育児にも向いていない。環境面でも地方が好ましい。しかし、人間的な暮らしが可能な地方には職がなく、一向に東京への一極集中が止まない。欧米と比べて生産性の低い日本の労働は長時間労働を助長し、ますますの非正規雇用の拡大で、東京であっても結婚や出産は厳しい。安倍首相の掲げる成果主義の導入は企業体質が変わらなければ、ますますの長時間労働に繋がるだけであり、単純には労働の生産性の向上にはならない。NHKは将来の日本を「極点社会」と表現している。このまま経過すると、地方は衰退し、東京、名古屋、大阪だけが生き残る社会になってしまう、と予測されるからだ。しかも、それら生き残った大都市も過密化して効率の悪い都市となるのだ。インターネットなどの通信網、新幹線や高速道路などの交通網が整備され、これまではそれがかえって、都市部への人口集中を加速させて来た。一方通交であった。しかし、これをそれらを使って逆方向の流れに転じなければ、日本全体が衰退して行くことになるだろう。トヨタは円安と消費税の還付、非正規雇用の拡大の助けで、本年3月決算で史上最高の利益を上げた。こうした政府からの保護がなければ利益を上げられなくなった産業はもはや斜陽産業である。人口減のスピードを少しでも緩和させるためには新たな産業の創出と東京一極集中を正さなければならない。それも早急に。しかし、首相の目には未来の危機的な日本ではなく、現存大企業の保護と「戦争の出来る」過去の日本しか見えていない。
浦島草

蝮草(まむしぐさ)

雪餅草

黒百合

都忘れ

スミレ草

スミレ草もいくつも品種がある

大輪朱鷺草(ときそう)

梅花唐松

しゅたん草

八重の山査子(さんざし)