釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

新緑の5月

2014-05-09 19:53:25 | 自然
もうこの時期になると釜石も朝は寒さが消えた。むしろ清々しさを感じる。庭では深山レンゲのような山芍薬が咲き、鳴子百合も咲いて来た。白や紫の白根葵も風に揺れている。敦盛草の芽が今年も順調に伸びて来てくれているのが、何よりも嬉しい。藤もたくさんの花を咲かせて、今年もクマバチがやって来ている。ずんぐりとした大きな身体で、羽根を懸命に動かして、身体を浮かせながら、藤の花々を移って行く。椿もかなり落ちてしまってはいるが、残り少ない花に相変わらず、せっせとヒヨドリがやって来ては蜜を吸っている。市街地を見ると何か所かで、まだ八重桜が見られる。桜と言う種類に限っても釜石はほんとうに花の咲く期間が長いことが分かる。 先日、四国の愛媛県に行った際、今治市にある産直、「さいさいきて屋」へ立寄った。売り場面積は魚介類まで販売されているため遠野の風の丘よりも広い。連休中でもあったので、客もたくさん来ていた。魚は東北とは違った種類のものも多く、四国でなければ見られないものもあり、とても懐かしく思った。主な目的は植物であったが、植物も風の丘より多い。しかし、大半が園芸用の外来種で、いわゆる日本古来の山野草はごくわずかであった。このあたりを見ても、やはり東北の植生の豊かさに感心せざるを得ない。松山から今治へ行くのに山間部を通ったが、すでに山藤が咲き誇っており、竹林が多いのには、あらためて南国を感じさせられた。山の緑は釜石よりさすがに少し濃く、気温はさほど変わらないので、釜石同様この時期の風はとても気持ちがいい。兄が住む実家の裏手には松山市街にいくつかある丘の一つがあり、朝、そこを散歩しているとキジの鳴く声が聞こえて来た。これには少し驚かされた。まさか市街地の中にある丘にキジがいるとは思ってもいなかった。今治市菊間町で村上義光の墓を探している時には子供の頃以来見ていなかったアオダイショウに出会った。子供の頃に見たのもそこからさほど遠くないないところであった。さすがに蛇は南国だからか大きい。松山では花は、松山城ですでに菖蒲が咲き、実家の近所では芙蓉や紫蘭、蜜柑の花なども目にした。紫の桐の花も咲いていた。桜はさすがに散ってさくらんぼを付けた木を何本か認めた。岩手県内の桜が地域によって開花時期が異なることから、冬の気温が大きく関わっていると考えたが、松山近辺の花の咲き方を見ても、やはり、松山と釜石の冬の気温の差が大きく関わっていることが分かる。5月に入ってからの気温の差はあまり大きくないからだ。両地とも新緑の5月の爽やかさがあり、そこにはさほど大きな違いはない。花だけが少し違いを見せていた。釜石では今ようやく山藤が咲き始めて来ており、オレンジ色の山ツツジも咲いて来た。市街地ではライラックや花水木が目に付く。5月はさらに東北では山野草の季節で、職場の伝統の匠の方から今月中旬には気仙沼で山野草の展示即売会などもあることを教えていただいた。今月末には例年行なわれている住田町の敦盛草のための「かっこう祭」がある。これらを考えても山野草がいかに東北には多く、また、それを愛でる人たちが多いかが分かる。四国へ行っている間は、庭の花木や山野草が心配であったが、幸いにもほとんど変わらず元気に育ったり、花を咲かせてくれていた。何種類かの梅花唐松などは連休前からずっと現在まで綺麗な花を咲かせたままでいる。山野草がいかに強く生育するか、感心させられる。
松山で見た花たち

松山城で咲いていた菖蒲

蜜柑の花

月見草がもう咲いていた

花が終わってさくらんぼが付いていた

紫蘭もすでに咲いていた

高く伸びた桐の木に紫の花が咲いていた