釜石の日々

岩手県釜石市に移り住んで16年8ヶ月が過ぎ、三陸沿岸部の自然の豊かさに感動する毎日。

インドネシアの地震

2018-08-06 19:13:13 | 自然
週末は天候が良くなく、今日も朝から小雨が降り続く。今日の最高気温は21度で、半数近くの人が長袖で、中には薄いカーディガンを羽織っている人もいた。朝晩、雨の中でもコオロギが鳴き、今日も家の近所や職場の裏山で、ウグイスが綺麗な声で鳴く。咲いて来た葛(くず)の花も雨のために一部が散っていた。今日は札幌ですら釜石よりずっと気温が高く、28度になっている。台風が接近しつつある関東でも35度以上の猛暑日だし、名古屋は40度に迫っている。同じ日本内のようには思えないほどの気温差だ。職員の中には油断をして、風邪を引く者もいた。 昨夜インドネシアのロンボク島北部でM6.9の地震があり、100人近くが亡くなっている。インドネシアはオーストラリアプレートに載り、その下に太平洋プレートが潜り込んでいる、その境に当たるため、日本同様に大きな地震が度々襲って来た。火山も同様にある。太平洋プレートは東側では北米大陸へも影響しており、米国オレゴン大学の最近の調査では、米国北西部及びカナダ南西部の太平洋岸の1000Kmに及ぶプレート同士がぶつかって沈み込んだ海溝であるカスケード沈み込み帯の南北端でマグマが上昇していることが分かった。この沈み込み帯では318年前にM9の巨大地震が発生しており、その巨大地震の周期は平均 270年とされており、すでに現在、その周期を超えている。従って、ここではM9クラスの巨大地震がいつ起きてもおかしくない状態になっている。ここでの巨大地震は当然津波を発生させ、日本へも到達する。日本では現在、南海トラフの巨大地震と首都直下型地震が心配されているが、周期を考えると、首都直下型はすぐには起きそうにない。むしろ、南海トラフの巨大地震の方が可能性が強い。今年初め、政府も南海トラフ地震の30年以内の発生確率を70%から80%に引き上げている。今日のニュースを見ると、政府の中央防災会議が、南海トラフ巨大地震発生の可能性が高まっていると判断した場合、政府の呼び掛けで住民が一斉避難する仕組みを導入する方針を明らかにしている。しかし、現在の国の地震予知の能力から考えると、実際にはこうした対策は機能しないだろうと思う。現在、政府系の海洋研究開発機構が南海トラフに沿って、掘削孔を海底下深度656mまで掘って、長期に渡り観測可能な装置を設置しようとしている。南海トラフ巨大地震では震源域は1000Kmに達し、予想では最大震度7で、津波の高さは30mを超えるとされている。政府の想定では被害は死者32万人、220兆円とされているが、土木学会は1410兆円とした。ちなみに東日本大震災は20兆円である。しかし、東日本大震災で見られたように、こうした被害や被害額には原発事故が含まれていない。南海トラフ巨大地震でもやはり政府や土木学会は原発事故を想定していない。浜岡原発は高さ海抜22m厚さ2mの防潮堤で補強されたが、東日本大震災では岩手県の田老町の厚さ22mの防潮堤が脆くも津波で崩れ去った。浜岡原発には1号機から5号機までの原発があり、最悪の場合、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教によれば、御前崎市の住民はほぼ90%が死亡し、癌などの長期の被害を含めると、200万人もの犠牲者を出す可能性があるとされる。現在、同原発は稼働していないが、使用済み核燃料は冷却し続けなければならないため、その冷却が絶たれると、悲惨な結果を引き起こす。しかも、中部電力は再稼働を申請中である。犠牲者を出した東日本大震災もすでに7年が経ち、その当時の反省もすでに忘れられかけている。地震を含めた災害はいつも「忘れた頃にやって来る」。しかも、その災害への対策はほとんど何も取られていないのが現状だ。
庭で羽根を休める赤トンボ

ハスとスイレン

2018-07-27 19:14:00 | 自然
今朝は久しぶりの快晴で、空には雲一つなく、青空が大きく広がり、いつものように近くでウグイスが鳴いていた。川には今朝も鮎釣りの人の姿があった。気温が20度の中を爽やかな風を受けてウォーキングしたが、それでも後半は少し汗ばんで来た。家々の庭にはムクゲや芙蓉、百合など夏の花が咲く。出勤後、職場の駐車場のそばの裏山に6頭の鹿が来ていた。夏毛の白い斑点が付いている。駐車場の車や人の動きを気にしながらも、しばらくは草を食んでいた。午後には気温が26度まで上がったが、変わらず爽やかな風が吹き、日射しを受けなければ暑さは感じられなかった。 10年前に初めて東北に住むようになり、野生の動物や植物の多さに驚いたが、平泉の毛越寺で発見され、再生されたハスの花にも驚かされた。ハスの花には以前住んでいた愛知県でも惹かれていたが、古代ハスとなると、何か特別なものを感じざるを得ない。万葉集ではハスを詠ったものが4首あるが、ハスの花よりも蓮葉はちすば)として、むしろ上に水滴を載せたハスの葉に感動していたようだ。ハスが地球上に現れたのは1億4000年前とされているが、残念ながら原産地は未だに特定されていない。エジプト、インド、中国などが挙げられているが、いずれも定説とはなっていない。1億4000年前の地球には、超大陸パンゲアが分裂して出来た、北のローラシア大陸と南のゴンドワナ大陸があった。ローラシア大陸は、ローレンシア大陸、バルティカ大陸、シベリア大陸、カザフスタニア及びシナ地塊から成る。また、ゴンドワナ大陸の方は、現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸や、アラビア半島、マダガスカル島を含んでいる。この頃の二つの大陸のことを考えると、ハスは南のゴンドワナ大陸を起源とするのではないかと思えてくる。ほとんど関心のない人にはハス とスイレンの区別がつかない人がいるが、確かに共に水生植物であり、植物学的な系統樹でも同じスイレン目に属している。スイレンは同じ系統ではあるが、ハスよりもずっと早く系統樹の中で分岐したもので、従って、地球上にはハス よりもずっと早く出現していると考えられるが、いつ頃なのか定かではない。家の庭にはスイレンとハス の水鉢がそれぞれあり、スイレンは最初、葉が水面にあったが、葉の数が多くなり、葉の大きさも大きくなって来ると、葉が水面よりもずっと高くなって来た。そんな状態を見ていると、まさにハスの葉が水面よりずっと高いところにあるのと良く似ている。池や沼だと広いので、スイレンの葉のこんな状態はあまり見かけない。ハスもスイレンもいずれにも熱帯と温帯のものがある。おそらく、両者の先祖となる植物は熱帯で生まれたのではないかと思っている。熱帯の淡水の池や沼で、水底の泥の中に根ざして、茎を水面に向けて伸ばし、水面で葉を広げ、その葉に日の光を浴びる。花の大きさも葉の大きさもハスの方が大きくなる。葉の表面はスイレンには光沢があり、ハスにはそれがないが、いずれも雨などの水滴が葉の表面で玉状になる。葉に光沢がない分、ハスの葉の水滴はかえって目立ち、それが万葉の歌人達を惹きつけたのだろう。作者不明だが、「ひさかたの、雨も降らぬか、蓮葉(はちすば)に、溜(た)まれる水の、玉に似たる見む」(雨が降らないかなぁ、蓮の葉にたまった水が玉のようになるのを見たいなぁ)の歌がある。
少し離れたところにもう1頭いた

今年生まれたと思われる子鹿

800年前のハス

続く猛暑

2018-07-26 19:08:37 | 自然
今日の釜石は朝から晴れていて、家の近くでは2羽のウグイスが互いに鳴き競うように鳴いていた。朝のウォーキング時には、もう川で鮎を釣る人たちの姿があった。日中は確かに日射しは夏の日射しだが、涼しい風が吹き、木陰に入ると、とても気持ちがよかった。午後3時過ぎになると、職場の裏山でもヒグラシが鳴き始めた。最高気温は26度で、札幌より低かった。南からの暖かい海流と北からの冷たい海流が流れるので、三陸沿岸は内陸ほど夏は暑くなく、冬も雪が積もらない。先日、浜百合を見に、海岸へ行くと、釣り人が何人かいたが、地元の人の話だと、この夏は日本海側で異変が起きており、魚が来なくて、釣り人はわざわざ太平洋側に釣りに来ているそうだ。これももしかすると海水温の変化によるのかも知れない。 今日も西日本では猛暑となるところが多く、気象庁によれば、まだしばらくは暑さが続くようだ。今年1月30日に英国紙The Timesが「Olympic athletes could die from Tokyo summer heat, warn experts(オリンピック選手は東京の夏の暑さで命を落とすかもしれない、専門家に警告)」と題する記事を出したが、最近の酷暑で、さらに海外のメディアが2020年の東京の夏のオリンピックの危険性を報じている。今年のような暑さの場合、選手は無論、観客にも命を落とす人が出る可能性が強い。人の身体は体温を36~37度に維持するよう調節されている。しかし、外気温が上がって、身体からの放熱を上回って身体が熱せられると、熱中症になる。通常、身体の内部の温度が41.5度を超えると、細胞内でエネルギーを作っているミトコンドリアの機能障害が起き、さらに42度を超えると不可逆的な障害となり、命を落とす危険が高くなると言われる。今月17日、愛知県豊田市の小学生が熱中症で亡くなった。校外学習で1Kmほど学校から離れた公園へ出かけた。学校敷地内の気温は32度で、公園では33.4度だったとのことだ。片道20分の歩行と、公園での30分を過ごした後、学校に戻り、エアコンがなく室温が37度の教室で20分ほど過ごした時に子供は意識を失い、病院へ運ばれ1時間ほどで亡くなった。子供は大人以上に活発に動くため、大人は油断してしまう。しかし、子供と大人では熱に対しては大きな差がある。人の身体は汗を出すことと血管を広げることで熱を身体から発散させている。ところが、血管を広げる機能は小学生で完成するが、発汗の機能は18歳ぐらいにならないと完成しない。そのため活動環境は32度が限度と言われる。37度の教室はやはり問題があるだろう。亡くなった小学生は水分補給はしていたそうだが、発汗の機能が十分ではない年齢であるため、水分補給をしても安心は出来ないのだ。学校や子供を持つ親は、こうした外気温に対する子供と大人の違いをよく理解していなければならない。犠牲者が出て、初めてクローズアップされることはとても残念だ。先日の記事で掲載した世界の海水温地図で見られるように、この夏の異常な高温は高い海水温が影響する日本と欧州で見られ、欧州では大規模な高気圧が停滞する「ブロッキング高気圧」に見舞われている。世界気象機関(WMO)は、北欧では二週間は高温が続くと予測しており、ギリシャの首都アテネ近郊では熱波のために死者が80人にもなる大規模火災が発生している。大気温が30度の時、舗装路面は55度になるとされる。炎天下で行われるオリンピック種目では、よほどの注意を払わないと、外国メディアが報じるように、犠牲者を出す危険性が高いだろう。政府はこの熱対策に50億円を投じると言うが。
早朝に香りを漂わせていた山百合

釜石の野生環境

2018-07-17 19:14:46 | 自然
週末から全国各地で猛暑となり、豪雨の被害が広がった西日本でも被災者や連休でボランティアとして西日本入りした人たちも体調を崩した人が多かったようだ。気象庁によれば、二つの高気圧が停滞するため、まだ1週間程度は猛暑が続くそうだ。昨日の釜石も33度まで上がったが、さすが東北だけあって、朝晩は5〜7度くらいは下がってくれ、昨夜は清々しい風が吹いてくれた。日中もやはり風があり、体感的には33度の気温は感じられなかった。今日は昼前から小雨がちになったせいもあり、気温は28度までしか上がらず、暑さを感じないで済んだ。庭では山百合が咲いて来た。日本には15種の百合が自生し、7種の固有種があると言われる。中でも山百合は最も花が大きく、幕末の1823年に来日したドイツの医師で植物学者でもあったシーボルトにより、紫陽花とともに欧州へ持ち帰られ、オランダで品種改良され、現代のオリエンタル・ユリとなっている。愛知県に住んでいる時、郊外の山間部に入り、民家の庭先に咲いているのを見たことがあるが、自生したものは見たことがなかった。しかし、岩手に来てみると、山間部では普通に自生しているのを見ることが出来る。花が大きく、とてもいい香りを漂わせてくれる。近所の家の生垣の間からも何本かの山百合が伸びていて、やはり昨日から花が開いて来た。昨夕、涼しくなって来た中で、いつものコースのウォーキングに出かけた。川沿い近くの山からは涼やかなヒグラシの声が聴こえて来てた。かと思えば、今朝のウォーキングでは同じ川の河川敷の木からはウグイスの声が聴こえて来た。川沿いには紫陽花が咲いている。釜石は震災では海から1Km範囲では被害があったが、普段は台風や豪雨の影響もなく、冬は雪が積もることもない。年間を通しての気温が比較的安定し、それが動植物の豊かさとなっている。夜には裏の空き家に鹿がやって来る。そんなこともあり、鹿は夜行性があるのだ思っていたが、米国のカリフォルニア大学の最近の研究では、人間活動によって、さまざまな哺乳類が夜間に活動するようになる現象が世界中で起きていて、日本の北海道や栃木、長野両県にすむ鹿やイノシシも夜行性に追いやられていた、と言う記事を見た。鹿は本来は夜行性ではなかったのだ。逆に熊は夜行性だが、近年、釜石などでは日中に何度も民家付近に出没している。特に夏場は山に餌があまりないので、なお、出没しやすいようだ。先日、職場に来られた巨匠の話では、毎日熊が出没していると言われていた。来年は釜石でラグビーのワールド・カップ競技が行われ、そのための競技場も完成し、釜石を南北と東西に結ぶ自動車道もこの秋には完成させるために、急ピッチで、工事が行われている。その自動車道は山間部を走っているため、トンネル工事もかなり多く、当然、山の動物たちにも影響しているのだろう。岩手県は中央を北上川が南北に流れ、その川沿いに平野が広がるが、中心の平野部の西と東はそれぞれ奥羽山脈と北上山地があり、釜石は北上山地により、中心の平野部から隔絶されている。やはり自動車道はそんな立地の釜石には有難くはあるが、動物たちにはいい迷惑だろう。山間部の道路で轢かれたタヌキやイタチ類などはもう何度も見て来た。これから10年、20年と経てば、釜石の人口もさらに減って行く。高齢化も極端に進むだろう。人間活動が減って行けば、動植物にはいいことかも知れないが。
山百合

透かし百合の咲く釜石

2018-07-03 19:15:28 | 自然
岩手県に住んで10年が過ぎたが、その間に東北ではまだ青森県と山形県へは行っていない。しかし、おそらくそれらの県も他の東北の県と同じく、自然は豊かなのだろう。7月に入ると庭でも百合が咲いて来た。百合は日本が原種となるものが多く、その原種の自生を直接見ることも出来る。以前、愛知県に住んでいた頃、かなり奥の山間部に入ったところで山百合を見つけ、その大きさと芳香に惹かれるようになった。岩手や秋田の山間部でも何度か山百合を見つけた。釜石の海岸部では透かし百合でもある浜百合が見られる。その海岸に咲く浜百合の花粉が山野に飛んだのだと考えられるものが深山透百合だそうで、不思議なことに埼玉県・茨城県・岩手県の三県のしかも限定された山でしか見られないと言う。白く大きな山百合は花が横向きに咲くが、透かし百合は花が真上を向いている。浜百合は自生しているところを見たくて、何度か海岸沿いを見て回り、波の砕ける岩場に咲く姿を見て、感動させられた。残念ながら、岩手でも咲くと言われる深山透百合の方は、それが咲く山も分からないでいる。おそらくより内陸の奥羽山脈地帯ではなく、海岸よりの北上山地に属する山に咲いているのではないだろうか。岩手に自生する花や、発見された古代蓮を蘇らせた蓮の花などにはとても惹かれる。何百年、あるいは何千年か前の人たちと同じ花を見ているのではないかと想像するだけでとても楽しくなる。岩手では中尊寺で見つかった800年前の奥州安倍氏の館の蓮の種が、再生されて中尊寺や五郎沼で花を咲かせるようになっている。千葉県で見つかった2000年前の大賀蓮も現代で見られるようになり、以前、旧居で育てたが、大きな蕾までは育ったが、成功しなかった。いつか必ず古代蓮を庭でも見ることが出来るようにしたいと思っている。夏の暑さの中で咲く百合や蓮のような比較的大きな花が香りを漂わせて咲いているのは、どこか涼しさを感じさせてくれる。川では今月に入り、釣りが解禁になっている。家から川まで歩いて3分ほどで、カワズガエルが生息するだけでなく、岩魚や山女魚、鮎がいる。川下では八つ目ウナギも獲れるそうだ。以前は川に架かる近くの橋の下で、何度か山女魚釣りを楽しんだ。そして匠の方たちとさらに奥山の渓流に入り、大きな岩魚なども釣って楽しんだ。今朝はウグイスの声は聴かなかったが、昨夜は相変わらずホトトギスが鳴いていた。三陸沿岸は暖流と寒流が交わり、その上、凹凸のあるリアス式海岸となっているため、魚介類も豊富で、今日も獲れたての新鮮な生ウニを職場の方からいただいた。秋刀魚の美味さも釜石で初めて知った。山野に咲く花、季節ごとにやって来る野鳥、山の幸・海の幸、それら自然そのものを身近で楽しめるのが釜石であり、何も知らずにやって来たこの釜石を今ではすっかり第二の故郷のように感じるようになっている。
透かし百合

大阪北部の地震

2018-06-18 19:16:44 | 自然
今朝、大阪で地震があったが、家族が震源地に比較的近いところに住んでいるので、すぐに連絡を取った。震度5強で、部屋の中は落ちて来たものや倒れたもので散乱したようだが、幸い怪我はなかった。気象庁はここ1週間は注意が必要だと発表している。日本には4つのプレートが集まり、そのプレート境界域で起きる地震と陸地の活断層で起きる直下型地震の二通りがある。2011年の東北地方太平洋沖地震はプレート境界域で発生した境界型地震と言われる。今回の大阪の地震は活断層で起きた直下型地震である。大阪にもたくさんの活断層が走る。今回の震源地近くには東西に走る有馬-高槻断層帯、南北に走る上町断層帯、生駒断層帯があり、気象庁は今朝の地震は有馬-高槻断層帯で起きた地震と考えているようだ。この断層帯では1596年にM7.5の慶長伏見地震が発生している。東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授によれば、上町断層帯では8000年間隔で活断層が動いており、この断層帯での最後の地震が起きてから、すでに9000年が経過していると言う。1596年から1615年までの慶長年間にはいくつもの地震が続けて発生している。1596年9月1日にM7.0の慶長伊予地震、3日後にM7.0〜7.8の慶長豊後地震、その翌日に慶長伏見地震、1605年2月3日には南海トラフ地震とも言われる慶長大地震、 1611年9月27日M6.9の会津地震、12月2日には東日本大震災と同様とも言われる慶長三陸地震、そして1614年11月26日には震源地は不明だが、東北の会津から四国の松山に至る日本各地に被害を出した巨大地震が発生している。2018年に入り日本では小さな地震も含めると、毎日何処かで地震が発生している。昨日から1ヶ月前までの間にもM4以上の地震が6回発生している。昨日は群馬県南部でM4.6の地震があり、一昨日は千葉県南部でM4.5の地震があった。地震や火山噴火などによる自然災害は時には社会の経済活動に大きく影響する。そのため、日本でも米国でもこうした地震や噴火の周期性を調べ、得られた結果を経済投資に活かしている人がいる。中でも米国の投資分析家で、CNBC、フォーブス、ウォールストリートジャーナルなどの著名な金融系メディアにも登場するエリック・ハディクEric Hadik氏は、2009年に公表した金融レポートで、2010年から 2011年の地震の集中を予測し、そこには2010年1月のM7.0のハイチ地震、2010年2月のM8.8のチリ地震、2011年3月の東北地方太平洋沖地震が含まれていた。そのハディク氏が今月8日、米国のLinked Inのインタビューを受けている。氏によれば、太陽黒点や太陽嵐、そして気候変動などの自然事象がすべて人間の行動や集団によって支配される市場の研究と分析にとって重要な背景を提供するのだ言う。2009年のレポートでは、7年間のサイクルと 17年間のサイクルを見出しており、特に、7年ごとに地震活動の集中とその威力が急増していて、劇的な地震の事象の多くは、7年の倍数の14年と28年のサイクルが最も重要なものとなっていることを明らかにしている。そして、そのサイクルの、ある段階で火山活動が急激に増加し、火山噴火の最も重要な例は、1991年の3つの大きな火山噴火、フィリピンのピナトゥボ山、米国のハドソン山、日本の雲仙普賢岳である、と述べている。このレポートでは、地震と火山の連鎖は、2018年〜2019年に再び起きると予想している。28年間のサイクルと、40年のサイクル、そして、さらに最長のサイクルである100年と200年のサイクルなどが相乗するため、最も重要なのだと言う。平安や江戸初期の慶長年間では巨大地震や火山噴火がまさに連鎖していた。現在、世界の景気後退が今年の後半から来年にかけて起きる可能性を指摘するエコノミストが増えて来ている。まさに地震や火山噴火の自然事象の連鎖と重なることが不気味だ。
庭の睡蓮

山野草の季節

2018-05-19 19:19:58 | 自然
緑が深くなった5月は、山の春でもある。平地よりも少し気温が低く、日当たりも平地より少ない山の環境は植物の開花を平地より遅くする。その開花の時期は、たとえ平地で育ってもDNAに刻まれているため、変わらない。我が家の庭では鉢植えの山野草が次々に花を開かせている。小さな鉢で、冬には土だけになって、もう芽は出ないだろうと思っていたものまでが、芽を出し、大きく育って来る。それが一つや二つではないので、あらためて山野草と言う自然界に自生する植物の強さを感じる。鉢底の小さな穴から細い根を伸ばし、その下の地中にまで入り込んでいるものもある。中には鉢の中で育たないで、鉢の外の根から芽を出し、そのまま成長したものまである。そんな植物も動物と同じく水だけは欠かせない。細胞自体や土の中から栄養を吸収するためには水分の補給が必要だ。自然界だと雨水だが、庭では雨水だけでなく、水道水も使わざるを得ない。カルキの入った水道水は気がかりではあるが、そのまま使っている。睡蓮や布袋葵の花を見たいがために、それ用の少し大きい水鉢を庭に置き、中へは金魚も何匹か入れている。最初はメダカも入れたが、いつの間にかメダカはいなくなった。ひょっとすると金魚に食べられたのかも知れない。さすがにメダカや金魚を入れるために、水鉢の水はカルキ抜きを最初にやっておいた。旧居にいた時に手に入れた2000年前のハスを蘇らせた大賀ハスは一度だけ咲いて、ダメになった。仕方なく、昨年、また手に入れて庭においておいたが、ハスの葉が枯れて、これももうダメだと思っていた。冬が去って、春がやってきた頃、その専用の水鉢をよく見てみると、水中に小さく巻かれたハスの葉がいくつか見えた。今はもう丸い葉が水面に浮かんでいる。これから葉も大きく育って来るのだろうが、花を咲かせるまでに成長してくれるのか、まだ心配だ。赤い蕾を膨らませて来た山芍薬は、今朝見ると雨で花びらを一つ落としてしまったようだ。残念ながら白の山芍薬は今年は蕾を出していない。これからの楽しみは野生蘭の王者と言われる敦盛草だ。住田町産と少し色の濃い北海道の武徳産の2種類が葉を伸ばして来ている。山では敦盛草は草むらの中で自生しているらしく、日中の日射しを受け過ぎないように気を付けなければいけないようなので、白根葵の大きな葉陰において、雨にもあまり打たれないようにしてある。庭の山野草では最も貴重な山野草でもあるので、さすがに他の山野草より気を使ってしまう。釜石は広い岩手県でも沿岸部にある意味で孤立した小さな街で、都会のような文化的な施設はなく、地元の人は何もない街だと言うが、自然の豊かさに気付いていない。無精者でも植物はちゃんと育ってくれている。しかも、他では見られない山野草と言う可憐な花まで見ることが出来るのだ。
山野の落葉樹の側で咲くサルメンエビネ

山野草の生命力

2018-04-28 19:16:01 | 自然
以前、北海道に住み始めた頃、地元の人から北海道は四季がはっきりしていると言われた。そう言われると、怪訝な気持ちになった。全国各地に住んだが、北海道の印象は逆に四季がはっきりしないと感じていたからだ。どうも厳しい冬が温かい春と涼しい夏と対比されて、地元の人には四季がはっきりしていると感じられていたのかも知れない。東京以南に長く住むんでいたので、北海道は春と夏がはっきりしていないと感じた。春の花が初夏に咲いていたりした。秋も寒さから言えば四国の冬に感じることが多かった。11月半ばには降った雨が夕方には凍ってしまう。そんな北海道と東北のこの岩手を比べると、北海道よりずっと四季の違いがはっきりしている。それでいて、北海道ほどには冬は寒くなく、夏は東京ほど暑くはない。この気温の変化が多分植物にはとても適しているのだろう。岩手に来て驚いたのは、山野草がたくさんあることだった。山野草と言うことは、それらが山野に自生すると言うことだ。山野草に魅入られ、その花たちを写真に収めるために、庭で育てることを始めた。育て始めてわかったことことは、同じ山野草でも温度だけでなく、土が大事だと言うことだった。あらためてホームセンターなどの植物用の土を見てみると、何種類もある。ほとんどの山野草はホームセンターが野菜と花に共通の土として用意してくれているもので大丈夫だが、一部の山野草だけはやはりそれ用の土が必要になる。特に、野生蘭の王者と言われる敦盛草はそれなりの土が必要になる。敦盛草の保護活動が盛んな隣の住田町では道の駅や産直で、そのための土が販売されている。敦盛草はすでに絶滅危惧種に指定されている。一昨年まで住んでいた旧居の庭で発泡スチロールで敦盛草を育てていたが、株分けを怠ったためにダメにしてしまった。仕方なく、昨年、住田町でまた鉢植えの敦盛草を買った。花が終われば発砲スチロールに植え替えようと思っていたが、時期を失してしまった。またダメにしてしまったかと諦めていた。先日、庭のいくつかの山野草の間に置いておいたその鉢をみると、小さな芽が出て来ていた。こう言う時はとても感動させられる。植物の生命力に打たれる。家のすぐそばの職場の関連施設に、遠野からこられている方がいる。この方も山野草を育てられており、先日話した際に、敦盛草があるのを見られると、簡単に盗難に会うと言う話を聞かされた。旧居の庭は周りに大きめの木があるため庭は外からほとんど見えないが、現在の家は十分に外から庭が見える。悩ましいが、今のところ隠すようなことはしないつもりでいる。自分でも毎日目にすることが出来る位置だからだ。来月には本格的な山野草の時期がやって来る。近辺の産直でもたくさんの山野草が安く売られる。昨日見ると、2000年前の種から蘇った大賀蓮も巻き込んだような新しい葉が見えて来た。やはり希少な早池峰薄雪草も葉を伸ばして来てくれている。
朝焼け

自然の豊かさを支える食物連鎖

2018-04-20 19:11:02 | 自然
今日は青空がさほど広がっているわけではないが、日射しもあり晴れて、気温は17度まで上がった。もう毎日のように家の近所でも、職場近辺でもウグイスの声を聴くようになった。桜はかなりちって、若葉が出始めている。東京ではもうツツジが咲くと言う。家の山野草も翁草や白根葵などが咲き、早池峰薄雪草も葉を伸ばして来ている。職場の裏山を見ている時に、4頭の鹿を見付けた。ちょうどそこへ岩手県の北部出身の方が来られ、「熊を見たことがありますか?」と聞かれた。釜石へ来て間も無く、この裏山の木に子熊が上っているのを見たことがあった。その前後にも大船渡との中間の国道を夏毛の熊が横断するのを見かけている。近くにいる鹿を教えてあげると、県北では鹿は滅多に見ることはなく、ニホンカモシカばかりだとのこと。釜石へ来た頃、五葉山がニホンジカの北限だと言われていたが、2010年には青森県八戸市の郊外で2頭のニホンジカが目撃されている。イノシシもかっては岩手にはいなかったが、今では釜石でも確認されている。職場の裏山だけでも目撃した動物は、ニホンジカ、ニホンカモシカ、熊、リス、タヌキがいる。これらの動物がやって来るのは、それだけ餌が付近の山にあるからだろう。頻繁にやって来るニホンジカは山奥だと、時期にもよるが、むしろ猟師に狙われるが、市街地近くだと禁猟になっているため、安全なのだ。この職場の裏山を見てるだけで、いかに岩手の山が豊かであるか分かる。先日、家のそばにある職場の関連施設の方と話す機会があった。その方は遠野から来られている。この方の話では、今でも山には敦盛草が自生しているのだと言う。この方は季節になると山へ入り、山菜や山野草を採って帰り、家で育てるのだそうだ。一部携帯に収めた写真を見せてもらった。熊や体力を考えるとさすがに自分で山に入る気はしないが、地元で山をよく知る人が羨ましくなる。何年か前、遠野の郊外の立ち木に埋れかかった遺跡を見に行った時に、近くで一輪草や延齢草が自生しているのを見て、感動したことがある。片栗の花は釜石の市街地に近い山裾の何箇所かで自生している。山野草は岩手では主に5月にならないと見られない。岩手の山を見ていると、ほんとうに豊かで、その豊かさは動物と植物が互いに助け合って共生することで維持されていることがわかる。動物たちは植物から栄養を与えられ、植物は土壌を肥やす動物たちの糞などで栄養を与えられている。そして、同じ植物でも秋になると紅葉し、冬には落葉してしまうものでなければ、この豊かさは生まれて来ない。
裏山の鹿

島根の地震

2018-04-09 19:17:27 | 自然
春先に早々と20度近くまで気温が上がったが、その後は10度近く最高気温が下がり、昨日今日と暖かくない日が続く。朝は風もありなお寒く感じてしまった。それでも直物は着実に春を告げており、平地の木々には淡い緑の若葉が見えて来た。桜も各所で花が咲いて来ており、梅と桜がともに咲いているところもある。職場の裏山にはまたリスの姿があった。さほど離れてはいないが、まるでムササビのように木から木へ「飛ぶ」こともあった。さすがに動きが早く、たちまち枝の根元に開いた寝ぐらに入ってしまった。 今日の午前1時32分頃、島根県西部でM6.1の地震が発生し、その後も余震が続いた。2000年の鳥取県西部地震(M7.3)や2016年の鳥取県中部地震(M6.6)などと同じく水平方向に断層が横ずれしたものとされる。今回を含め、これらの地域での地震はこれまで知られていない未知の断層で地震が発生しているようだ。日本活断層学会によると、日本では2000以上もの活断層が見つかっているが、海底の活断層や地下に隠れて地表に現れていない活断層も多いのだと言う。太古にユーラシア大陸から遊離して、移動を続けた後に、フォッサマグナ中央地溝帯を境に東西の陸地が合体して構成された列島であり、山々は海底が持ち上げられて、隆起した結果出来たものでもあり、列島内にはこれらの形成過程で、たくさんの断層が生まれている。太平洋プレートは、常に日本列島に向けて圧力を及ぼしており、その圧力は地下の断層に歪みを生じさせ、マグマの上昇を促す。日本の有史以来の地震を見ても、2011年の地震は巨大であり、それほどの地震は多くはない。そして、同じような地震が平安時代に発生している。平安時代の800年代には、863年越中・越後地震、864年(富士山貞観噴火)、869年の陸奥沖海溝地震で、東北地方太平洋沖地震に相当する貞観地震、肥後(熊本)地震、880年出雲(島根)地震と続いて、887年には南海トラフ地震である仁和地震が発生している。これら平安時代の地震の発生順に近い地震が現代でも起きている。2004年新潟中越地震、2007年中越沖地震、2011年東日本大震災、2016年熊本地震、2016年鳥取地震、今日の島根の地震と続く。平安時代も現代も変わることなく、太平洋プレートからの圧力が列島に及び、そこで発生する歪みは地形の大きな変動がないため、ある程度は歪みの解消としての地震の発生順序も同じような順になっているのだろう。富士山の噴火と南海トラフ地震が起きる可能性があってもおかしくない。むしろ、今回、平安時代とほぼ同じ順に島根で地震が発生したことに驚かされる。もはや富士山の噴火や南海トラフ地震などは単に時間の問題だけなのかも知れない。
家の近所の仮設住宅のある公園の桜