今朝は久しぶりの快晴で、空には雲一つなく、青空が大きく広がり、いつものように近くでウグイスが鳴いていた。川には今朝も鮎釣りの人の姿があった。気温が20度の中を爽やかな風を受けてウォーキングしたが、それでも後半は少し汗ばんで来た。家々の庭にはムクゲや芙蓉、百合など夏の花が咲く。出勤後、職場の駐車場のそばの裏山に6頭の鹿が来ていた。夏毛の白い斑点が付いている。駐車場の車や人の動きを気にしながらも、しばらくは草を食んでいた。午後には気温が26度まで上がったが、変わらず爽やかな風が吹き、日射しを受けなければ暑さは感じられなかった。 10年前に初めて東北に住むようになり、野生の動物や植物の多さに驚いたが、平泉の毛越寺で発見され、再生されたハスの花にも驚かされた。ハスの花には以前住んでいた愛知県でも惹かれていたが、古代ハスとなると、何か特別なものを感じざるを得ない。万葉集ではハスを詠ったものが4首あるが、ハスの花よりも蓮葉はちすば)として、むしろ上に水滴を載せたハスの葉に感動していたようだ。ハスが地球上に現れたのは1億4000年前とされているが、残念ながら原産地は未だに特定されていない。エジプト、インド、中国などが挙げられているが、いずれも定説とはなっていない。1億4000年前の地球には、超大陸パンゲアが分裂して出来た、北のローラシア大陸と南のゴンドワナ大陸があった。ローラシア大陸は、ローレンシア大陸、バルティカ大陸、シベリア大陸、カザフスタニア及びシナ地塊から成る。また、ゴンドワナ大陸の方は、現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸や、アラビア半島、マダガスカル島を含んでいる。この頃の二つの大陸のことを考えると、ハスは南のゴンドワナ大陸を起源とするのではないかと思えてくる。ほとんど関心のない人にはハス とスイレンの区別がつかない人がいるが、確かに共に水生植物であり、植物学的な系統樹でも同じスイレン目に属している。スイレンは同じ系統ではあるが、ハスよりもずっと早く系統樹の中で分岐したもので、従って、地球上にはハス よりもずっと早く出現していると考えられるが、いつ頃なのか定かではない。家の庭にはスイレンとハス の水鉢がそれぞれあり、スイレンは最初、葉が水面にあったが、葉の数が多くなり、葉の大きさも大きくなって来ると、葉が水面よりもずっと高くなって来た。そんな状態を見ていると、まさにハスの葉が水面よりずっと高いところにあるのと良く似ている。池や沼だと広いので、スイレンの葉のこんな状態はあまり見かけない。ハスもスイレンもいずれにも熱帯と温帯のものがある。おそらく、両者の先祖となる植物は熱帯で生まれたのではないかと思っている。熱帯の淡水の池や沼で、水底の泥の中に根ざして、茎を水面に向けて伸ばし、水面で葉を広げ、その葉に日の光を浴びる。花の大きさも葉の大きさもハスの方が大きくなる。葉の表面はスイレンには光沢があり、ハスにはそれがないが、いずれも雨などの水滴が葉の表面で玉状になる。葉に光沢がない分、ハスの葉の水滴はかえって目立ち、それが万葉の歌人達を惹きつけたのだろう。作者不明だが、「ひさかたの、雨も降らぬか、蓮葉(はちすば)に、溜(た)まれる水の、玉に似たる見む」(雨が降らないかなぁ、蓮の葉にたまった水が玉のようになるのを見たいなぁ)の歌がある。 少し離れたところにもう1頭いた 今年生まれたと思われる子鹿 800年前のハス