ぽぉぽぉたんのお部屋

季節の移ろい、道ばたの草花、美味しい食べ物、映画や友人のこと、想いがいっぱいの毎日をお話します

「アンナと過ごした4日間」

2010-03-22 | 映画のお話
観たかった作品が次々と終わってしまって最近はいいものが見当たらない。
でもせっかく時間に余裕ができたのに映画を見ないなんてつまらない・・・
会員制の鑑賞券はまだこんなに残っているし・・・で
「アンナと過ごした4日間」を観にまたまたかけつけた。
いつも時間にゆとりがなくバタバタと受付に走りこむ。
連休だというのにまだ9時半少し前だったせいか、館内は閑散としていた。
こんなマイナーな作品を観るのもわずか。
わたしのチケットは6番目だった・・・

ほとんどの作品が日本で公開されず
「幻の巨匠」と言われるイエジー・スコリモフスキの
17年ぶりの最新作とのことだが、
昨年の東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞している。

静寂の中に一本の芯が感じられる閑散とした風景。
相変わらずポーランドの街は暗く生活も質素だ。
病院の火葬場で働く独身中年男のレオンが密かに愛するアンナ。
警察での取り調べや刑務所でのいじめの合間に
レオンの日常が挟まれながら物語は進んでいく。
淡々と暗い日常の中でアンナの部屋を覗くことだけがレオンの生きがいだったが
前半は退屈でふと観客からため息がもれた。
こんな映画を観てしまって失敗したというため息・・・
退屈な映画だったかもしれないが
ポーランドに住んだ友人から聞いたことを思い出した。
暗くて貧しくて何にもない国。
観光地と言えば、アウシュビッツとマリー・アントワネットが処刑された首切台
市場で安い!とバーゲン感覚でセーターを2・3枚買ったらみんながじろじろ見るのよ。
一度にいくつも買うなんて考えられない生活をしているのだと恥ずかしくなったわ。
それを聞いたのももう随分前のことだ。
見せられた写真の降る雪が美しかった。
こんな風に雪はうつるものなのかと感心したのを覚えている。

7つもの国と隣り合っているポーランドの歴史は暗い。
まわりの国に攻め入れられ、分割されて長い間地図から消滅したこともあった。
戦争のたびに分裂され、やっともどされても強国の圧力で翻弄された。
ふと、友人の「ポーランド人は傘をささない」という詩を思い出した。
だからポーランド人はすぐ傘をささないのだ。

レオンが介護していた祖母が亡くなった時、
彼は何度も「バーチャンー!」と叫んだ。
日本語と同じなんだと思った。
哀しく切ない響きだった。

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5 コメント

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Unknown (eーばあ)
2010-03-23 09:46:41
ぽぉぽぉたんさんの観賞文を読んで無性に観たくなり、映画館に上映時間を問い合わせました。
ヤジウマです^^;;
これは一人でじっくり観賞したいです。

 祖母が時折「ポーランド哀歌」を口ずさんでいたことを思い出しました。
 50年以上も前のことです。
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ほほぉ (とおりんぼ)
2010-03-26 12:53:22
映画評論家になったらいかが~!
すごい説明内容だったでがす!
返信する
新発見ですな (ばぁちゃ~ん)
2010-03-31 12:46:19
相変わらずすばらしい文章力ですな★
返信する
新発見ですな (ばぁ)
2010-03-31 12:47:15
すばらしい文章力ですなぁ!
返信する
Unknown (ぽぉぽぉたん)
2010-04-03 01:59:06
最近暗い作品の映画ばかり
暗く重いのを選んで見ているわけではなく、好みの物を選んでいるはずなのですが
よい作品にかわりはないのですが・・・
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