ぽぉぽぉたんのお部屋

季節の移ろい、道ばたの草花、美味しい食べ物、映画や友人のこと、想いがいっぱいの毎日をお話します

エリザベート 1878

2023-08-30 | 映画のお話
第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で最優秀演技賞
原題「Corsage」

ヨーロッパ宮廷一の美貌と謡われたオーストリア皇妃エリザベート

なるほど、肖像画はどれも美しく
172cmの長身に、ウエスト51センチ、43キロのしなやかさだ

この映画は
1878年の
エリザベートの40歳の1年間にスポットを当てている。
今でこそ不惑の年だが
この時代では普通の女性の平均寿命だったようだ。


薄っぺらなオレンジのスライスを食みながら維持した体型を
コルセットで締め上げ
ドレスで着飾り
長い長い髪を結いあげて大勢の前に現れる。

皇帝フランツ・ヨーゼフ1世に
16歳で見染められた名門出の彼女は
若さと美しさの象徴の王妃としてだけ存在する
コルセットで締め付けられるように
縛り付けられたうつうつとした毎日

時折 挟まれる
傷病兵士や、精神病院への慰問

それでも、きままに長旅を繰り返しながら
乗馬を楽しみ、湖で泳ぎ、
本来の大胆で自由な性格を垣間見れる。

旅先の 従兄ルートヴィヒの城での
「わたしの湖で死ぬなよ」
という彼のことばがとても印象的だった
きっと同類の彼も死ねないひとりなのだろう

何のために生まれてきたのだろうか・・・

孤独で大勢の中でポツンと浮いているような毎日
葛藤と抵抗の末、選んだ道は意外だった。

だんだんに分厚い黒いベールで顔を隠すようになり
髪を短く切ったり、ケーキをつまんだり
やっとけりをつけて諦めたのかと思ったのだが・・・

イタリアの旅に向かう真っ白の船から海にとびこんでしまう
影武者を残して

実際のエリザベートは大きな時代のうねりの中で
60歳で暗殺されたのだが
こんなふうに
自由に自分で死を選んだ方が幸せだったのかもしれない

もっともっと破天荒に生きていってほしかったが
どこかに流れ着き、
普通の一人の女として生きていたかもしれないと思わずにはいられない






コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アルベッキーナ | トップ | 洋風キッチン Vigore ヴィ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画のお話」カテゴリの最新記事