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ひとり考え続けていることを公開しています。また、文学的な作品もあります。

短歌味体Ⅲ 1202-1300 (作品集)

2016年10月28日 | 作品集
短歌味体 Ⅲ      日付
短歌味体Ⅲ 1202-1203 固有値シリーズ・続 2016年09月17日
短歌味体Ⅲ 1204-1205 あっシリーズ 2016年09月18日
短歌味体Ⅲ 1206-1207 おおシリーズ 2016年09月19日
短歌味体Ⅲ 1208-1209 うっシリーズ 2016年09月20日
短歌味体Ⅲ 1210-1211 あっシリーズ・続 2016年09月21日
短歌味体Ⅲ 1212-1214 うっシリーズ・続  2016年09月22日
短歌味体Ⅲ 1215-1216 おおリーズ・続 2016年09月23日
短歌味体Ⅲ 1217-1218 だからあシリーズ  2016年09月24日
短歌味体Ⅲ 1219-1220 人と人シリーズ・続 2016年09月24日
短歌味体Ⅲ 1221-1222 えっシリーズ  2016年09月25日 
短歌味体Ⅲ 1223-1225 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ 2016年09月26日
短歌味体Ⅲ 1226-1228 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ・続  2016年09月27日
短歌味体Ⅲ 1229-1230 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ・続   2016年09月28日
短歌味体Ⅲ 1231-1233 そうだねシリーズ 2016年09月29日
短歌味体Ⅲ 1234-1235 沈黙シリーズ 2016年09月30日
短歌味体Ⅲ 1236-1238 沈黙シリーズ・続 2016年10月01日
短歌味体Ⅲ 1239-1240 沈黙シリーズ・続 2016年10月02日
短歌味体Ⅲ 1241-1242 沈黙シリーズ・続 2016年10月03日
短歌味体Ⅲ 1243-1245 沈黙シリーズ・続 2016年10月04日
短歌味体Ⅲ 1246-1247 世界との出会いシリーズ 2016年10月05日
短歌味体Ⅲ 1248-1249 世界との出会いシリーズ・続 2016年10月06日
短歌味体Ⅲ 1250-1251 世界との出会いシリーズ・続 2016年10月07日
短歌味体Ⅲ 1252-1254 世界との出会いシリーズ・続 2016年10月08日
短歌味体Ⅲ 1255-1257 世界との出会いシリーズ・続 2016年10月09日
短歌味体Ⅲ 1258-1259 世界との出会いシリーズ・続 2016年10月10日
短歌味体Ⅲ 1260-1261 書くときはシリーズ 2016年10月11日
短歌味体Ⅲ 1262-1263 書くときはシリーズ・続  2016年10月12日
短歌味体Ⅲ 1264-1266 世界との出会いシリーズ・続 2016年10月13日
短歌味体Ⅲ 1267-1268 世界との出会いシリーズ・続  2016年10月14日
短歌味体Ⅲ 1269-1270 書くときはシリーズ・続   2016年10月15日 
短歌味体Ⅲ 1271-1272 世界との出会いシリーズ・続   2016年10月16日
短歌味体Ⅲ 1273-1275 農事シリーズ・続    2016年10月17日
短歌味体Ⅲ 1276-1277 ああいいねシリーズ 2016年10月18日 
短歌味体Ⅲ 1278-1279 ああいいねシリーズ・続 2016年10月19日
短歌味体Ⅲ 1280-1281 内と外シリーズ・続 2016年10月20日
短歌味体Ⅲ 1282-1283 ああいいねシリーズ・続 2016年10月21日
短歌味体Ⅲ 1284-1285 内と外シリーズ・続 2016年10月22日
短歌味体Ⅲ 1286-1287 内と外シリーズ・続 2016年10月23日
短歌味体Ⅲ 1288-1289 接続論シリーズ・続   2016年10月24日
短歌味体Ⅲ 1290-1292 つづけるシリーズ 2016年10月25日
短歌味体Ⅲ 1293-1295 つづけるシリーズ・続  2016年10月26日
短歌味体Ⅲ 1296-1297 つづけるシリーズ・続  2016年10月27日
短歌味体Ⅲ 1298-1300 つづけるシリーズ・続 2016年10月28日 
   












   [短歌味体Ⅲ] 固有値シリーズ・続


1202
ふと気づく いつもの風が
匂い立つ
丘陵地に立っている


1203
はじまりはわからない でも
ごはんは
左に置いて食事をしてる




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ


1204
あっ なぜか急止して
言葉の橋が
がらがらと落下しゆく見える


1205
あっ 飛び石踏んだら
ぐらりと
水の匂うすろうもうしょん




   [短歌味体Ⅲ] おおシリーズ


1206
おお できるように
なったんだね
川の水ゆったり流れている


1207
おお こんなにおいしい
ものがある
なんてbeyond description!




   [短歌味体Ⅲ] うっシリーズ


1208
口に入り うっ うううう と
ズンズズン
見る間に肌合いをよじる


1209
うっ ううう うーむ
重たく
沈み閉じていく うっううう




   [短歌味体Ⅲ] あっシリーズ・続


1210
あっ から あーああ の時間
の谷間に
無縁なように主流が流れている


1211
あっ 戻れない時間
悔恨の
深い色合いに染まり流れる




   [短歌味体Ⅲ] うっシリーズ・続


1212
うっ 空洞の圧
高まり
丘陵のみどりどんより


1213
つまずく前の 寄せて来る大気
に触れる うっ
一瞬にみどり変色する


1214
うっ どこかのルートを
うーうーうー
サイレン鳴らし走る気配




   [短歌味体Ⅲ] おおリーズ・続


1215
おお 感じた時
奥深い
丘陵地緑風にふくらむ


1216
おお おお おお と前に突き進み
押しのけて
殺殺殺殺と過ぎゆく者がいる




   [短歌味体Ⅲ] だからあシリーズ


1217
川を下るいつもの流れ
ふいと混じる
濁り具合に自然と声の出る


1218
だからあ と放つ流線
過去の
くり返された場面に畳み込まれる




   [短歌味体Ⅲ] 人と人シリーズ・続


1219
場に合っておもい黙す
から一歩
出ようとすれば有り合わせで狼煙を上げる


1220
ひととひと余所行き着てても
「いい天気ですね」
と自然に流れ出せればいいな




   [短歌味体Ⅲ] えっシリーズ


1221
通りの角曲がろうと
瞬間
引き戻される引力に えっ


1222
ええ ええ ええ ええ えっ
平坦な
道をゆったり歩く突然の雨




   [短歌味体Ⅲ] 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ


1223
柳田の明らかにしたように
同じ雨
でもそれぞれの地差異を奏でる


1224
目に写る一つ列島でも
季節は
スペクトル帯を震わせ移る


1225
狂い咲きの暑い夏も
終わり 秋
つかの間の穏やかさに浸かる




   [短歌味体Ⅲ] 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ・続


1226
若い頃はたくさん誤解してた
たまねぎを
ただ刻むばかりに見えていた


1227
内にいても年とらないと
見えてこない
内の内なる風景の流るる


1228
大口や饒舌の峠下り
触れて来る
小さなことが言い様もなく




   [短歌味体Ⅲ] 列島の西の端から東の端へ・便りシリーズ・続


1229
顔は知らなくても
言葉の
生み出す流れや屈折があり


1230
盲目の人のように
流れに浸かり
像の手前の〈像〉の匂う




   [短歌味体Ⅲ] そうだねシリーズ


1231
絡み合いこんがらがった
糸糸糸
閉ざされた夢に薄明かりの差す


1232
ずんずんと絡まるばかり
の森の中
「そうだね」をなぎ倒し突き進む


1233
ふいとつぶやく「そうだね」
冷氷に
日が差して水ぬるみゆく朝




   [短歌味体Ⅲ] 沈黙シリーズ


1234
言葉の駅の手前で
引き返した
夜風は寒く孤星たちはまたたく


1235
何にも言うこともなく
星たちは
昼夜またたく〈・・・・・・・〉




   [短歌味体Ⅲ] 沈黙シリーズ・続


1236
沈黙の内にあっても
飛び立たない
言葉たちがにぎやかだ


1237
沈黙は否定肯定越えて
峠下り
そのままそこに溶けいることがある


1238
沈黙が人間界を
超えゆけば
木の葉が深々と落ちている




   [短歌味体Ⅲ] 沈黙シリーズ・続


1239
黙々と何かしてる時
からだは
静かの海に到達している


1240
沈黙の純度が上がる
ということは
死の漸近線(ぜんきんせん)に引き寄せらるる




   [短歌味体Ⅲ] 沈黙シリーズ・続


1241
人の話を聞いている
二方向に
引かれ二重化している沈黙


1242 
身を退いてひとり静かに
凪いでいる
水面に映る色付く木の葉




   [短歌味体Ⅲ] 沈黙シリーズ・続


1243
ぽつぽつ滴とともに
沈黙の
時間遙かに下っていく


1244
言葉は溶けて消失し
にぎやかな
魚語のこだまする海中にいる


1245
言葉がありありと見える
金縛り
ただ魚のように肌震わす




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ


1246
気づいたら渦中にいて
この世界
上流下流あり流れている


1247
おそらくは気づくこともなく
ふうっと
この世界から消えていくのだろう




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1248
ひと滴落ちてしまった
波紋 それだけで
広がり滲みて世界の色深まる


1249
不在でもぽっかり空いた
空席に
その人の匂いつなぎ止められている




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1250
何気なくころがしたボール
追いすがるも
離破離破鈍曇(リハリハドンドン)ころがりゆく


1251
すれちがうつもりなくても
すれちがい
平行線の撓(たわ)み反れゆく




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1252
しっかりと用意周到に
綱張り
巡らせても世界は複雑系か


1253
リュックしょい準備万端に
歩み出す
特異点に落ち込んだ朝の


1254
いちにいさんと数えていく
数は合っても
不在の人がいる匂いする




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1255
今が全てに見えるけど
誕生日
もありつながる葬式にも出る


1256
「おはよう」に「おはよう」と返す
何気ない
朝に静かに世界は下りている


1257
〈おはよう〉と無言の内に
つぶやくは
誰ともなく世界へのあいさつ




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1258
行動や言葉だけが
波風を
立てるわけじゃ ない


1259
静かに黙っていても
空間は
ゆがみ伝わる重力場




   [短歌味体Ⅲ] 書くときはシリーズ


1260
書く時は無心になって
砂場する
子どもの手の 探査もしている


1261
書く時はひとりのたましいの
在所を
思い浮かべて信号している 時がある




   [短歌味体Ⅲ] 書くときはシリーズ・続


1262
これがね、今発掘した
ばかりの小石
積み上げてみなよと自分に言う


1263
さてと言葉に向かう時
馴染みない
いろんな人も立ち現れる




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1264
見た一瞬の〈あっ〉や〈(あ)〉には
ひとりひとり
の年輪が放つ光の川流る


1265
人ならば見られても
見られてなくても
どこかで余所行きになっている


1266
岬近く無心のからだは
闇を背に
光る小川に浸(つ)かっている




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1267
赤ちゃんの〈あうあう あう〉
もうみんな
忘れてしまったけど 流れる深層水


1268
明示する言葉がなくても
居るだけで
言葉のような 場所がある




   [短歌味体Ⅲ] 書くときはシリーズ・続


1269
イメージの破片、破片の
懸垂し
言葉の流れに浮上する


1270
イメージ群ぽっと点(とも)る時
あったかい
流線描いて言葉の舟へ




   [短歌味体Ⅲ] 世界との出会いシリーズ・続


1271
言葉かけられ「かまいませんよ」
と返す時
水濁り出し泡立つことがある


1272
「かまいません」と返す時
海は凪ぎ
玄関から部屋に静かに戻る




   [短歌味体Ⅲ] 農事シリーズ・続


1273
農に出て土に鍬(くわ)打ち
打ち打ちて
帰り着き心地よい疲労の


1274
疲労の曲線は
定常値
以下に心もからだも沈む


1275
生活のドーム内に浸かり
心からだ
溶けて別世界へ羽ばたかない




   [短歌味体Ⅲ] ああいいねシリーズ


1276
アリさんがぶつかっちゃったね
(ああいいね)
やさしい風も吹いてるね


1277
そうやってそこの峠を
越えて来た
んだね 冷たい風に煽られながら




   [短歌味体Ⅲ] ああいいねシリーズ・続


1278
ああいいね そんな風に
できるんだ
折り紙の鳥の今飛び立つ


1279
七曲がりキリキリねじれ
澱むばかり
の空気にふいと風穴の開く




   [短歌味体Ⅲ] 内と外シリーズ・続


1280
(しょうがない)と思っていても
懸垂し
大きな声で「悪だ」と叫ぶことがある


1281
内から外へ同じ線路
でも幅も
景色も違い軋(きし)みを上げる




   [短歌味体Ⅲ] ああいいねシリーズ・続


1282
このシャツ着心地がいい
なんか
うまくいくような 肌合いの予感


1283
あっ 葉っぱに 水玉が
ころころん
水しぶき上がる イメージ走行




   [短歌味体Ⅲ] 内と外シリーズ・続


1284
√(るーと)の内外同じ
演算でも
内外間の直通はない


1285
個のルートと多のルート
メビウスの輪
ねじりよじり夢うつつに抜ける




   [短歌味体Ⅲ] 内と外シリーズ・続


1286
さくら散る 鎧(よろい)の内を
はらはらと
落ちてゆき身は湿りゆく


1287
静かに佇んでいても
ずんずんと
重り重なりつま先立つ




   [短歌味体Ⅲ] 接続論シリーズ・続


1288
くねくねくね山道上り
心待ちに
ぱっと開けた湾に日の差す


1289
(うっうっう)言ってやろうー
言ってやるー
お父さんに言ってやろうー




   [短歌味体Ⅲ] つづけるシリーズ


1290
よーいドンみたいに始まり
曲がりくねる
道々を日々周回する


1291
同じ景色に見えても
少しだけ
日々新たな匂い立ち上る


1292
走行する内側では
ふだん着の
季節に合わせ衣更えもする




   [短歌味体Ⅲ] つづけるシリーズ・続


1293
つづけるは意志力が要る
日々を経て
くり返す中に溶けていく


1294
つづけるは意志力だけ
ではなく
人の奥処(おくが)から立ちのぼるもの


1295
つづけるは年経(ふ)る二人
ドキドキは
形を変えて自然走行す




   [短歌味体Ⅲ] つづけるシリーズ・続


1296
ドラマでもつづけるうちに
次第に
作る観る共になじんでゆき


1297
つづけるは人との出会い
のように
いくつもの起伏の物語があり




   [短歌味体Ⅲ] つづけるシリーズ・続


1298
走り出すERの
次第に
造型してしまう幻の物質感

註.ER: Emergency Room ,救急救命室 ,十数年続いたアメリカのテレビドラマ。


1299
目まぐるしいERの日々
人々に
時折舞い降りてくる静けさの物語


1300
いずれの地も人と人の
関わり合い
流れ出し合うものは普遍に見える



短歌味体 Ⅲ 1298-1300 つづけるシリーズ・続

2016年10月28日 | 短歌味体Ⅲ-2

[短歌味体 Ⅲ] つづけるシリーズ・続
 
 
1298
走り出すERの
次第に
造型してしまう幻の物質感
 
註.ER: Emergency Room ,救急救命室 ,十数年間続いたアメリカのテレビドラマ。

 
 
1299
目まぐるしいERの日々
人々に
時折舞い降りてくる静けさの物語

 
 
1300
いずれの地も人と人の
関わり合い
流れ出し合うものは普遍に見える