スペインの年越しは、クリスマスと同様に家族が集まり食事をします。通常、伝統的にエビ、羊肉、鶏料理を含むディナーで始まります。日本では、年越しそばを食べる習慣がありますがー。
カウントダウンは、マドリードのプエルタ・デ・ソル広場(「太陽の門」の意)に面して建つ旧王立郵便局の時計台で行われます。この様子はテレビで生中継されるので、各家庭ではそれを見ながら時計の鐘がなるごと1つずつブドウを食べます。12個のブドウを食べることができたら、新年に幸運が訪れると言われています。そして、鐘が12回打ち終わると、新年の挨拶を交わしてカバ(スペイン・カタルーニャを中心に醸造)などのスパークリングワイン、シャンパン(フランス・シャンパーニュ地方で醸造)などで乾杯します。
各都市では花火が上がって新年を祝います(自宅13Fから)
ブドウを食べ乾杯した後は、多くの若者はパブやクラブに出かけます。パーティは通常翌朝まで続き、地元のバー(=バール)でのささやかな祝祭から、ホテルの大広間に何千もの客が集まる大規模パーティまで様々です。
旧王立郵便局の時計台
右に見えるのが「旧王立郵便局の時計台」
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左奥;時計台、手前:「熊とマドロニョ(キイチゴ)」
この年越しにブドウを食べる慣習は、1909年、アリカンテのブドウ生産者がその年の大量の生産余剰を削減する方法として考えたことが起源とのこと。現在は、ほとんどのスペイン人がこの慣習に従っているようです。我が家も”郷に入りては郷に従え”と、スペイン人友人から聞き毎年やっていました。
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プエルタ・デ・ソル広場~右の円形の建物はメトロの駅
(From;イベリア半島一人旅)
一方、更に時代をさかのぼると、1880年ごろスペインの上流階級ではフランスの習慣を真似てブドウとシャンパン=シャンパーニュで年末年始を祝うようになっていました。 これをマドリードの一般階級の人々が真似て、プエルタ・デル・ソルで大晦日に時計台の鐘の音を聞きながらブドウを食べ始めたのが始まりともいわれています。