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クローズアップ2014:「大統領の戦争権限」議会と溝 イラク介入、揺れる米

2014年07月05日 | 政治

毎日新聞 2014年07月05日 東京朝刊

 米国がイラクへの軍事介入を巡り揺れている。オバマ大統領が空爆に慎重姿勢を示す背景のひとつに、あい まいな自衛権発動という過去の教訓や、議会のチェック機能を強化して大統領の戦争権限を抑制しようとする議会の動きがある。集団的自衛権の行使容認を決め た日本は、米国の思惑に振り回される形で、これまで以上に負担を求められる可能性もある。【ワシントン及川正也】

 「海外での軍事行動に当たって最も問われるべきは、米国にとって安全保障上の利益にかなうかどうか だ」。6月19日、ホワイトハウスの記者会見場でオバマ米大統領はイラク攻撃について開口一番こう語った。会見でオバマ大統領は、イラク国内で侵攻するイ スラム教過激派組織「イスラム国」の脅威が高まればイラクのマリキ政権が求める「無人機空爆」に踏み切る余地を残したが、軍事介入には慎重な姿勢をにじま せた。

 アフガニスタン攻撃(2001年)、イラク戦争(03年)で6000人超の米兵が犠牲となり、国内には えん戦気分が広がる。戦費もかさみ、国家予算も圧迫する。大統領の慎重姿勢の裏にはこうした世論と共に、シリア空爆を昨年夏に直前で回避した際に浮上した 大統領の戦争権限を巡る議会との対立がある。

 5月21日の上院外交委員会。イラク空爆の検討前だったが、武力行使を発動する権限を持つ大統領をけん制する討論が行われた。「(大統領への)白紙委任の時期は終わった」。与党・民主党のケイン議員からも大統領権限を抑制する声があがった。

 合衆国憲法第2条は大統領を米軍の「最高司令官」と位置付け、部隊を動かす権限があると解釈される。一 方、多くの米兵が犠牲となったベトナム戦争の教訓から、連邦議会は大統領の権限を抑制して安易な軍事介入を阻止するため戦争権限法(1973年)を制定し た。同法は米国への直接攻撃を前提とする。「急迫」の脅威が「明白」な場合に軍事行動を認めており、原則として議会の宣戦布告か承認が必要だ。しかし、過 去の軍事介入の多くは大統領の権限で発動され、議会への報告も形式的だった。

 今回、議会側は「攻撃には議会の承認が必要」との意見が根強い。オバマ政権が、自衛権に基づく対テロ戦 争の一環としてイスラム国を空爆するという見方もある中、国防総省のプレストン法律顧問は「議会決議に関わらず、差し迫った脅威があれば、大統領には行動 する憲法上の権限がある」と発言。政府と議会の溝は広がった。

 「議員にとって軍事行動の決定ほど重要な仕事はない。政治的な合意の努力抜きに命を落としかねない若者 に『戦え』とお願いできるのか」。新戦争権限法案を共和党のマケイン上院議員と提出したケイン議員は、こう指摘した。法案は政府と議会の事前協議を柱とし て、議会のチェック・アンド・バランス機能の強化を強調する。

 ◇根拠なき武力行使、日本に余波

 攻撃を受けた米国を助けるために発動される集団的自衛権。しかし、米国は過去に攻撃される前に自衛権を発動したり、明確な根拠を欠いたまま軍事介入したりすることもあった。日本は行使の線引きをどこでするのか。

 国際法上、他国への軍事介入は(1)国連安保理決議(国連憲章42条)(2)個別的・集団的自衛権(同51条)でしか認められていない。しかし、米政府は「国益を守るため」として自衛権の解釈を伸縮自在に捉えて活用してきた。

 1965年に本格介入が始まったベトナム戦争の直接の契機は、前年に北ベトナム沖で米艦が攻撃を受けた トンキン湾事件だ。個別的自衛権を根拠に米議会は軍事介入を支持したが、国連への報告は南ベトナムの要請に応じた集団的自衛権の発動と変遷した。その後、 攻撃の一部が捏造(ねつぞう)だったことも判明する。

 レーガン政権は83年、東カリブ海諸国の要請を受けたとして集団的自衛権を根拠に中米グレナダに侵攻。 86年のリビア空爆は、西ドイツ(当時)のディスコで米兵が犠牲となった爆弾テロへの報復として個別的自衛権を発動した。ロバート・デールサンドロ米陸軍 史センター長は「レーガン政権は米本土への直接の脅威がなくても武力行使した」と語る。将来的な攻撃を排除するための「先制自衛権」の初の発動だった。

 日本政府も安全保障環境の変化とともに自衛隊の海外派遣を現実には拡大させてきた。01年の米軍のアフ ガニスタン攻撃は個別的自衛権の発動だった。日本は国連安保理決議を根拠にテロ対策特措法を策定。初の「戦時派遣」として海上自衛隊がインド洋で給油活動 を行ったが「集団的自衛権に近い形態」(元政府高官)といえた。03年のイラク戦争で米国は91年の湾岸戦争時の国連安保理決議などを根拠に正当性を強調 した。日本は安保理決議を基にイラク復興支援特措法を制定し、「戦地」に初めて陸上自衛隊を派遣した。

 安倍晋三首相は「(行使が容認されていても)湾岸戦争やイラク戦争の戦闘に参加することはない」と明言 する。だが、湾岸戦争の前年には多国籍軍への参加を当時のブッシュ大統領が海部俊樹首相に打診していた。このとき要請された海上自衛隊による「掃海」は戦 闘終了後に実現したが、今後は同様のケースで参加を迫られる可能性がある。



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