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集団的自衛権:閣議決定 自衛隊60年、岐路 戦い死ぬ、リアル(その1) 「命令ならば行く」

2014年07月05日 | 政治

毎日新聞 2014年07月02日 東京朝刊

 「日本を、戦争する国にしてはならない」。集団的自衛権の行使を容認する安倍晋三内閣の閣議決定に、1日、市民らの抗議の声が上がった。海外での武力行使に道を開く、憲法9条の解釈変更。発足から60年の節目の日に、専守防衛を貫いてきた自衛隊は歴史的な転換点を迎えた。現役隊員や家族たちは、集団的自衛権を命に関わる問題として受け止めはじめている。

 「喜んで、とはいわないけれど、命令なら行きます」。陸上自衛隊に今年入隊し、東日本の駐屯地に勤務す る20代の隊員は「もし戦場に行くことになったら」との記者の問いにそう答えた。他の隊員と集団で生活し、武器や装備の扱い方の訓練を受ける。長距離を走 る訓練では、動けなくなった隊員を抱えゴールを目指す。疲れ切って戻る宿舎で、新聞を読む時間はない。「集団的自衛権って何なのか、よくわからない」

 しかし隊員の母親(50代)は、「自衛隊を辞めさせたい」と言う。息子の入隊に賛成したのは、「災害救 助で社会貢献したい」と動機を話したからだ。息子の制服姿を見た入隊式でも戦場に立つことは想像しなかったが、にわかに現実味を帯びてきたように思える。 「人を殺すことに息子を加担させたくない。戦争に行かせるために、自衛隊へ入れたわけじゃない」。声をふるわせ「なぜこれを止められないの」と訴えた。

 他国の軍を助けるために出動命令を受けたとき、どうするか。東北地方の50代の陸自隊員は、そのことを自問して複雑な思いを吐露した。「正直に言えば恐怖を感じる。しかし命令は重い。国際社会に通用するようにもならなければ。ためらわずに行くしかない」

 自衛隊の今後も気がかりだ。「これまで隊員の命は憲法9条に守られていた。だからこそ国際協力という名の海外派遣に参加を希望する隊員もいた。これからは、海外派遣どころか入隊を希望する若者が減るだろう」

 40代の海上自衛隊員は「上から行けと言われれば行くのが仕事。現場の雰囲気がいきなり変わることはな いと思う」と、冷静に受け止める。それでも、不安を口にした。「これを機に、なし崩しで憲法を改正し、自衛隊を軍隊にするのであれば話は違う。最高司令官 である安倍首相は、イラク戦争で米国を助けた英国のように他国のために戦争をする国を選ぶのか、それとも自立した道を選ぶのか」

 元陸自隊員で、現在も九州の会社に勤務しながら予備自衛官になっている男性は「私たちの任務も広がる可能性がある」と語る。集団的自衛権に 関するニュースを見た妻が、「海外に行って、撃たれたりするようなことはないの」と不安を募らせ、「予備自衛官を辞めてほしい」と訴える。男性は「命令が 出たら妻を振り切って海外でも行くつもりだ」と言う。そのうえで、こう指摘した。「自衛隊は今後、組織として隊員の家族をケアする制度を設ける必要があ る」

 ある陸自の幹部は「任務が増えれば危険も増えることは間違いない。しかし、われわれを使うのは国。命令を受けたことは拒否できない。それが国益につながることなら、納得できる」と、淡々と話した。【まとめ・鮎川耕史】

 ◇抗議の渦、熱く広く−−官邸前

厳しい表情で記者会見をする作家の大江健三郎さん(左)ら=東京都千代田区で2014年7月1日午後8時5分、竹内幹撮影
厳しい表情で記者会見をする作家の大江健三郎さん(左)ら=東京都千代田区で2014年7月1日午後8時5分、竹内幹撮影

 1日夜、市民団体「戦争をさせない1000人委員会」の中心メンバーで作家の大江健三郎さんらが東京都内で記者会見し「(集団的自衛権に関連する)新法を成立させ実際に行使することは絶対認められない」と訴えた。活動を続けていくという。

 大江さんは「私の人生で一番大切なものは憲法の平和主義と民主主義。安倍晋三首相は憲法に対する畏れを持っていない。戦争に参加して敵国になれば、日本がテロに狙われる危険もある」と語った。

首相官邸(奥中央)前で集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に反対する声を上げ、警察官ともみ合う人たち=東京都千代田区で2014年7月1日午後5時4分、森田剛史撮影
首相官邸(奥中央)前で集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に反対する声を上げ、警察官ともみ合う人たち=東京都千代田区で2014年7月1日午後5時4分、森田剛史撮影

 東京・永田町の首相官邸前では、朝から同団体などの呼びかけで抗議の集会やデモが続いた。参加者は時間がたつに つれ増加。閣議決定が迫った夕方には数千人が沿道に列をなし、太鼓を鳴らして「閣議決定、今すぐやめろ」と声を上げた。閣議が始まると抗議は熱を帯び、午 後6時前に決定が伝えられると、参加者は「閣議決定撤回しろ」「あきらめないぞ」と絶叫。興奮し警察官と小競り合いになる場面も。

 東京都目黒区の主婦、竹内節子さん(75)は午前中からデモに加わった。「自民党と公明党が密室で行使容認を決めてしまった。国民を愚弄(ぐろう)している」【桐野耕一、一條優太】

 ◇戦争悲惨さ、伝えないと−−各地で

 仙台市でも抗議集会があり、600人超が「戦争する国づくりは許さないぞ!」などの横断幕を手に、繁華 街をデモ行進した。同市泉区の元教員、手代木(てしろぎ)彰雄さん(63)は「戦争教育をしてこなかったのが原因なのか。戦争の悲惨さを伝えてきたつもり だったが……」と話した。【三浦研吾】

 ◇子の世代に危険許さず

自民党総務会に臨む石破茂幹事長(中央)ら=自民党本部で2014年7月1日午前11時1分、矢頭智剛撮影
自民党総務会に臨む石破茂幹事長(中央)ら=自民党本部で2014年7月1日午前11時1分、矢頭智剛撮影

 広島市では、秋葉忠利・前市長や坪井直(すなお)・広島県被団協理事長らが呼びかけて5月に発足した「戦争をさせないヒロシマ1000人委員会」が、集会を開いた。約550人が原爆ドームを起点にデモ行進した。

 大阪市中央区の自民党大阪府連前では約600人が「集団的自衛権NO!」 などのプラカードを掲げて抗議。長女(1)を抱いた大阪市西区の市職員の女性(26)は「一部の人の意見で子どもの将来が決まるのは怖い」。京都市でもデ モ行進があり、約500人が参加。7歳と4歳の娘がいるという京都市上京区の自営業、香取明希(あき)さん(41)は「戦争に行くことのない安倍首相らの 世代が子どもたちの世代に危険を押しつけるのは許せない」と話した。【椋田佳代、久野洋、松井豊、吉村周平】

 ◇母と子の図、また−−首相会見

集団的自衛権行使の憲法解釈変更を決定した閣議後の記者会見で、集団安全保障の事例を示したパネルの前で発言する安倍晋三首相=首相官邸で2014年7月1日午後6時1分、藤井太郎撮影
集団的自衛権行使の憲法解釈変更を決定した閣議後の記者会見で、集団安全保障の事例を示したパネルの前で発言する安倍晋三首相=首相官邸で2014年7月1日午後6時1分、藤井太郎撮影

 安倍晋三首相は1日夕、首相官邸で記者会見に臨み、5月15日に使った母親と幼子のイラスト入りパネル(邦人輸 送中の米艦防護)を再び持ち出し「日本人の命を守るため、自衛隊が米国の船を守るようにするのが今回の閣議決定」と情に訴えた。強い批判を意識してか、 「外国を守るために戦争に巻き込まれるというのは誤解だ」「外国の防衛自体を目的とする武力行使は今後とも行わない」と強調。一方で「抑止力」という言葉 を6回も使い「日本が戦争に巻き込まれる恐れは(抑止力強化で)一層なくなっていく」と胸を張った。

 記者団から「(閣議決定の内容は)時の政権の判断でいかようにでも拡大解釈できるのでは」と問われると、紙に目を落とし、「従来の憲法解釈の基本的考え方は何ら変わらない。(武力行使について定めた)新3要件は憲法上の明確な歯止めになる」と答えた。【野島康祐】

 ◇「安保、変化の節目」−−小野寺防衛相

 自衛隊は1日、発足から60年を迎えた。1954年7月1日、自衛隊法と防衛庁設置法が施行され、保安隊が陸上自衛隊に、海上警備隊が海上自衛隊に移行し、航空自衛隊が新設された。集団的自衛権の 行使を容認する閣議決定が節目の日と重なったことについて、小野寺五典防衛相は1日の記者会見で「日本を取り巻く安全保障環境がこの60年で大きく変化し たことに対応した、節目になる日だと思う」と話した。自衛隊への危険が増す可能性について考えを問われると「役割が従来に比べて拡大する場合もある。あく までもそのような活動が今後できるようになるのであり、しなければならないのではない」などと述べた。【斎藤良太】



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