第43代紫組要領次第

開成高校第43代紫組要領次第係のホームページ。

怒涛のアマルティア・セン

2005-06-25 23:08:44 | Weblog
アマルティア・センの話です。

今読んでるのは
「Development as freedom」著:Amartya Sen
です。
日本で出版されているこの本の訳本は誤訳が多い(という噂な)ので、
無駄に原著に挑戦しています。

まだ自分の意見を書くほどではないので、
今回は読んだ分の要約。
通読するのはきついので、適当につまんで読んでいます。

(social choiceの話にはまだたどり着いていません、、、。ううう、、、。)

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さて要約。

Chapter6:The Importance of Democracy

--「起」--
政治の民主化と経済成長の関係はどうなっているのか?
民主化は経済成長を抑制するのか、それとも、経済成長に対して良い効果を持つのか?
という問題提起。
結論は「政治の民主化は経済成長に良い影響を及ぼす」ということ。

おっと、そこで「当たり前じゃん」って思わないで♪

だって、一方で権威主義者の人はこういう主張をするんだよ。

「強い政治的統制によってのみ経済成長は達成される。
韓国やシンガポールなどの『東アジアの奇跡』の例を見よ。(この理論をLee仮説と名づけます)」
とか
「貧困に苦しんでいる人たちが求めているのは、食べ物とか生活に直に結びつくものがほしいのだ。
発言の自由、政治の民主化、選挙とかそんな生活に関係しないのは、後回しでいいんだ」
とか。

--「承」--
セン氏はこれに対して、
「Lee仮説は根拠薄弱。主張する人間にとって都合が良い事例のみを参照している。
アフリカで最高の経済成長を成し遂げているボツワナは、アフリカ大陸における民主化のオアシスじゃないか」
と一蹴。

--「転」--
そしてここがメイン。
しかも、民主化が経済に対して持つ素晴らしい影響は2つある。

1.instrumental importance(経済的目標を達成するための「手段」としての民主化)
民主化によって発言の自由などが保障され、選挙が実現すれば、
国民に対して不誠実な政府は打倒されるようになる。
政権を維持したい政党は国民のneedsに応えるようになる。
つまり、国民の経済的needsが政治に反映されるようになる。

民主化のおかげで、危機的状態になる前に政治が対策を打つことが出来るようになるのである。
歴史的に見て、現在でもそうだが、民主的な国家において大規模な飢饉は起こらないこと、
は証明されているのだ。

2.constructive role(needsを組み立てるための民主化)
さて経済的needsとは何か?
漠然とした思いを具体的な形に構築(conceptualization)するためにも
民主化とopen discussionとcommunicationは必要である、とセン氏は主張する。
国民が何を求めているのか、というのは実は簡単に分かるものではない。

国民同士がオープンな場所で議論して、初めてなにが必要であるか、
「なにがneedsなのか」が分かってくるのである。

--「結」--
でも政治化の民主化がそれ自体で、楽しい経済発展が達成されるわけではない。
民主化というのはチャンスである。それ自体が魔法の杖ではない。
そのチャンスをつかまなければいけない。
たとえばアメリカにおいて、African-Americanの投票率は低いが
それでは、困難に直面している人が多いそのグループの意思を表示できないのである。

政治的自由は行使されてこそ意味を持つのだ。

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むずいね。要約するのって。

でまぁ、今、NHKの市民参加型の討論番組やってたけど、
まさにAmartyaSenさんが主張する
自由な発言とオープンディスカッションが持つ
instrumental importance
constructive role
がテレビを通じて行使されていたのではないですかね?

ごめん。うまくまとめられない。
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