ここ最近、ピッチで選手たちに口をすっぱく伝えていることは、声の大切さです。
「伝える」 これは、サッカーにおいてとても重要なキーワードだと考えます。
「アイコンタクト」という言葉や「以心伝心」という言葉があります。これは究極の形ではないでしょうか。
もっと「伝える」力を身につけましょう。
以下は、考えさせられた記事です。考えてみてください。
先日行われたAFC U-19選手権、日本は準々決勝のイラク戦に敗れて4強入りを果たせず、3大会連続でU-20ワールドカップの出場権を逃すことになりました。
現地UAEで取材をしていたサッカージャーナリストの安藤隆人さんは、U-19日本代表の敗因の一つとして、「このチームは驚くほど練習中や試合中の声が少なかった」と述べています。
■なぜ、声が少ないことが問題なのか?
サッカーはコミュニケーションが大切なスポーツ。その目的は主に3つあります。
1.味方に情報を与えること
例えば背中側から寄せられた味方に対して、「(相手選手が)来てるぞ!」と声をかけて情報を与えることで、味方のプレーを声で助けることができます。
2.味方に指示を出してプレーの意思統一を図ること
例えば「どこから守備を始めるか?」というときに、ファーストディフェンスを行う味方FWに対して後方から「待て!」「もう少し引け!」「行け!」と声をかけることで、全体がバラバラにならず、連動した守備を行うことができます。
3.ハートを鼓舞してメンタル面を支える
疲れたとき、失点をしてしまったとき、心が折れそうになったとき。気持ちが落ち込むことは誰にでもあります。そんなとき、味方を鼓舞する声は、再びピッチで戦う勇気を与えてくれるでしょう。
技術、戦術、メンタル面でパフォーマンスを支えてくれる『声』。そのようなサッカーの大事な要素が練習中から少なかったのであれば、U-19日本代表チームは自身の可能性を眠らせたまま、大会を後にしてしまったのかもしれません。
しかもこの傾向は、最後にU-20ワールドカップ出場を果たした2006年時のU-19日本代表、すなわち槙野智章、森島康仁、柏木陽介、内田篤人らを中心とした『調子乗り世代』以降ずっと、どの世代にも共通している欠点です。
もしもこれが、U-19日本代表という一つのチームだけに起きた特有の現象ではなく、例えばみなさんが指導しているチーム、あるいはみなさんの子どもたちにも共通した傾向だとすれば、私たちは由々しき問題として身近に捉える必要があるのではないでしょうか。
■ブラインドサッカーに感じられる“声”の可能性
どうすれば、声を出すこと、コミュニケーションを積極的に取ることが自然になるのでしょうか?
声が出ないことの原因には、そもそも状況が把握できていなかったり、言いたいことを構築する論理思考力が欠けていたり、恥ずかしかったり、自信がなかったり…。さまざまな原因があるでしょう。
先日掲載されたJリーグ技術委員長・上野山信行氏のインタビューでは、「戦術ボードや映像を使って長々とミーティングする指導者もいますが、それをやると、ほとんどが大人の説明になる。だけど大人が言っても仕方がないですよね。子どもがいっぱいしゃべらないと」というお話がありました。
子どもが普段から、主張すること、声を出すことに慣れていなければ、静かで大人しい選手に成長するのも無理からぬことかもしれません。
また、その原因はサッカーだけではなく、日本文化の中で育つことの影響が大きいでしょう。そこには主張が弱いといった短所だけでなく、協調性や我慢といった長所も含まれているため、一概に全否定できるものではありません。
そこで筆者は日本文化を肯定的に捉えた上で、その欠落を『補填』するための一つの手段として、ブラインドサッカーに注目しています。
それはなぜか?
ブラインドサッカーは本来、視覚障害者のスポーツですが、目隠しをして視覚を遮断すれば晴眼者も一緒にプレーすることも可能になります。
人間が持つ情報源の8割を占める視覚がない中で、ブラインドサッカーはボール内部で鳴る鈴のような音と、コート脇に立って声で選手をガイドする『コーラー』などの助けを得てプレーしなければいけません。
サッカーもコミュニケーションや信頼関係が大切ですが、ブラインドサッカーの場合はさらにその特徴が強調されたスポーツと言えるでしょう。状況を把握するためには、チームメートの声や、練習によって築き上げた共通の認識から把握できるものなので、深めなくてはならない『絆』が数多く存在します。
百聞は一見にしかず、百見は一行にしかず。
指導者が「コミュニケーションが大切だぞ!」と百回伝えるよりも、ブラインドサッカーを一回プレーしてもらうほうが、より子どもの感覚に訴えるものがあるのではないでしょうか。
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