ペット信託を考える前に、
まず『信託』について説明したいと思います。
『信託』とは、
その名の通り、
自分の財産を誰かに「信じて託す」ことです。
信託銀行等が遺言書の作成・保管・執行まで行う
『遺言信託』や、
投資家から集めた資金を投資信託運用会社が投資・運用する
『投資信託』等があり、
これらを『商事信託』と言います。
報酬を受け取り営利を目的とする『商事信託』は、
金融庁の免許が必要で信託業法の規制を受けます。
日本の信託は大半がこの『商事信託』です。
一方、
2006年の信託法改正により、
営利を目的としないものであれば、
家族や知人等が受任することが可能となりました。
これらを『民事信託』と言います。
最近よく耳にする『家族信託』とは、
一般社団法人家族信託普及協会が商標登録したもので、
この『民事信託』の一つになります。
では、
『民事信託』について説明します。
まずこの制度には、
「委託者」(財産を預ける人)
「受託者」(財産を管理する人)
「受益者」(財産から利益を受ける人)
の3者が登場します。
ここからはわかりにくいので例を挙げてみたいと思います。
Aさん(70歳男性)は一人暮らしですが、
知的障がいがありグループホームに入所している
息子のBさん(40歳)がいます。
妻とは死別し、その他の親族は甥のCさん(45歳)がいるだけです。
Aさん自身に病気や認知症はありません。
Aさんは、
預貯金1000万円と、
自宅マンションの他、
賃貸マンションを1室所有しており、
家賃収入を得ています。
Aさんは、
この安定収入のある賃貸マンションを、
息子Bさんに渡したいと考えていますが、
Bさんは知的障がいのため自身で管理することは難しい状況です。
かといって今はAさんが自分で管理していますが、
Aさん自身も高齢になり、
今後のことが心配になってきています。
病気になったり認知症になった場合に備えて
『財産管理委任契約』や『任意後見契約』等を調べてみました。
いざとなったら確かに第三者に自分の預貯金や賃貸マンションを
管理してもらえることがわかりましたが、
これらの制度では、
あくまでAさん自身のためになることにしか
お金を使用することができません。
すなわち賃貸マンションの収入を、
Bさんのために使ってもらうことができないのです。
そこで『民事信託』を活用することにしました。
甥のCさんに賃貸マンションを預けて、
家賃収入から毎月息子に生活費を振り込んでもらうようお願いしました。
AさんとCさんの間で信託契約を結ぶことで、
例えAさんが認知症になり後見人が選任されたとしても、
賃貸マンションの収入はBさんに支払われ続けることになります。
この場合、
Aさんが「委託者」
Cさんが「受任者」
Bさんが「受益者」
となります。
『民事信託』は、
後見制度よりも自由度の高い、
本人の意思を反映した運用が可能になる制度と言えます。
またこのケースを、
「他益信託」といい、
他に「自益信託」「自己信託」等の形態があります。
但し、
この『民事信託』は、
「受任者」の負担が大きくなります。
かつ信頼できる人にしか頼めません。
「受任者」を見つけにくい場合があり、
その点はデメリットの一つと言えるでしょう。
これらを踏まえた上で、
『ペット信託』について考えていきたいと思います。
つづく、
まず『信託』について説明したいと思います。
『信託』とは、
その名の通り、
自分の財産を誰かに「信じて託す」ことです。
信託銀行等が遺言書の作成・保管・執行まで行う
『遺言信託』や、
投資家から集めた資金を投資信託運用会社が投資・運用する
『投資信託』等があり、
これらを『商事信託』と言います。
報酬を受け取り営利を目的とする『商事信託』は、
金融庁の免許が必要で信託業法の規制を受けます。
日本の信託は大半がこの『商事信託』です。
一方、
2006年の信託法改正により、
営利を目的としないものであれば、
家族や知人等が受任することが可能となりました。
これらを『民事信託』と言います。
最近よく耳にする『家族信託』とは、
一般社団法人家族信託普及協会が商標登録したもので、
この『民事信託』の一つになります。
では、
『民事信託』について説明します。
まずこの制度には、
「委託者」(財産を預ける人)
「受託者」(財産を管理する人)
「受益者」(財産から利益を受ける人)
の3者が登場します。
ここからはわかりにくいので例を挙げてみたいと思います。
Aさん(70歳男性)は一人暮らしですが、
知的障がいがありグループホームに入所している
息子のBさん(40歳)がいます。
妻とは死別し、その他の親族は甥のCさん(45歳)がいるだけです。
Aさん自身に病気や認知症はありません。
Aさんは、
預貯金1000万円と、
自宅マンションの他、
賃貸マンションを1室所有しており、
家賃収入を得ています。
Aさんは、
この安定収入のある賃貸マンションを、
息子Bさんに渡したいと考えていますが、
Bさんは知的障がいのため自身で管理することは難しい状況です。
かといって今はAさんが自分で管理していますが、
Aさん自身も高齢になり、
今後のことが心配になってきています。
病気になったり認知症になった場合に備えて
『財産管理委任契約』や『任意後見契約』等を調べてみました。
いざとなったら確かに第三者に自分の預貯金や賃貸マンションを
管理してもらえることがわかりましたが、
これらの制度では、
あくまでAさん自身のためになることにしか
お金を使用することができません。
すなわち賃貸マンションの収入を、
Bさんのために使ってもらうことができないのです。
そこで『民事信託』を活用することにしました。
甥のCさんに賃貸マンションを預けて、
家賃収入から毎月息子に生活費を振り込んでもらうようお願いしました。
AさんとCさんの間で信託契約を結ぶことで、
例えAさんが認知症になり後見人が選任されたとしても、
賃貸マンションの収入はBさんに支払われ続けることになります。
この場合、
Aさんが「委託者」
Cさんが「受任者」
Bさんが「受益者」
となります。
『民事信託』は、
後見制度よりも自由度の高い、
本人の意思を反映した運用が可能になる制度と言えます。
またこのケースを、
「他益信託」といい、
他に「自益信託」「自己信託」等の形態があります。
但し、
この『民事信託』は、
「受任者」の負担が大きくなります。
かつ信頼できる人にしか頼めません。
「受任者」を見つけにくい場合があり、
その点はデメリットの一つと言えるでしょう。
これらを踏まえた上で、
『ペット信託』について考えていきたいと思います。
つづく、