別冊 よもやまツレヅレ・・・

おもに名古屋と東京の食べ歩き日記。

『すきやばし次郎』(銀座)

2009年10月13日 | 日本料理(東京)
【寿司】
 ・住所:東京都中央区銀座4-2-15 塚本素山ビルB1
 ・電話:03-3535-3600
 ・定休:土夜、日祝など
(銀座駅・有楽町駅など下車)

銀座は数奇屋橋交差点の不二家の角あたり、
ビルの地階にひっそりと、三ツ星常連の老舗は佇んでいます。


店構えは看板と暖簾だけ

今回は友人とふたり、静かにカウンターでいただくお昼のひととき

いつも、ひとつひとつが感動の、
まるでコース料理のひと皿ずつにも感じられるひと口です。

こちらのお店でいただけば、どんな魚介も超・逸品へと変身を遂げて、
カウンターの中で繰り広げられる鮮やかな握り姿とともに、
目にも舌にも驚きの連続が楽しめる、ショーのような小1時間

ネタはそれぞれがもっとも美味しい瞬間にいただけるよう、
仕込み始めのタイミングから仕込みかた、温度管理にいたるまで、
すべて魚介ごとにわけて、手間をかけながら行っていらっしゃいます。

ご飯のシャリや海苔、ガリ、お茶…そうした鮨の名脇役もすべてが美味しい

雲丹やいくらの軍艦などは、
海苔がまるで、フレンチでいえばメイン料理のソースのような存在に。

「次郎」さんでは、お箸を使わずに手でそっとつまみあげ、
醤油もつけずに握りたてをひと口でいただくのが流儀ですが、
思いやりで添えられるお箸も醤油も、それはきちんとしたもの。

細部にいたるまでが一流の仕立てで、
私のような若輩のお客は、そこで一流の食べ方も学べるわけです。

このたびは秋を迎え、
お店でもあまり遭遇の機会がないといわれる「いわし」にも、
運よく出会うことができました。

青魚ならではの大人びた苦味が、また美味しい

当日のコースのなかでも、もっとも口どけが素早く、
逃げるように溶けてなくなる「いわし」を口中で追いながら、
いつまでもいつまでも、大切に味わいました。

(この日のお品書き)
 かれい
 すみいか
 いなだ
 あかみ
 ちゅうとろ
 おおとろ
 こはだ
 むしあわび
 あじ
 くるまえび
 かつお
 しゃこ
 いわし
 あかがい
 ひも
 うに
 こばしら
 いくら
 あなご
 かんぴょう
 おぼろ
 たまご
(おまかせ約20貫 3万1500円也)
※都合で写真は掲載しません。
※内容は季節やご訪問日によって変わります。

 

「次郎」さんには、
昨年の夏頃に初めて暖簾をくぐって以来、かれこれ五度目ほど。

まだまだ一見さんほどのお客でしかありませんが、
日本が世界に誇る鮨職人、小野二郎さんに握っていただき、
毎回をとっても幸せに感じてきました。

 

ご縁の発端は、調理師学校時代にお世話になった、
料理評論家の山本益博(ヤマモトマスヒロ)氏です。

学校でのご講義や、数々の著書をはじめ、
お店へご一緒させていただきながらのご解説を通じて、
「次郎」さんのこと、『食べること』との向き合いかたや作法など、
丁寧にわかりやすくそして楽しく教えてくださいました。

お鮨をいただきながらのライブ講義は、
緊迫感あるカウンターのなかと相まって白熱の空間に。

小野二郎さんの生きざまを知るにつけ、小柄でもすっとした立ち居で、
美しく頑丈な両手から生み出されるお鮨がさらに尊く感じられます。

あまりの美味しさに感動して涙がでそうになったことも。

あんなにも高揚してワクワクとした気持ちで、
食事のひとときを楽しめるなんて…。

 

「(東京へ帰ってきたら)またいらしてくださいね

この日も、
小野二郎さんとご長男の禎一さん、お店の方々のお見送りを背に、
心から麗らかな出立のときを感じていました。

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