情熱の薔薇

天幕旅団主宰:渡辺望が傾ける様々な情熱。

「回顧・2011」の情熱

2011-12-31 23:50:47 | Weblog
大晦日です。
今年も、あっという間。
2011年も、何本かお芝居やりました。
なんというか、誰かに発信するというよりは、忘れっぽい自分のための備忘録。


★2月 空想組曲「ドロシーの帰還」★ 演出助手

2011年の芝居初めは、昨年に引き続き空想さんにスタッフで入らせてもらいました。
小劇場オールスター戦みたいな、豪華なキャストが集結している稽古場は、
もうホントに贅沢の極みでした。
物語を紡ぐ段階から色んな可能性を試して、時間をかけて役者と作品を練り上げていく様子は、
ホントに素敵で、演劇の醍醐味だなあと思うのです。
奇しくも、昨年末に自分のところでやった「オズの魔法使い」が題材で。
でも、同じ題材から立ち上げているとは思えないほど違う着地点の物語で。
自分がやろうとしていること、がより明確になったというか。勉強になりました。

今回は、本番を客席から見れたのでよかったなあ。



★3月 天幕旅団extra「さよなら、DJ」★ 脚本・演出・出演

件の地震があった日、加藤と二人で稽古をする予定で稽古場を予約していました。
ちょうど一週間後に、いつも写真撮影でお世話になっている風太郎さんのイベントにお呼ばれしていたため、そこで披露する二人芝居の稽古をするはずだったのです。
結局、その日は電車が動かず、帰宅すらままならず稽古は中止になりました。
そしてその日を境に、世界がぐるんと反転し、「演劇をやっている場合ではない」状況がやってきました。
中止という選択肢もあったと思うのですが、風太郎さんが出した結論は、イベントの続行。
主催者がやる、と言う以上、僕らもやるしかない、と思ったのですが、
やはり、動揺や迷いは、拭い去ることができませんでした。
演劇をやっている誰しもがあの時思ったように、
僕らも「今、演劇をやってる場合なのか?」と自問自答し続けました。

散々迷って、結局、自分に正直になろうと腹をくくりました。
動揺や、迷いや、混乱を、恥ずかしがらずに曝け出そうと思ったのです。
イベント二日前に書きあがった「さよなら、DJ」という短編は、そういう正直な作品になりました。
加藤がほとんど一人でしゃべって歌ってる、1.5人芝居みたいな作品でしたが、
台本を覚える速度やら、演出の理解度やら、さすが加藤だなあと思ったのでした。

中島みゆきさんの「ファイト!」を加藤がアカペラで歌うという、
珍しい作品でした。



★5月 桜ジュリエッタ「熱闘!!飛龍小学校☆パワード」★ 演出助手

高校生の頃、僕が大好きだった惑星ピスタチオ。もう解散してしまった伝説の劇団です。
今の僕がものすごく影響を受けているのは間違いないのです。
その代表作が作り手自身の演出で蘇るという夢のような企画。
作品作りに関わらせてもらえることになって、もう、天にも昇る心地でした。
当時見ていた作品が、どんな風にして出来上がっていたのか。
自分なりに想像して稽古場で開発していった作り方の、答え合わせというか。
結局それは、今自分がやっていることとは違っていて。
それはもう、やっぱり僕なんかが考え付かないようなすごい作り方でした。
スタッフとしては、歯がゆいところが一杯あって悔しい公演だったのですが、
憧れの演出家さんの作品作りを間近で見ることができて、ホントに幸せでした。



★7月 天幕旅団「天幕版 東海道四谷怪談」★ 脚本・演出・出演

天幕旅団♯2は、歌舞伎エンターテイメント。
過去に、笑劇ヤマト魂で上演した作品の再演でした。
旗揚げがファンタジーだったので、二回目は歌舞伎。
今まで作った歌舞伎作品の中でも、自分が気に入ってる演目をリメイクしました。
僕の芝居にはホントに珍しく、女性を描いた作品で。
普段は照れてあまり書かない、「愛」についてちゃんと向き合って作った物語でした。

初演で書ききれていなかった部分を書き足して、
討ち入りに行った者と行かなかった者のドラマをよりわかりやすく。
純愛、故の悲劇を描きました。

演出面では、演劇の虚構性を追及した結果、
シンプルな正方形のリングと、扇子と手ぬぐいという最低限の小道具だけを用いて、
役者の身体で勝負する、あのスタイルが出来上がりました。
役者は、自分のシーンではない時もリング脇に座って舞台の進行を見守る。
「虚構だからこそ上手く嘘をつきましょう」ではなく、
「虚構であることを忘れないでください」と常に提示し続ける舞台。
そんな発見がありました。

初演にも出ていたのは加藤と僕の二人だけ。
僕は初演と役が変わっているので、同じ役を演じたのは加藤ただ一人でした。

再演版で伊右衛門を演じてくれたのは、菊川ヒゲ先輩。
幾度のラブコールで口説き落としたヒゲ先輩はやっぱり素敵で。
大人の色気の中に見せる少年のような笑顔。
脚本面も演出面でも、色々相談に乗っていただきました。
久しぶりに、まっきーさんと作品作りできたのも幸せでした。

キャストが変われば作品も変わる。
初演とは、違う手触りの、四谷怪談。
変わったものと変わらないものと。
なんだか、感慨にふけってしまうような公演でした。



★12月 天幕旅団「SUPER☆STAR」★ 脚本・演出・出演

前二回が、ファンタジーと歌舞伎、それぞれ再演を一本づつやったので、
それに続く三本目は、いよいよ新作。
歌舞伎でもファンタジーでもない、新ジャンルということで、
「天幕ヌーベルヴァーグ」と銘打った現代劇に挑戦しました。

かなり、実験的な要素が強い公演で、
今までやってこなかったことを色々試したいなあと思った公演でした。

2バージョン交互上演の強行日程で、ハードな作品でした。

「探偵side」は、言葉で埋め尽くして、音も明かりも足し算で。過剰で派手な冒険活劇。
「DJside」は、身体で表して、音も明かりも引き算で。寡黙でシンプルな叙情劇。
両極端な作品にしたいなあと思って作ったのでした。

正直、反省すべきところがたくさんあった作品なのですが、
自分に足りないところが一杯自覚できて。
次に繋がる作品だったなあと今では思うのです。

普段の作品ではあまり選ばないような、
珍しい曲とか懐かしい曲とかを結構使っていて。
選曲がとても楽しかったです。

個人的には、DJsideの方で、念願の「群像劇」を作ることができました。
もう少し、この方向も掘り下げてみたいなあと思っているのです。



そんなわけで、2011年もお世話になりました。
来年も、どうぞ宜しくお願いいたします。

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