大晦日です。
終わり行く2008年を総括してみようかと思う次第です。
◆2月 40CARAT『上海キップ』◆
さて、2008年の幕開けは、初めて出させて頂く客演先で。
「夏の夜の夢」を翻案した作品で、人生初、シェイクスピアにきちんと取り組みました。
というか、あろうことか、ヘレナ。ぶさいくな女の子の役。
女役はやったことあれど、ちゃんと衣装も女の子の格好で舞台に立つというのは初めてで。なんか、最初は抵抗有りましたけど、やってみると意外と楽しく。髪型とかメイクとか、かわいくしてもらって喜んでました。
劇団の持ち稽古場があって、台本も稽古初日にあって、通し稽古をたっぷりやって。稽古の仕方は今までやってきた芝居と全然違って、こういうやり方もあるのだなあと、色々勉強になりました。
池袋はシアターグリーンのフェスティバル参加作品。
本番中は毎日通いましたが。。。やはり池袋は苦手でした。。。
◆4月 笑劇ヤマト魂『キャノンボール~FLASHBACKdiscotheque あるいは、終末の過ごし方~』
4年ぶりの番外興行。小スペース少人数でやる実験興行。
2days、各回40人限定のスペシャルライブ。太田・加藤、そして僕の三人芝居。
久しぶりに、三人でがっつり組んで濃密な空間を共有しました。
キーワードは「終末」と「春」。
伊坂幸太朗さんの、「終末のフール」をモチーフに、その終末の世界で起こるアナザーストーリーみたいなものを目指しました。
終わり行くことが決まっている世界を前に、人はどう思うのだろうか。
灰色の世界を前に、「春」は、「希望」を運ぶことができるだろうか。
そんなことを考えながら、オムニバスの作品を綴りました。
普段、歌舞伎とファンタジーという、虚構の世界を描いていて、敢えて避けて通っている「日常」とか「リアル」とか、そういうものに、立ち向かってみた芝居です。
とはいえ、基本はコントをやりたくて。
三人といえば例のアイドルだろう、ということで踊ったチョコレート・ディスコは大変好評を頂きました。
演出面でも、結構発見が多くて。
今ではヤマトの稽古場で主流になっている「ジャンパー」という新稽古方法を編み出したのもこの興行でした。
◆5月 ノアノオモチャバコ『246』客演◆
昨年に続き、出させて頂きました。
渋谷のルデコの4Fで芝居が始まり、3Fと5Fで同時に芝居をやるという。
最後はライブもついた、お得な公演でした。
2本同時に始めて、終わりの時間も揃えないといけないので、きっちり芝居をしなきゃいけない。考えたらほんとすごいし、恐ろしい企画でした。
客演で出るときは一役者ですから、自分にできることはホントにわずかな仕事しかなくて。で、そのわずかな仕事で、きっちり結果出さなきゃいけないのだ、と改めて思ったのでした。
ルデコの小さな空間で、お客さんをしっかり感じながら芝居をする。
お客さんとコミニケーションが上手くとれなくて、自分はホントに役者として未熟だなあと、すごく凹んだ記憶があります。
劇団員の久保田も同じく出演していて。久保田と役者同士で稽古場にいるっているのはなんだかとても変な感じでした。
オープニングとエンディング、ライブハウスのようなオールスタンディングの会場の真ん中で、お客さんの至近距離でセリフをしゃべるのは、なんだかどきどきしましたけど、楽しかったです。
◆7月 笑劇ヤマト魂『Ultra Marine Snow』◆
夏興行は、本歌取りファンタジーの新作。
暑い夏だからこそ、涼しげに海のお話。
すごく前からやってみたかった、ジュールベルヌの「海底二万マイル」をモチーフにした海洋冒険ファンタジー。
二万マイルの海底に下りて行ったら、光もなくて音もなくて、真っ暗で何にも聞こえなくて、それは多分、自分が独りだ、ということを思い知らされるんだろうな、と思ったのです。
それで、「孤独」についての物語を紡いでいきました。
マリンスノウというのは、海に降る雪のこと。それは後から後から降ってきて、海の底の孤独なボクにとってはとてもキレイに見えます。けれど、ホントはそれは、海で死んだプランクトンの死骸。「孤独」が、後から後から降り積もっていくだけなのです。
そんなラストシーンを描きたくて、この芝居になりました。
シアターブラッツの奥にどんと細長い空間を海の底に見立てて、九人の役者で走り回りました。
その内、客演さんが四人。
前回の信長から引き続き、三浦けんけん、佐々木ゆたか。
初参加の、堀田祥ちゃん、そしてノナカのんちゃん。
テーマ曲のように流していたのですが、電気グルーヴの「Smokey Bubble」という曲の雰囲気のような、静かな雰囲気の芝居に仕上がりました。
◆8月 利賀演劇人コンクール『人形の家』客演◆
初の、古典劇。
初の、翻訳劇。
初の、旅公演。
初の、コンクール。
初の、1ステージオンリー。
初めてづくしの公演でした。
これはとても、勉強になった芝居だった気がします。
役者として、自分の中にあるものを一度ゼロにして、演出家の作りたい世界・作りたい色で自分の中を満たし直す作業。
それって、ホントは古典だろうがオリジナルだろうが同じはずなんですが、それに、改めて気づいたというか、そういう気がします。つくづく未熟。。。
「笑い」をやらなかった芝居なんて、多分人生初なんだと思います。
そういうのぢゃない所で勝負する機会を与えてくれた事にも、感謝です。
利賀村は、ホントに周りに何もなくて、滞在期間中はまさに演劇だけやっていたような気がします。自然に恵まれて、いいところなんですが。。。
コンクールとか、一発勝負の1ステージオンリーの舞台とか、すごくいい経験になりました。
自らの、役者としての未熟さを実感し、勉強になった芝居です。
◆12月 笑劇ヤマト魂『西遊記花街酔醒』◆
恒例の年末大歌舞伎。
念願叶って、遂に、西遊記に挑戦しました。
ウエストエンドで西遊記。GO!GO!WEST!西遊記。
石から生まれた石猿、孫悟空の物語。
「石」「砂」をキーワードに、「待つ」ことの物語を描きました。
「待つ」ことは、すなわち、「信じる」こと。
仏を「信じる」。来ぬ人を「信じる」。
長い時間を経て、いつか巡り来る輪廻の果てを「待つ」。そんな物語でした。
ウエストエンドに花道を通したくて。昨年の四谷怪談の時と同じく二面舞台。
床が斜めの基本舞台、8尺もある階段。そして、砂が落ちたり柱が傾いたり、と、盛りだくさんの舞台でした。
キャストは12人。内、客演さんが7人。
前回から連投の、三浦けんけん、佐々木豚くん、堀田祥ちゃん。
そして、今回で三回目、殺陣の先生、藤井としもり兄貴。
初参加が三人。菊川泥船先輩、戸村泥船船員、そして、公募の渡辺みっきー。
ホントに座組がよくて、ボクも、色んな刺激をもらいました。
仏教という、とても大きなモノに立ち向かうお話で、脚本にホントに難儀しました。
ヤマト魂の目指す、少年ジャンプ的世界の決定版。
みんな、はあはあ言いながら走り回って、殺陣満載の体力勝負の舞台でした。
本興行が二本、番外が一本、そして、客演を三本。
今年の年頭になんとなく書いた記憶がありますが、2008年は、ヤマト魂は、「変化」の年でした。
脚本として、演出として。ボクがやりたいこと、やるべきこと。
そして、役者として。。。これは、反省ばかりですが。
さて、来年2009年のヤマト魂は、7月と12月に興行を予定しています。
7月はファンタジーの再演、12月は歌舞伎の新作を上演する予定です。
本年も、笑劇ヤマト魂をご愛顧くださいまして有難うございました。
お客様あってのヤマト魂です。
来年も、お客様にお楽しみ頂ける作品を作る事が出来るよう、
より一層精進してまいる所存です。
今年も一年、ありがとうございました。
よいお年を。
終わり行く2008年を総括してみようかと思う次第です。
◆2月 40CARAT『上海キップ』◆
さて、2008年の幕開けは、初めて出させて頂く客演先で。
「夏の夜の夢」を翻案した作品で、人生初、シェイクスピアにきちんと取り組みました。
というか、あろうことか、ヘレナ。ぶさいくな女の子の役。
女役はやったことあれど、ちゃんと衣装も女の子の格好で舞台に立つというのは初めてで。なんか、最初は抵抗有りましたけど、やってみると意外と楽しく。髪型とかメイクとか、かわいくしてもらって喜んでました。
劇団の持ち稽古場があって、台本も稽古初日にあって、通し稽古をたっぷりやって。稽古の仕方は今までやってきた芝居と全然違って、こういうやり方もあるのだなあと、色々勉強になりました。
池袋はシアターグリーンのフェスティバル参加作品。
本番中は毎日通いましたが。。。やはり池袋は苦手でした。。。
◆4月 笑劇ヤマト魂『キャノンボール~FLASHBACKdiscotheque あるいは、終末の過ごし方~』
4年ぶりの番外興行。小スペース少人数でやる実験興行。
2days、各回40人限定のスペシャルライブ。太田・加藤、そして僕の三人芝居。
久しぶりに、三人でがっつり組んで濃密な空間を共有しました。
キーワードは「終末」と「春」。
伊坂幸太朗さんの、「終末のフール」をモチーフに、その終末の世界で起こるアナザーストーリーみたいなものを目指しました。
終わり行くことが決まっている世界を前に、人はどう思うのだろうか。
灰色の世界を前に、「春」は、「希望」を運ぶことができるだろうか。
そんなことを考えながら、オムニバスの作品を綴りました。
普段、歌舞伎とファンタジーという、虚構の世界を描いていて、敢えて避けて通っている「日常」とか「リアル」とか、そういうものに、立ち向かってみた芝居です。
とはいえ、基本はコントをやりたくて。
三人といえば例のアイドルだろう、ということで踊ったチョコレート・ディスコは大変好評を頂きました。
演出面でも、結構発見が多くて。
今ではヤマトの稽古場で主流になっている「ジャンパー」という新稽古方法を編み出したのもこの興行でした。
◆5月 ノアノオモチャバコ『246』客演◆
昨年に続き、出させて頂きました。
渋谷のルデコの4Fで芝居が始まり、3Fと5Fで同時に芝居をやるという。
最後はライブもついた、お得な公演でした。
2本同時に始めて、終わりの時間も揃えないといけないので、きっちり芝居をしなきゃいけない。考えたらほんとすごいし、恐ろしい企画でした。
客演で出るときは一役者ですから、自分にできることはホントにわずかな仕事しかなくて。で、そのわずかな仕事で、きっちり結果出さなきゃいけないのだ、と改めて思ったのでした。
ルデコの小さな空間で、お客さんをしっかり感じながら芝居をする。
お客さんとコミニケーションが上手くとれなくて、自分はホントに役者として未熟だなあと、すごく凹んだ記憶があります。
劇団員の久保田も同じく出演していて。久保田と役者同士で稽古場にいるっているのはなんだかとても変な感じでした。
オープニングとエンディング、ライブハウスのようなオールスタンディングの会場の真ん中で、お客さんの至近距離でセリフをしゃべるのは、なんだかどきどきしましたけど、楽しかったです。
◆7月 笑劇ヤマト魂『Ultra Marine Snow』◆
夏興行は、本歌取りファンタジーの新作。
暑い夏だからこそ、涼しげに海のお話。
すごく前からやってみたかった、ジュールベルヌの「海底二万マイル」をモチーフにした海洋冒険ファンタジー。
二万マイルの海底に下りて行ったら、光もなくて音もなくて、真っ暗で何にも聞こえなくて、それは多分、自分が独りだ、ということを思い知らされるんだろうな、と思ったのです。
それで、「孤独」についての物語を紡いでいきました。
マリンスノウというのは、海に降る雪のこと。それは後から後から降ってきて、海の底の孤独なボクにとってはとてもキレイに見えます。けれど、ホントはそれは、海で死んだプランクトンの死骸。「孤独」が、後から後から降り積もっていくだけなのです。
そんなラストシーンを描きたくて、この芝居になりました。
シアターブラッツの奥にどんと細長い空間を海の底に見立てて、九人の役者で走り回りました。
その内、客演さんが四人。
前回の信長から引き続き、三浦けんけん、佐々木ゆたか。
初参加の、堀田祥ちゃん、そしてノナカのんちゃん。
テーマ曲のように流していたのですが、電気グルーヴの「Smokey Bubble」という曲の雰囲気のような、静かな雰囲気の芝居に仕上がりました。
◆8月 利賀演劇人コンクール『人形の家』客演◆
初の、古典劇。
初の、翻訳劇。
初の、旅公演。
初の、コンクール。
初の、1ステージオンリー。
初めてづくしの公演でした。
これはとても、勉強になった芝居だった気がします。
役者として、自分の中にあるものを一度ゼロにして、演出家の作りたい世界・作りたい色で自分の中を満たし直す作業。
それって、ホントは古典だろうがオリジナルだろうが同じはずなんですが、それに、改めて気づいたというか、そういう気がします。つくづく未熟。。。
「笑い」をやらなかった芝居なんて、多分人生初なんだと思います。
そういうのぢゃない所で勝負する機会を与えてくれた事にも、感謝です。
利賀村は、ホントに周りに何もなくて、滞在期間中はまさに演劇だけやっていたような気がします。自然に恵まれて、いいところなんですが。。。
コンクールとか、一発勝負の1ステージオンリーの舞台とか、すごくいい経験になりました。
自らの、役者としての未熟さを実感し、勉強になった芝居です。
◆12月 笑劇ヤマト魂『西遊記花街酔醒』◆
恒例の年末大歌舞伎。
念願叶って、遂に、西遊記に挑戦しました。
ウエストエンドで西遊記。GO!GO!WEST!西遊記。
石から生まれた石猿、孫悟空の物語。
「石」「砂」をキーワードに、「待つ」ことの物語を描きました。
「待つ」ことは、すなわち、「信じる」こと。
仏を「信じる」。来ぬ人を「信じる」。
長い時間を経て、いつか巡り来る輪廻の果てを「待つ」。そんな物語でした。
ウエストエンドに花道を通したくて。昨年の四谷怪談の時と同じく二面舞台。
床が斜めの基本舞台、8尺もある階段。そして、砂が落ちたり柱が傾いたり、と、盛りだくさんの舞台でした。
キャストは12人。内、客演さんが7人。
前回から連投の、三浦けんけん、佐々木豚くん、堀田祥ちゃん。
そして、今回で三回目、殺陣の先生、藤井としもり兄貴。
初参加が三人。菊川泥船先輩、戸村泥船船員、そして、公募の渡辺みっきー。
ホントに座組がよくて、ボクも、色んな刺激をもらいました。
仏教という、とても大きなモノに立ち向かうお話で、脚本にホントに難儀しました。
ヤマト魂の目指す、少年ジャンプ的世界の決定版。
みんな、はあはあ言いながら走り回って、殺陣満載の体力勝負の舞台でした。
本興行が二本、番外が一本、そして、客演を三本。
今年の年頭になんとなく書いた記憶がありますが、2008年は、ヤマト魂は、「変化」の年でした。
脚本として、演出として。ボクがやりたいこと、やるべきこと。
そして、役者として。。。これは、反省ばかりですが。
さて、来年2009年のヤマト魂は、7月と12月に興行を予定しています。
7月はファンタジーの再演、12月は歌舞伎の新作を上演する予定です。
本年も、笑劇ヤマト魂をご愛顧くださいまして有難うございました。
お客様あってのヤマト魂です。
来年も、お客様にお楽しみ頂ける作品を作る事が出来るよう、
より一層精進してまいる所存です。
今年も一年、ありがとうございました。
よいお年を。