情熱の薔薇

天幕旅団主宰:渡辺望が傾ける様々な情熱。

「回顧・2015」の情熱

2015-12-31 23:27:21 | つれづれに


気がついたら、大晦日。
毎年思うけど、今年もホント、あっと言う間でした。
特に下半期はバタバタしてたこともあり、なんだか秋口から一気にタイムスリップしたかのような。

今年を、思い出してみる。
終わったそばからどんどん興味を失っていってしまう性分なので、
忘れっぽい自分のための備忘録。


今年の春は、ドラマCDの収録から。
オフィス櫻華 Soundscape Vol.1 『大空の恋人へ Farewell my SKYGIRL』に参加しました。
声だけの芝居なんてやったことなかったので、色々と試行錯誤した気がします。
声に全てを乗せることのなんと難しいことか。いつも如何に仕草や表情に頼って演技しているかと思い知りました。

普段はお客さんの前で何ステージか本番をやるために稽古をするわけで。
本番終わったらもう、跡形もなく消えるものを作っているわけで。
でも、ドラマCDは収録に向けて稽古をして、んで、そこで録音したものはずっと残り続けることになる。
録音したテイクにOKが出たらもうそれがCDになってしまうのです。
その、消えていかないことの怖さというか。

改めて演劇というものの儚さと魅力に気づいた、いい経験でした。


★7月 天幕旅団「僕の中にある静けさに降る、騒がしくて眩しくて赤くて紅い雪」(再演)★

天幕旅団の2015年夏興行は、紅い雪の再演。
初演が2012年でしたから、あまり時間が経っていないうちでの再演。
メンバーが今の4人になって初めて作った作品。SPACE雑遊で初めて作った作品でもあり、今の僕たちの方向性を決めた、思い出深い芝居でした。

この作品を、初演のままの演出でもう一度作るモノクロ版と、演出を全く変えて新しく作り直すカラフル版、キャストは同じで台本も同じ、演出の違う2つの芝居を交互上演するという企画でした。

モノクロ版は、3年前のものをより深く掘り下げていった感じ。カラフル版の方は、3年前に掘った穴を一度全部埋めて、違う穴を掘ってみた感じ。

自分が書いた作品でありながら、時間が経って改めて読んでみたら発見がホントにたくさんあって。
同じ作品を作り直すことの意義を、すごく感じました。

再演にあたって改めて稽古したというよりは、初演から3年間かけて稽古してきた、という感じ。
役者たちも、出来るようになったこととまだ苦手なことと、色んな収穫があった公演でした。

あと、珍しくおまけイベントをやりました。
15分くらいの小さな作品を作ったのですが、これはホントに楽しかった。
幻のように跡形もなく消えていく奇跡のような時間。こういう瞬間を作りたくて、僕らは演劇をやっているんだなぁと、実感したのでした。


★10月 S4U「バイク屋タケちゃん~だって俺らの青春じゃん~」★

昨年に引き続き、S4Uに参加しました。
ここの公演に出ると、演劇というのは祝祭なのだなぁ、と実感します。
年に一度のお祭りです。
お客さんも、観に来る、というより、参加しに来る、みたいな感じ。
素敵な雰囲気の客席にいつも嬉しくなるのです。

けれど、創作の段階はとてもシビア。
笑い、というモノの難しさを実感する現場です。
ああでもないこうでもない、と試行錯誤しながら、みんなで頭を捻りながら作っていく稽古場。

出来上がった作品は、笑えて泣けて、みんなに愛される素敵な芝居でした。
役柄的に、ずっと舞台上に居る役だったので、みんなの演技を間近で見る事が出来て、楽しい作品でした。


★12月 天幕旅団「夢去りて、僕らはハーメルンの白夜に踊る」★

そして、冬興行。
久しぶりの新作は、とても難産でした。
ハーメルンの笛吹き、という、謎の多いモチーフを選んでしまったからか、脚本が遅々として進まずに、とても苦労した作品でした。

街から姿を消した子供たちと、ひとりだけ街に残された子供。
みんなが踊りながら街を出て行く姿を、見送るしかなかった子供の物語。
そんなイメージはあったのですが、それを具体的な物語に立ち上げていくのに悩んでしまい、何度も何度もプロットを書き直しました。

出来上がった作品は、とても不思議な手触りがして。
まだ終わってあまり時間が経っていないので、冷静に考えるにはもう少し時間がかかりそうではあるのですが。
今後なにをしていくか、どんな作品を作っていくのか。自らを見つめ直す種になるような気がしています。

対面客席の真ん中に置いた交差する2つのスチールデッキ。装置はとても面白く遊べる素敵な舞台でした。靴だけで小道具を全て処理する演出も、色んな場面が作れて楽しかったです。

ハーメルンの笛吹きのモチーフは、まだ、手を伸ばした先に何か潜んでいるような気がしてなりません。
またいつか、パラレルな作品として、改めて書く事が出来たらなぁと思っております。


そんなわけで、天幕2本、客演1本、その他1本、の2015年でした。

今年後半から、縁あって大好きなSPACE雑遊で、スタッフとして働かせて頂ける事になりまして。
自分の作品を作る時以外も、色んな劇団をお迎えする側としてお仕事しております。
改めて、素敵な空間だなぁと、思っているのです。


来年は、天幕旅団で春・夏・冬、3本やる予定です。
まずは3月。
雑遊の2階に新しくオープンしたSPACE梟門のオープニング企画に天幕旅団も参加させて頂ける事になりました。
演目は、「マッチ売りの少女」。
別役実さんの、名作戯曲です。
天幕旅団としては初めて、僕が書いたものではない作品を上演するのです。
いつもとちょっと違う天幕旅団、
でも、これぞ天幕旅団、
と思って頂けるような作品にしたいと思っております。

本年も、天幕旅団をご愛顧頂きありがとうございました。
来年も、どうぞよろしくお願い致します。

それでは、良いお年を。

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