豊田穣『名将宮崎繁三郎』(光人社NF文庫)を読む。
宮崎繁三郎中将は陸軍屈指の最前線指揮官で、
ノモンハンでは十六連隊を率いてソ連軍に勝利。
インパール作戦では要衝コヒマを占領。
敵中に孤立し、補給を断たれながらも撤退戦を指揮し、
ビルマ東端のモーメルン付近で終戦を迎えました。
宮崎中将は殿軍として撤退する途中、
置き去りにされた戦死者を埋葬し、
負傷兵を収容しつつ後退しました。
そして道の両側には放棄された物資の山が。
前線で満足な補給を受けられなかったのは、
後方部隊が前線まで物資を運ばず
途中で放棄していたからでした。
宮崎中将の名将たる所以は、
兵站を重視したこと(当たり前の話ではありますが)、
寡兵ながら玉砕を選ばず遅滞戦術を行ったこと、
軍紀を維持して住民とのトラブルを起こさせなかったこと、
などにあります。
撤退戦を見事に闘い抜いた名将としては、
根本博中将と双璧をなすでしょう。
陸軍にもこのような将軍が存在していたこと、
そして宮崎中将のような軍人が希な存在であったことも、
歴史の事実として知っておくべきです。
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