フランス大統領選挙の第1回投票で
中道のマクロン元経済相(39)と、
極右政党「国民戦線」のルペン党首(48)が
第2回投票への切符を手にすることになりました。
Macron to face Le Pen for French presidency | World
フランスの大統領選挙では「2回投票制」が採用されており、
第1回投票で過半数を得た候補者が当選、
過半数を得た候補者がいない場合は、
上位2名の決選投票で1位の候補者が当選となります。
マクロン候補が1位、ルペン候補が2位になったので、
マクロンとルペンの一騎打ちになります。
マクロン候補は元社会党員で、オランド大統領のもとで経済相を務め、
離党後は中道政党「前進!」を結成して大統領選に立候補しました。
実は、マクロン候補が選挙に出るのは今回の大統領選が初めてです。
France Presidential Election: Who is Macron, the 39-year old maverick who clinched the 1st round?
ルペン候補は極右政党「国民戦線」の創設者ジャン=マリー・ルペンの娘。
欧州議会と地域圏(州のようなもの)議員を務めています。
前回の大統領選では、第1回投票で3位になっています。
France elections: 'Sincere patriots should join me' Marine Le Pen - BBC News
どちらが当選するかはわかりませんが、大統領選挙の後には下院議員選挙が行われます。
フランスの2大政党は右派の共和党と左派の社会党。
共和党を中心とする中道右派勢力と
社会党を中心とする中道左派勢力の2大ブロックが過半数を争う展開です。
「前進!」も国民戦線も単独で過半数の議席を獲得するのは困難なので、
右派連合と左派連合のどちらかが下院の多数派になるはずです。
フランスは強大な権限を持つ大統領と、
議会に責任を負い内政を担当する首相の二本立てで政治が行わる
「半大統領制」という仕組みになっています。
現大統領のオランドは中道左派の社会党所属。
議会の多数派は中道左派連合なので、首相も社会党のカズヌーヴです。
大統領と首相が同じ勢力から出ていると、政権運営がスムースに進みます。
大統領と議会の多数派が異なる「ねじれ現象」が起きたときは、
大統領と首相の所属勢力が異なることになります。
これを「コアビタシオン」と呼びます。
左派のミッテラン大統領のもとで、右派のシラクが首相を務めた
第1次コアビタシオン(1986~88年)。
同じく左派のミッテラン大統領、右派のバラデュール首相の
第2次コアビタシオン(1993~95年)。
右派のシラク大統領、左派のジョスパン首相の
第3次コアビタシオン(1997年~2002年)。
過去3回コアビタシオンになっています。
大統領選の第2回投票は5月に、国民議会の選挙は6月に行われます。
大統領は当選後に首相を任命して国民議会の選挙に臨みますが、
6月の国民議会選挙の後に首相が続投するかはわかりません。
マクロンの勝利で政界再編が行われるのか、
ルペンの勝利で極右と中道右派の連立政権になるのか、
それともコアビタシオンになるのか、
フランス政治の動向が定まるのは大統領選ではなく、
国民議会の選挙後になるでしょう。
注目すべきは国民議会の選挙結果です。
| Trackback ( 0 )
|