青山やすし『東京都副知事ノート――首都の長の権力と責務 』
(講談社+α文庫)を読む。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/5c/5dc7b963d40ceca25e86057da5d6edbb.jpg)
東龍太郎知事時代に都職員となり、
美濃部亮吉、鈴木俊一、青島幸男の時代を経て、
石原都政1期目の副知事を務めた青山氏。
都職員から副知事になった青山氏の、
「内部から見た石原都政」を描いたレポートです。
行政マンたる都職員と政治家たる石原知事との
「間の取り方」「微妙な距離感」がうかがえます。
目次を紹介します。
序 章 石原都政二期目を終えて
—東京五輪招致を機会に二一世紀型都市モデルの発信を
第1章 石原都政スタート—副知事になる
第2章 横田飛行場に行ってみよう—軍民共用化と羽田の国際化
第3章 財政再建のために知事になったんだ—財源さがしと経費節減
第4章 容積率で遠慮するな—東京メガロポリスの創造
第5章 三宅島のマグマはどこにいるんだ—災害対策の最前線
第6章 こんな不合理は放っておけない—土地収用法改正
第7章 現金給付でごまかさずに福祉を充実させよう—福祉改革
第8章 黒煙をなくせ—ディーゼル車排ガス規制
第9章 これからの石原都政—破壊と創造
第9章で石原都政1期目の評価が行われていますが、
(A)「もともと都政にそういう方針があったが進展していなかったものを
石原都政下で具体的な政策として動かしたもの」は◎の評価が多く、
(B)「石原知事になってから
知事が事務方を督励して政策化したもの」は◎と○が半々、
(C)「石原知事が新たな政策として都政に持ち込んだもの」
については△がほとんど、という結果でした。
ちなみに◎は「目に見えて進んだ」、○は「一定の成果があった」、
△は「これからの課題となっている」です。
石原知事のもとで都庁が懸案として抱えていた問題が
かなり処理された、ということです。
これを石原知事のリーダーシップの発露と見るか、
都庁が懸案の処理に知事を巧みに利用したと見るのか。
知事が新しく持ち込んだ政策が進展していないところを見ると、
後者のような気がします。
都庁が都の問題について適切な施策を立案しているならば、
それを実現させるのは知事の役割です。
知事が都庁という巨大な官僚制をどうコントロールするのか。
これは都だけではなく自治体に共通する課題です。
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