石原延啓 ブログ

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GCC オープンスタジオ

2010-08-17 12:07:54 | Weblog


こちらに来る2~3日前にGeyonggi Creation Center(GCC)のオフィスからメールがきて、8/12~15とオープンスタジオをする、これはとても大事なイベントだと知らされる。「は~あ?」そんなこと急に言うなよ。。。。
結局渡航直前まで別の〆切に追われ、ドタバタでこちらに着いてみたら食事をどうしたらいいかも分からないうちに週末。辺りにはブドウ畑農家しかなく、最寄りの小さなグローセリーストアorファミリーマートまで徒歩20分ときたもんだ。
週明けにオフィスが開いて日本から送った画材も届いて、やっと本格的に仕事開始。この2ヶ月こういった方向でやっていこうというディレクションにすべく2日間の突貫工事でスタジオにウォールペインティングを施した。
モチーフはやはり手首を握ったら逃げられた「トッケビ」でしょう。



韓国入りした数日はあまりの「陸の孤島」ぶりに途方に暮れていたが、イベントを前に人の出入りも激しくなり、多くの滞在アーティストたちと知り合って車に便乗させてもらったりと「足」もできてきた。
その中で私と同じようにオープンスタジオ直前に韓国入りしたポーランド人のプシャモとは特に仲良くなった。
スタッフが外食に連れ出してくれる機会も増え、細々と暮らした数日間が嘘のよう。大体が海鮮チヂミとアサリの鍋うどん、それに鴨焼き肉。
ソウルから来た電気業者さんのトラックの荷台に乗せてもらって移動したのは子供時代に戻ったようで何とも楽しかった。



オープンスタジオの準備が一段落すると、期間中はパーティーパーティーの連続で胃痛になる。お酒はビールか焼酎かマッコリ。マッコリは元来ローカルな飲み物で農業の人たちに愛されて来たが、今では都市部でも飲まれるようになって高級な商品まで出て来たそうだ。数年前に飲んで感動した未だ発酵中のプチプチマッコリやスパークリングマッコリまで極めて美味。食べ物も辛いから逆流性食道炎気味の私としては頭(胃)が痛いところです。



そして気になるのはやはりアーティスト。
個人的にお気に入りの第一は安山市の京畿道現代美術館で観た階段のアーティストKyungah Ham, PS1でも展覧会をやったKim Seung Young, 好評だった2003イスタンブールビエンナーレで見たこともあるYochai Avrahami. フルクサスの第三世代と言われているJoshua Selmanあたりか。
Kyungahはディレクターのキムホンヒにも可愛がられていて今回一押しのアーティストのようだ。本人ともがっつり話したが、頭もまわり性格も良くこの先もどんどん有名になるのでは?
作品も以前とは全く異なっていてバイタリティーに溢れている。北朝鮮の職人に西側のメッセージ性を抽象的にしたイメージを中国経由でオーダーしたシルクのタペストリーの作品群は見た目も美しいし、作品の背景も含めて大変興味深かった。
彼女の西洋の美術館のカフェ等、パブリックスペースから小物を盗み続けているプロジェクトとか、17世紀のカードゲームのいかさまのビデオとか韓国の闘牛にナレーションをつけたビデオ作品など、社会の矛盾に対する率直な疑問を投げかけ続ける姿勢は一貫していて作品を構成する能力も高い。
Kim Seung Youngはサウンドを中心としたニューメディアと水という自然の素材をインスタレーションをするが、「記憶」など繊細な感覚をテーマにしていて見る(聴く)者を惹き付ける。
Yochai Avrahamiの作品も大好き。彼自身も参加していて評判だった2003イスタンブールビエンナーレ全体のイメージのような作品を作る人。ガサ地区かなにかヤバいところに入ってゲリラ的に作品とつくったりもするのだが、身近なところでもすぐに作品にしてしまう根っからのアーティスト。とにかくユーモアもあり、複合的にものを見せるのが上手い。5歳と2歳の子供を連れて来ていることもあり必然的に仲良くなった。
その他にも良いアーティストばかりでとても刺激になる。



不思議なのは韓国の男性アーティストはほとんど英語が話せないのに女性のアーティストの大部分がぺらぺらなこと。よって不思議と仲良くなるのは韓国のおばさん(失礼!)アーティストたち。孤立したこの場所の良いところは同じ顔を付き合わせるのですぐに仲良くなるところかな。(逆に言えば仲良くならないとここでは生きていけない。。。)
無駄なものを食べることがないので体が1週間で絞れた!

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